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第52回全国消費者大会が開催されました 第52回全国消費者大会実行委員会事務局 第52回全国消費者大会が 活かそう消費者の権利を!行動しよう安心できる社会をつくるために をテーマに2日間の日程で開催されました。 3月14日の分科会はのべ 246人、特別分科会は 137人、15日の全体会は 150人、全国各地から、大会全体でのべ 533人にご参加いただきました。 全体会には、消費者庁長官の阿南 久さんにご来賓としておこしいただいて、ご挨拶をいただきました。 世界消費者権利の日にあわせて開催された今回の大会では、全体会の最後に実行委員会からアピール文が提案され、満場一致で採択されました。 全国消費者大会は団体による実行委員会が企画を検討し、手分けして当日運営をすすめました。更に40の団体には、大会の趣旨にご賛同いただいて財政面でのご支援をいただきました。財政面での支援をいただいた団体には、心より御礼申し上げます。
第52回全国消費者大会アピール 戦後、日本は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を基本理念とする素晴らしい憲法のもと、国際社会での発展と成功をかち得てきました。 本来であれば、非戦・非軍事の憲法を持つ日本こそが、軍事費に多額を費やすのではなく、「平和の配当」として貧困撲滅や環境問題の解決のために使うべきであることを世界に対して発信していける存在であったはずです。 その素晴らしい憲法の理念が揺らぐ今、消費者にとって大切な「知る権利」や「安全である権利」までもが揺らいでいることを知る必要があります。 第52回全国消費者大会では、貧困撲滅、環境問題の解決、社会的公正、自由である権利、生活・雇用・福祉などの社会権など、消費者の権利の充実のために様々な切り口で討論が行われました。 環境的適正と社会的公正を実現するために、「過度な成長に頼らない持続可能な社会」を目指し、市場や政治だけに頼るのではなく、積極的な市民参加と広範な協働が不可欠であることが再確認されました。 私たち消費者市民は、自らの行動が将来にわたって内外の社会問題、経済、環境に影響を及ぼし、また、その結果、将来世代へつけを回す事などを自覚しています。 私たちは消費者市民として、地球、世界、国、地域、そして家族の幸せを実現するために、自らの消費や社会生活を通じて、また、政策形成過程などへの積極的な参加を通じ、自然と共生した持続可能な社会の実現に向け行動します。 2014年3月15日 第52回全国消費者大会 消費者政策分科会 報告書 <テーマ> 情報化社会における消費者問題 〜あなたの情報は狙われている!〜 <参加人数> 82名 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前>
<講演・報告等の概要と参加者の反応> 日本消費者協会理事長・長見萬里野さんの開会挨拶後、日本生活協同組合連合会・中村良光さんの司会で、まず3名のパネラーからの問題提起で始まりました。 原田由里さんは「トラブル無く安心して利用できる電子商取引を目指して活動する現場」に寄せられた事案から警鐘を鳴らしました。 『ワンクリック詐欺』『不正アプリ』によって収集された個人情報の悪用の事例、『ターゲティング広告』、企業によるビックデータの活用とその時に考えられる問題点について詳しい情報提供があり、これらをふまえ次の問題点が提起されました。 ◆利用履歴等のデータが第三者に提供されることについて、利用者への事前説明や再利用への同意取得がない。◆オプトアウトが可能、その窓口の周知、などが不十分。◆個人を特定できないデータでも、積み重なれば特定できるかも。少なくとも事前説明と再利用への合意をとり、後からでもオプトアウトができるようにするべき。 次に高木浩光さんが技術面から、『消費者問題としてのパーソナルデータ保護』について市民団体および法律における日本と海外の対処の違いの事例をもとに課題の提起がありました。 