[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


第63回全国消費者大会を開催しました

(主催:第63回全国消費者大会実行委員会)

 第63回全国消費者大会は「戦後80年、今こそ平和とより良いくらしのために学び、行動しよう!」を統一テーマに、会場およびオンラインのハイブリッドにて開催しました。開催後は約1か月間のアーカイブ配信も実施しました。

開催概要

【日 時】2025年2月15日(土)13:00〜17:30

【開催形式】会場(プラザエフ5階会議室)およびオンライン(Zoom)

【当日の参加者】169名(会場51名、Zoom118名)

開会挨拶 田辺 恵子さん(第63回全国消費者大会実行委員長、主婦連合会)

 2024年のトピックとして、1月の能登半島地震や9月の豪雨に見舞われた能登半島の被災地に思いを寄せることが大切であること、地球温暖化に伴う豪雨、山火事等の災害が世界各地で発生し気候変動対策の取組みの強化が求められていること、そしてウクライナやパレスチナにおける戦争が続く中、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことにふれ、唯一の戦争被爆国である日本が、世界に発信していく使命について述べられました。

 また、進化と発展を続けているデジタル技術について、生成AIの登場が私たちのくらしをより良いものへと変えていくのかどうか、使い方を考えていくことの必要性から、今大会で平和なくらしと消費者の権利が守られるよう、ともに学び行動してまいりましょうと呼びかけました。

来賓メッセージ 新井 ゆたかさん(消費者庁長官)

 冒頭、戦後80年が経過し消費者を巡る大きな変化に対応するため、消費者が知識を得て適切に行動することが重要であることをお話しされました。また次期消費者基本計画では、デジタルリテラシーの向上の重要性を盛り込む予定にしており、現在、デジタルサービスのリスクと理解の向上のための教材やVR型体験教材を作成し、デジタル化に対応した消費者教育を進めていくことが紹介されました。

 最後に、今後も消費者団体とともに時代の変化に応じた消費者行政を推進していきたい、消費者団体の活動が大きくなっていくことを期待するとのお言葉をいただきました。

来賓メッセージ 日本原水爆被害者団体協議会

 文書でいただいたメッセージには、自らの命を削る思いで体験を語り、この原爆被害は受忍できない、ふたたび被爆者をつくってはならないと、運動を続けてきた日本被団協が2024年ノーベル平和賞を受賞したことを喜ぶ一方、核兵器が使用されかねない国際情勢のもと、日本被団協に授与したことの意義が強調されていることも、見逃してはならない、とされていました。また、核兵器保有国とその同盟国は、米国の「核の傘」に頼る日本政府を含め、核兵器禁止条約に背を向けており、「唯一の戦争被爆国」を自称する日本政府のこの姿勢を許すことはできないと述べておられました。

 そして、結びに、ノーベル平和賞受賞を力に、生きている限り被爆の実相を語り、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償実現を、強く訴えるとともに、参加者へは、ともに手を携え、核兵器も戦争もない平和な世界を作り出していきましょうと呼びかけられました。

第1セッション 生成AIとくらし

生成AIの具体的な活用実演と今後の展望
講師:小田 志門 氏
(カラクリ株式会社代表取締役CEO、日本消費生活問題研究所理事)

 生成AIの可能性と活用方法について、実演を交えながらの講演でした。具体的には、AIの基本的な仕組みや今後の展望について説明し、実践的な理解促進を図りました。実演では、特定のテーマに基づき論文を作成し、その内容に、更に詳細な内容を加えるなどのバージョンアップや、外国語・方言への翻訳などがありました。さらに、大会のテーマからAIによる作詞作曲するといったデモンストレーションもあり、生成AIの多様な可能性が示されました。

生成AIと消費者の向き合い方
講師:松本 恒雄 氏(一橋大学名誉教授、池田・染谷法律事務所弁護士)

 初めに「世界消費者権利の日」や「消費者月間」のテーマにデジタルへの対応が挙げられていることが紹介されました。次にデジタル化に伴う最近の消費者問題について、具体的な事例を挙げながら解説し、デジタル社会におけるマーケティングの構造的変化(マス・マーケティングから、個人単位のマーケティングへ)についても言及がありました。続いて、消費者のAI活用における留意点や課題、関連する国内外の規制の現状と今後の展望についての説明がありました。生成AIとの適切な関わり方について理解を深める機会となりました。

第2セッション 平和

被爆・戦後80年 核兵器をなくして平和を築くために〜被爆者の声の継承を〜
講師:川崎 哲 氏
(ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員兼会長)

 初めに世界で戦争が拡大する中での日本被団協のノーベル平和賞受賞は一筋の希望であり、授賞式での「核兵器は使ってもいけないし、持ってもいけない」とのスピーチが、被爆者の心からの願いであり、核心部分であると述べられました。一方で、現在世界の核兵器は約12,000発あり核兵器の拡散が進んでいること、2017年に採択された核兵器禁止条約について、日本政府はこの条約を促進する国連決議に軒並み反対してきたことが紹介されました。世界では核兵器によらずに国の安全を保とうという国が過半数を占め、100カ国近くが核兵器禁止条約に参加している、核兵器の抑止力が必要との議論は一部の国の主張であることをしっかり理解する必要があるとのお話でした。最後に、2030年までに日本が核兵器禁止条約に加わることをめざす「核兵器をなくす日本キャンペーン」が2024年4 月に新たに立ち上がり、団体・個人ともに参加できることをご紹介いただきました。

報告①「アジア平和共同声明」の取り組み
報告者:纐纈 美千世 氏(日本消費者連盟)、河村 真紀子 氏(主婦連合会)

 2022年12月に日本消費者連盟と主婦連が呼びかけた消費者団体共同声明(半年で90団体以上が賛同)以降、当時日本政府が喧伝していた台湾有事への違和感・危機感から、台湾や韓国の市民と連帯を模索する中で、韓国ドゥレ生協会長からの連帯メッセージを力に「アジア平和共同声明」が実現したこと、平和がなければ消費者団体の活動が出来ないことが紹介されました。現在26団体が賛同している「アジア平和共同声明」がさらに国内外に賛同が広がるよう期待しているとのことでした。

報告②「ノーベル平和賞受賞式」帯同報告
報告者:上村 慶輔 氏(日本生活協同組合連合会)

 日本被団協代表団に「同行ツアー」の一員として帯同された内容について、多くの写真を交えながら報告いただきました。帯同して「①実際に行動に移すことは難しいかも知れないが、思いを持つことはできる!②被爆者の方々は高齢化で10年後には直接証言することができない可能性が高いと感じた。全国に各地域の被団協があるので、被爆や戦争体験の証言を聞くなど一歩踏み出してほしい」。と呼びかけられました。

第63回全国消費者大会開催案内はこちら