【解説】
現行法では、閣僚により構成される消費者保護会議が基本的施策の審議・推進を担い、国民生活審議会が基本的事項の調査・審議を行うことになっています。これらの事務局を担っているのが内閣府国民生活局ですが、同局は消費者に関わる「基本的な政策の企画及び立案並びに推進」を担っており、「国の行政機関と相互の調整」を図る権限を持っています。
このように、現行法においても消費者政策の推進体制については、一定の手当てがされているのですが、現実にはこれらの組織が十分に機能しているとは言えない状況にあります。
- 消費者保護会議が、単に各省庁の施策の羅列を形式的に確認する場と化している。
- 国民生活審議会が他の省庁の権限に属する問題について意見具申をしにくい。
- 内閣府国民生活局の調整機能が、他省庁の権限の壁により機能していない。
こうした状況を改めることなしには、21世紀型消費者政策の実効性をもった展開は期待できません。そのための国の推進体制の再編の方向性としては、以前から必要性が指摘されている「消費者庁」や、前期の消費者政策部会で意見として出された「消費者政策委員会」などの選択肢があります。しかし、いずれも既存の機関の権限との調整が必要となる上、新たな機関を設けることとなるため、短期間で結論を得ることは不可能です。予定されている消費者保護基本法改正のスケジュールに合わせるためには、既存の機関の機能を有効に働き得るように再編し、関係付けるという基本スタンスで検討することが適切と考えます。
そこで、今回は下記の方向性で国の推進体制の再編に関する要求を組み立てています。
- 消費者保護会議を民間委員も含めた会議体として国民生活審議会や物価安定政策会議の機能を統合し、国民生活に関する総合的な政策の審議や調査・監視を担う機関とする。現行の国民生活審議会の各部会(基本政策、消費者政策、個人情報)や物価安定政策会議はそのもとの専門調査会として位置付ける。民間委員の登用、説明責任の明確化、会議の公開などを通じて政策形成過程の透明化を図るとともに、審議事項に対する監視機能の発揮を通じて、具体的な施策を推進する。
- 業種横断的に摘発を行うことのできる公正取引委員会について消費者政策機能を強化するとともに、国民生活センターの機能を強化し、後者の情報力と前者の執行権限との連携により消費者政策に関わる執行機能を強化する。
(イメージ図は別紙参照)
こうした方向性をもとに、新しい基本法における国民生活政策会議に関する規定のあり方についてまとめているのが本項です。機能については、(a)基本計画の建議、(b)基本的施策の企画に関する審議、(c)実施状況の調査・監視の3点でまとめています。構成員については、内閣総理大臣(議長)、関係する行政機関の長、関係する大臣と併せて、学識経験者、消費者代表、事業者代表を加えています。その他、専門調査会に関する規定を設け、現国民生活審議会の各部会や物価安定政策会議にあたる4つの専門調査会を必須としつつ、それ以外の専門調査会を必要に応じて設けることができることにしています。
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