海外で『無断で人を番号管理する技術』の導入がボイコット運動に発展している4つの実例を紹介。日本では、「○○の購入者」等の実名名簿が堂々と販売されているが、オプトアウト画面を設けているから合法となる。2014年、JR大阪駅に設置された『防犯カメラで撮影した顔の識別実験』の問題はどこにあるのか。個人の移動履歴を勝手に取得し管理し、別の情報(購買履歴など)と合わせ、その人に合わせた広告を表示することが現実的に可能となっている今、「氏名・連絡先情報が取得されなければ問題ない」と言えるのか。◆EUの『データ保護指令』での規制、米国の『消費者プライバシー権利章典』での保護の対象となっていて、日本の『個人情報保護法』では対象外となっている個人情報は何かについても説明がありました。 そして3人目の鈴木正朝さんが情報化社会における法律的課題に迫ります。 ■『Suica事件』は「個人情報保護法」で定義される「個人情報」を削除した上で乗降履歴をIT企業に販売したので法にふれないとされた。しかし、「匿名データの再識別化の禁止」を法に規定しない限り、個人名を削除し番号化した匿名データであっても元データと照合すれば容易に個人が特定できる可能性は残る。■『共通ポイントカード』で、業種を超えて利用が拡大されていくときに同意を取る必要があるのではないか。◆一方、情報通信事業の進展は、『ビッグデータ(多種多様かつ膨大なデータ)』を収集・分析することを可能にし、新事業・サービスの創出や諸々の課題解決に大きく貢献すると期待される面も持つ。現在、グーグルもGメールもフェイスブックもツイッターも全て外国企業が提供し、結果、国内個人データの国外流出が加速している。国際競争に勝つためには、世界中の個人データを日本に収集・集積可能な情報法制度が必要であろう、と問題提起されました。 小休憩をはさんだパネルディスカッションは、長田三紀さんのコーディネートのもと、スマートフォン世代の若者代表の岡崎大地さんの「スマホのトラブルは架空請求しか知らなかったし、ターゲティング広告やT-ポイントは『便利』という認識のみだった。3名の講師のお話を聞いて『なぜ?』を考える必要を知った」との発言から始まりました。 最後に2015年に予定されている『個人情報保護法改正』に向けて次のことを要求していこう!と決まりました。 ○現在、無制限である『データの保管期間』に制限を設け、それを明示すること。 ○オプトアウトとは「以後、情報をとらない。将来、情報を使わない」ということ。過去に遡って、登録されている情報を削除要求できる『消去権』、利用目的を達したら消す『消去権』、それらを確認できる『開示権』を確立すること。 ○『識別非特定情報』(それが個人の情報であることはわかるが、その個人が誰であるかまでは特定できない情報)も個人情報保護の対象とすること。 ○個人データを他事業者に移行する場合(A社→B社)、現行法では「原則―本人の同意による提供。例外―オプトアウト手続きによる提供」となっているが、その例外規定を撤廃すること。 ○子どもに関する情報は別扱いで保護すること。 ○ポイントカード等における共同利用者拡大の際に規制を設けること。 第52回全国消費者大会 環境・エネルギー分科会 報告書 <テーマ> 知ってるつもりになってない?! エネルギーから気候変動まで <参加人数> 64名 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前> 慶應義塾大学経済学部教授 金子 勝さん <講演・報告等の概要と参加者の反応> 始めに、元NHKキャスターの堀潤さんが独自取材・制作した映画「変身─ Metamorphosis」を上映しました。新事実を映像やインタビューを掘り起こし、メルトダウン事故がもたらす過酷な現実をえぐり出す優れた作品でした。 続いて、慶応大経済学部教授の金子 勝さんが「新しい産業構造と社会システム〜エネルギー転換のもつ意味〜」と題して、経済から見た原発問題の現状について講演。冒頭で、「未来の社会ビジョンを奪われてしまっている今の日本の閉塞状況は戦前と似ている。誰も決めず、誰も責任を取らないまま、失敗しても方向を変えられずにズルズル現状を続けて行った戦前・戦中の日本の無責任体制は、原発問題でもそのまま生き続けている。