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全国消団連 ホントのことを知りたい!! 学習シリーズ
「食中毒を起こさないためにくらしの中で注意したいこと」報告

 2011年6月7日 火曜日 13:30〜15:30 主婦会館プラザエフ5階会議室で開催しました。

 講師は社団法人日本食品衛生協会 常務理事 谷 幸(さとし)さん、事業部係長 中村 紀子さん、事業部係長 岡本 愛さんにお願いしました。

 開会挨拶で全国消団連 阿南事務局長が、CIの大会で紹介された日本ではあまり見かけない食中毒予防の注意喚起のためのグッズや冷蔵庫用温度計など紹介し、消費者啓発の重要性を訴えました。

 まず中村さんと岡本さんから食中毒の症状について脳神経や運動神経の麻痺や呼吸困難など引き起こすこともあること、食中毒菌と身近な食品との関係や性質、感染後の症状などについての説明いただきました。食中毒予防の三原則は「つけない」「増やさない」「殺菌する」です。

 「つけない」として実行することは、土壌から汚染されたことを前提に野菜はよくあらう、海水で増殖する腸炎ビブリオを取るため魚は水道水でよく洗う、生で食べるものは加熱殺菌ができないので特に注意が必要。汚染を防ぐためには、低温や乾燥に強い菌もいるので、調理器具(まな板、包丁の刃はもちろん柄や刃の付け根なども)もよく洗ったほうがよいとのことです。

 「増やさない」としては食品の温度管理が大切とのことです。10℃以下、65℃以上で保存する。夏場は買いものや冷蔵庫の使い方にも注意が必要。カレー、スープ等の保存は冷蔵庫10℃以下、作りおきはなるべくしない。お弁当はしっかり加熱したものを冷まして詰め、保冷剤など利用したい。お惣菜は冷蔵庫で長く保存せず、温かくして食べるものはよく加熱する、野菜いためのような調理法だと火が通らない場所もあるかもしれないので、野菜はよく洗う。魚介類も流水でよく洗う。肉や魚介類よりも野菜を先にとり扱う。生食するものは食べるまで冷蔵庫で保管して菌を増やさない。

 「殺菌する」としては、基本は加熱調理です。スープやカレーなどはよくかき混ぜながらしっかり加熱、肉もステーキ以外は中までしっかり火を通す。ふきん、包丁、まな板などは熱湯消毒して乾かす、次亜塩素酸ナトリウムを使うとより効果的だそうです。(注記:鉛と塩の違いです)

 最後に谷さんから日本の食中毒発生の状況について概説された。また、日本の場合、ニワトリの卵巣にサルモネラがいるとの前提で対応しなければならない。カンピロバクターはギランバレー症候群になる可能性がある、リステリアは流産を引き起こす可能性があるので妊婦さんは注意が必要、ノロウイルスは乾燥しても死なないので、嘔吐物処理には使い捨ての手袋、マスク、エプロンを用意すると良いなど、基本は三原則の遵守だがいくつかの食中毒菌の特徴などについての補足説明をしていただきました。

【出された意見・質問】

  • 米粉を利用した料理の研究で温かくないと扱いづらい米粉で生のひき肉をつつんでも大丈夫だ。
  • 事業者に向けて、消費者へ注意喚起をするように指導はおこなっていないのか。
  • 食品安全委員会のリスクプロファイルの内容を事業者に何故知らせないのか。
  • 冷蔵庫の温度と保存時間に相関性はあるのか。
  • WHOで冷蔵庫は5℃以下なのに、日本は何故徹底されていないのか。

【感想】

  • 高谷先生の話は面白かった。
  • 食中毒の分類、予防など詳しくわかりました。教育、啓発の必要性を痛感した。
  • 網羅的かつ詳細な内容で大変為になりました。
  • とても参考になりました。住民への啓発に役立てたいと思います。
  • 細菌の特性等について学習できた、実践的なことがあると良かった。
  • 食中毒予防の注意点が学べてとても有意義だった。食育の大切を実感。今日の内容をもっとわすく伝える必要があると感じた。
  • 改めて基本的な点を確認できた。
  • 気になっていた食中毒菌の情報の整理ができてよかったです。予防の実践的な方法をまとめていただいて周りの人にも伝えたいと思いました。
  • 食品事故の一番は食中毒ですね。その割に一般の消費者教育はされていないと思います。消費者が相談する窓口は保健所が身近だとは思いますが、もっと「窓口」として明確になっていると相談しやすいです。保健所は事故が起きてしまってから連絡するところ、だと思われています。
  • 改めて勉強になりました。

参考資料 厚生労働省(食中毒に関する情報) http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/

阿南事務局長がCI世界大会でもらった食中毒啓発のためのグッズ

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