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第62回全国消費者大会開催報告 (主催:第62回全国消費者大会実行委員会、事務局:全国消費者団体連絡会) 2024年3月9日、第62回全国消費者大会「持続可能な社会とくらしのために、ともに考え行動しよう」を、前回大会に続きオンラインにて開催しました。当日参加のほか、約1か月間のアーカイブ配信も実施しました。 開会挨拶 斉藤いづみさん 冒頭、1月の能登半島地震により被災された皆様にお見舞いと、一日も早い復旧・復興への思いを述べられました。 続いて、私たち消費者を取り巻く問題は、多様で複雑さを増していること、また不安定な世界情勢にも不安が募る中、安心して暮らしていける持続可能な社会になるには何が必要なのかを共に考え、セッションの講演で得たことをこれからの行動につなげていただけきたいとの呼びかけがありました。 来賓挨拶 新井ゆたかさん(消費者庁長官) 冒頭、元旦に発生した能登半島地震における消費者被害の状況について、被災地のみならず、全国で「義援金を募ります」といった被災地に向けての善意を悪用するような事例があることへの注意喚起がありました。 大会については、コロナ禍を経て、参加の在り方を工夫し全国各地で活動されている方々がつながっていくことが非常に重要だと考えているとのお話がありました。 今大会のテーマに関連して、持続可能な社会と暮らしの実現のためには、消費者が心を寄せていくことが非常に重要であり、消費者一人ひとりが社会的課題に関心を持ち共に考え責任ある行動をしていくことがSDGsの「使う責任」やエシカル消費でも求められていること、教育課程でSDGsを学び地球温暖化の影響を如実に受けている十代の若者の興味関心が非常に強いことなどをご紹介いただきました。 最後に、セッションテーマのいずれもが、これからの消費生活を担う上で非常に重要な課題であること、全国からの参加者が結束し、今回の議論がこれからの活動の一つの契機になるのではないかとの期待のお言葉をいただきました。 第1セッション 食(117名参加) 気候変動やウクライナ紛争など世界的な食糧情勢が激動する中、日本の食を取り巻く情勢も様々な影響をうけており、国の指針である食料・農業・農村基本法も改正にむけた準備が進められています。食セッションでは、「健康的で持続可能な食生活」をキーワードに、食の未来はどうなるのか、将来世代の食のために何ができるのか、などについて考えるテーマとしました。 ご講演では下川さんからは、食を取り巻く問題、持続可能な「食」と「農」、立ちはだかる人間らしさ、食品ロス削減についてお話いただきました。 食を取り巻く問題については、国内では農業従事者の減少と高齢化、生産資材の高騰を価格に転嫁できない問題、世界的には穀物価格の変動や日本化輸入価格についてイニシアチブを得なくなりつつあるという問題があります。その中で、健康的で持続可能な食と農を目指す必要があり、その方向性には食生活を変える、技術革新を受容するという二つがあるとのことです。 ただ、「食」において、人は他の商品よりも過剰に反応してしまう、不健康な選択になりがち、実際の影響力を過少や過大に評価、0か1かの極論で考えたがるといった人間らしさが立ちはだかってしまう。また、問題の解決には社会の仕組みを変えることも必要で、その仕組みの中で人の意識や価値観も変わってくるとのことでした。 食品ロス削減について、食料生産はコントロールが難しく、食料不足を避けるためには多めに作るしかないため、食品ロスをゼロには出来ないが、地域の特性に合わせた削減への取組の余地はまだまだあるとのことでした。 ご講演では多くの事例とその効果をご紹介いただき、参加者アンケートでは、今より少し変えるだけでいいということに希望とやる気を感じた、出来ることからやっていく、とのコメントがありました。 第2セッション デジタル(108名参加) デジタルセッションでは、テーマとして設定した「デジタル」は、範疇が幅広いということもあり、今回はその中でも近年トラブルが多く発生しているインターネット広告に焦点を当て、理解を深める機会としました。 前半の講演では、アフィリエイト広告をはじめインターネット広告に精通する(一社)日本アフィリエイト協議会代表の笠井さんから、インターネット広告の基礎知識と現状のトラブル事例について解説いただき、併せて健全化へ向けた取り組みをご紹介いただきました。また、実際の広告画面を見ながら、すぐに実践できる対処法などを具体的にご説明いただきました。 後半は、文教学院大学外国語学部渡部吉昭ゼミ・チームWestの学生が取り組んでこられた「ダークパターンの被害から消費者を守る」について、ご報告をいただきました。ダークパターンに関する調査、企業や団体との懇談、消費者啓発を意識した学習会、消費者庁への意見書提出など能動的な活動を行い、また独自に評価制度を編み出したなど、若者の視点を交えた大変有意義な活動についてご紹介いただきました。 講演、報告の後には、参加者間で意見交換をする機会として分散交流を行いました。今回の講演や報告で得た知識をグループセッションでアウトプットすることで、さらに幅広い知見の獲得とともに、知識の定着に繋げる機会となりました。 アンケートでは、基本知識の確認や最新の状況の把握ができたこと、また両登壇者の消費者視点の有益な活動等について、好意的な意見が多数寄せられました。また、学生の発表については、若者がこのような取り組みをしていることに敬意を持つ、期待するとのコメントがありました。 コラム:感想交流を実施しました 2021年の第59回大会からコロナ禍の下でオンライン開催となり、2023年5月に行動制限が緩和されましたが、今回もオンラインを中心とした開催としました。 |