脱原発は単にエネルギー問題にとどまらず、日本の社会や政治システムの無責任体質を克服して行く運動とも連動している」と、脱原発の今日的意味を明らかにしました。「ゾンビ化した東電や日本原電を生きながらえさせるために福島を犠牲にしているのが今の政策。必要なのは、福島を救済するための10兆円をまず確保し、国民負担を最小にする道を考えること」と指摘。具体的には「東電を解体して資産を売るか、新会社を設立してその株式を売る。資金不足には再処理積立金や高速炉もんじゅの予算を充てられる。」脱原発にともなう廃炉引当金不足や、原子力施設や核燃料の償却不足にどのように対応すればよいかについては「電力会社がその分の株式を発行して、国がそれを買う。国は株主として発送電分離など電力システム改革を実施する。原発は倒産同然の日本原電に集め、廃炉専門会社として存続させればいい」と解決策を示されました。最後に「集中メインフレーム型の原発をやめて分散ネットワーク型の省エネ・再エネに移行することが新しい産業構造や希望のもてる社会を作り出す原動力になる」と、具体例を挙げながら締め括りました。原発をめぐる複雑な金融問題を、平易な言葉で明快に分析し、具体的な解決策を提案される金子さんの熱弁に、大きく頷く参加者の姿が印象的でした。 後半はFoE Japanの満田かんなさんが福島の現状を、気候ネットワークの桃井貴子さんが気候変動をめぐる最近の動きを、環境エネルギー政策研究所の船津寛和さんが消費者から見た電力全面自由化をそれぞれ解説しました。 盛りだくさんの内容でしたが、参加者から「消費者としていま何ができるかが見えてきた気がする」との感想が聞かれました。 第52回全国消費者大会 食の分科会 報告書 <テーマ> 「成長戦略に食が狙われている!?」 <参加人数> 45名 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前> 講師 : 高橋久仁子 群馬大学教授 <講演・報告等の概要と参加者の反応> 政府が規制改革・成長戦略の一環として認めようとしている“一般健康食品の機能性表示”の問題点について群馬大学教授の高橋久仁子さんからお話を伺い、さらにNACSの調査報告を受け、健康食品を切り口に、食品偽装やTPP交渉、食品表示づくりなど食をめぐる多くの課題を消費者の権利の視点から考え合った。 開会挨拶では、日本消費者連盟から、アベノミクスの食への影響の懸念や食品表示法に消費者の選択の権利が盛り込まれたこと等が述べられた。 高橋教授の基調講演のタイトルは「食をめぐる動き〜一般健康食品の機能性表示を中心に〜」。消費者は「体に良いものが体に悪いはずはないだろう」と考え、事業者は「食品だから安心」と言うが、健康食品の中には、有害物質を含むものや特定の人には有害なものがあり、食生活の改善をないがしろにするなど健康を損なう事例が多くある、と述べ、有害事象はもっと知らされるべき、そして販売戦略である効用の暗示・ほのめかしは規制すべきと主張された。 日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会の佐竹愛子さんからは「健康食品何でも110番」の実施報告があり、医薬品との併用による深刻な健康被害など具体的な相談事例の紹介があり、医師等に相談せず自己判断で安易に健康食品を摂ることの危険性と、健康食品が悪質商法の温床になっている実態が報告された。 その後4〜5名のグループに分かれて討議を行った。 「健康食品が氾濫していて被害があるのに実態が知らされていない」 消費者として出来ることとして、 「健康食品の問題をまわりの人に伝える」、「コマーシャルにだまされない」、 といった意見が出た。 最後に主婦連が「健康食品には健康にプラスどころかマイナス面があること、規制緩和を許してはいけないことを広く伝えていこう」との挨拶があり閉会した。 第52回全国消費者大会 社会保障分科会 報告書 <テーマ> どうなる!これからの医療・介護〜社会保障の考え方が変わるって本当?〜 <参加人数> 55人 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前> 寺尾正之さん(全国保険医団体連合会事務局) <講演・報告等の概要と参加者の反応> 社会保障分科会は、社会保障制度改革推進法・同国民会議報告書、社会保障プログラム法の理念・施策が社会保障制度を捻じ曲げ、いっそうの国民負担を強いていくことを寺尾正之さんの講演で学び、意見交換を行った。寺尾さんの講演のポイントは以下の通り。
意見交換では、次の点が明らかにされた。
参加者の感想では、
第52回全国消費者大会 特別分科会 報告書 <テーマ> 「安心して暮らすために〜震災からの復興と平和な世の中をめざそう!」 <参加人数> 137名 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前> 東京新聞論説兼編集委員 半田滋 様 <講演・報告等の概要と参加者の反応> 当分科会では東日本大震災からの復興と憲法改正の問題、日本の安全保障という3つのテーマを扱いました。 最初に東日本大震災からの復興ということで岩手県消費者団体連絡協議会から被災地の現状を映像で見ながら、生活と生業の復興の遅れ克服の問題を、JA福島県青年連盟からは、農地の除染や農作物の検査体制確立などの努力の様子をお話しいただくとと同時に、「風評被害」にまけないとりくみへの協力のお願いがありました。続いて、「福島ぽかぽかプロジェクト」の福島の子どもたち支援の活動や仮設住宅の現状についての報告がありました。 次に、特別演奏は野瀬正彦さん(チェロ)と秋山桃花さん(ピアノ)の演奏の後、未来市民合唱団が参加者と一緒にに合唱して会場は盛り上がりました。 後半は、東京新聞論説兼編集委員・半田滋さんから「日本の安全保障は、今…」と題して、憲法9条改正や集団的自衛権についての講演をしていただきました。講演では、現在の憲法改正までの流れを第一次安倍内閣の頃の話も交えながら歴史的なうごきを説明し、自衛隊の活動の現状として、個人的に撮影したイラクなどでの自衛隊の活動の様子を映像を見ながら、話していただきました。初めて見たり、知ることがあり、会場からは驚きの声も。 全体を通して3つのテーマを扱っており、盛りだくさんの内容になりました。しかし、参加者にとっては日本で生きていく上で忘れてはならない、目をそらしてはならない問題に正面から向き合い、考える貴重な時間になりました。 第52回全国消費者大会 全体会 報告書 <テーマ> 活かそう消費者の権利を!行動しよう安心できる社会をつくるために <参加人数> 150名 <講師・出演者・登壇者の肩書きとお名前>
<講演・報告等の概要と参加者の反応> 全体会では、先ず各分科会からのプレゼンテーションによって前日の討論内容を共有化しました。各分科会の運営団体が内容を前日夜にパワーポイントにまとめたもので、各分科会5分と短時間でしたが、その分ポイントを突いて報告できたと思います。アンケートでも「分科会報告がとてもよかった」との記述が多くありました。 2014年度は消費者基本法施行10 周年にあたります。また、2015年に予定される消費者基本計画の本格改定に向けてその中身の検討が行われる年です。 講演は、『消費者基本法から10年。消費者の権利を考える』と題して、佐賀大学副学長の岩本諭さんに講演いただきました。消費者基本法の10年で何が変わって、何が変わっていないのか?、消費者の自立とは?、消費者の権利とは?、消費者市民とは?といったお話しを通じて、今後の消費者行政について考える基礎とすることができたと思います。会場からの質問は5件(消費者の権利の法的行使のイメージ、消費者の自立ではなく自律支援が重要なのでは、景品表示法等の改正案について、消費者教育の推進について、能動的消費者市民のイメージについて)。こうした議論を通じて、改めて「消費者の権利尊重」「消費者の自立支援」と言った消費者基本法の理念から現在の状況をふりかえり、消費者基本計画改定の年に向けたキックオフとなりました。 最後に全国消費者大会アピールを読み上げ、拍手で確認して終了しました。 【この件に関するお問い合わせ先】 全国消費者団体連絡会事務局気付け |