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学習・意見交換会
「輸入食品って安全なの?〜令和8年度版〜」を開催しました

「輸入食品監視指導計画」は、日本に輸入される食品・添加物・器具・容器包装・乳幼児を対象とするおもちゃなどの安全性を確保するために、輸出国での生産から輸入後の国内流通までのそれぞれの段階で、厚生労働省及び検疫所などが取るべき対応について毎年度定めるものです。食生活に欠かせない輸入食品の安全性について、「令和8年度輸入食品監視指導計画(案)」の内容に沿って説明を聞き、その後に質疑応答と意見交換を行いました。

【日 時】2月4日(水)14:00〜16:00
〔Zoomを活用したオンライン学習会〕

【参加者】48名

【内 容】
①報告「輸入食品の安全性確保について」
 〜令和8年度輸入食品監視指導計画(案)〜
 厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課
 輸入食品安全対策室 室長 福島 和子さん
 輸入食品安全対策室 監視調整係長 山崎 勇貴 さん
②質疑応答・意見交換
③「日台冷凍農産物生産販売安全懇談会」参加報告
 全国消団連 事務局長 郷野 智砂子

概要(事務局による要約)

輸入食品の現状

 日本の食料自給率は近年4割を切っており、ここ数年カロリーベースで38%ほどで推移していることから、カロリーの約6割を輸入食品に頼っている状況です。輸入の届出件数はこれまで右肩上がりでしたが、令和元年以降は新型コロナウイルスによる物流の変化等の影響もあって落ち込み、以降横ばいからやや回復している状態で、令和6年度は247万件でした。輸入重量では近年大きな変化はなく3,200万トン弱のところで推移しています。

輸入食品の監視結果

 令和6年度のモニタリング検査実施状況は、計画数延べ100,224件に対し100,982件の実施、実施率は101%でした。令和6年度の監視指導の結果は、違反件数731件に減少しており、違反割合は非常に低い水準を維持しています。

監視体制の概要

 ◇輸出国対策・◇輸入時対策・◇国内対策の3段階で行われています。

輸出国対策
 日本の食品衛生法に合致したものを輸出してもらうには、輸出国側に日本の食品衛生法を理解してもらい、日本の規制を周知することが重要です。二国間協議や現地調査、輸出国への技術協力など、輸出国対策は輸入時の検査を効果的に実施するためにも力を入れて行っています。令和6年度に輸出国との安全対策に関する協議を行った例としては、アイルランドや米国の牛肉における対日輸出プログラムの協議や実施状況の確認があります。また韓国の養殖ヒラメにおける動物用医薬品の管理状況の確認や、ベトナムでの水産加工施設の現地調査等も行いました。コロナ禍においては現地に赴くことが難しい状況でしたが、その結果オンラインによる現地調査の仕組みも構築されたことで、それぞれのメリットを生かす形で併用しています。

輸入時対策
 輸入者は、輸入する食品等について届出事項に沿った内容を厚生労働大臣に提出する義務があります。厚生労働省の検疫所では、届出書の審査や相談室での届出前の相談対応を行い、輸入時の監視指導体制を強化しています。全国の検疫所での食品担当部署は32箇所、食品衛生監視員は現在422名の体制になっています。
 輸入前相談は全国13の検疫所に相談室を設置して行っています。令和6年度では輸入前の相談で約2.20%の物が日本の基準に合わない(違反に該当する)ものでしたが、輸入前指導による違反の未然防止が効果的と考えられます。結果として、輸入時点での違反率は0.03%に抑えられています。
 輸入時には◇指導検査・◇モニタリング検査・◇検査命令というリスクに応じた検査制度があります。指導検査は、輸入者の自主的な衛生管理の一環として定期的な検査の実施を指導するものです。モニタリング検査は、日本に輸入される多種多様な食品が本当に安全なのか食品衛生上の状況をチェックするためのもので、年間計画に基づいて無作為にサンプリングし検査を実施しています。検査命令は一番厳しいもので、健康被害の発生する恐れのあるもの、法違反の可能性が高いと見込まれる食品について検査を命ずるものです。輸入する全ての食品に対して届出ごとに毎回検査をします。費用負担は輸入者が行い、検査結果判明までは輸入不可となります。これらの検査は統計学的な考え方を取り入れたサンプリング法に応じ実施しています。また、検査で違反が繰り返し発見されるものについては「包括輸入禁止」として法的に輸入を禁止できる規定がありますが、これまでに該当する事案はありません。令和6年度は全体で約247万件の届出の中で検査命令を実施したものが70,034件、モニタリング検査が48,050件(延べ100,982件)、指導検査が87,810件、計約21万件の検査を実施し、検査の割合8.4%、違反件数731件、違反割合は0.03%でした。
 令和6年度に食品衛生法の違反として一番多かったのは、第13条の食品の規格基準に違反したもので7割近くを占め、残留農薬の基準値違反、微生物関連、添加物の使用基準違反などがあります。次に第6条違反で、ナッツのアフラトキシン、シアン化合物の検出などがありました。違反の件数が多い輸入者に対しては食品衛生法で「輸入者の営業の禁停止処分」を行うことができますが、そこに至る前に個別の再発防止策を講じるよう指導を行い、改善を求めています。

国内対策
 各都道府県等において、食品衛生の監視指導計画を作成し、パブリックコメント募集やリスクコミュニケーションを行うとともに、その結果もあわせ公表しています。国内での食中毒発生事案に基づいて監視強化を行った事例もあります。

リコール情報の報告制度

 食品衛生法の改正の中で2021年度に「食品等のリコール情報届出制度」が創設されました。ホームページから一元的に確認できるようになっているのでご活用ください。輸入食品においても、国内での流通があり自主回収の届出がされたものについては制度に則って適切に対処されます。

海外情報への対応

 海外での食中毒の発生や食品リコールの情報などは速やかにキャッチして的確な対応を行っています。定期的に(実質的には毎日)海外の主要政府のホームページ上でリコール情報やアウトブレイク情報を確認し、国内の専門機関の情報も同時にチェックを行いながら情報の収集や分析を強化しています。必要な場合は回収の指示や監視の強化など適切な対応を速やかに行います。令和6年度に確認を行った海外情報は870件あり、件数として多かったのは食物アレルギーに関する表示の欠如でした。これらについては日本の食品表示規制に厳格に合わせていくために消費者庁とも連携して対応を行っています。令和6年度に海外情報に基づき監視強化を行った事例では、オーストラリアのワニ肉の異物混入による自主回収やフランスのナチュラルチーズのリステリア菌による自主回収が現地であったため、同じメーカーのものについて日本でも対応しました。

令和8年度輸入食品監視指導計画(案)について

 これまで通りの対策を継続しながら、より効果的なモニタリング検査の実施に努め、これまでの違反状況等を踏まえて微修正を行いながら、検査項目等の見直しや検査の強化を検討します。輸入時検査を中心とした監視体制に加え、輸出国での生産段階の安全性を確保する取組を継続します。検査命令の実施について、項目によっては対象の国と対象の食品を明確化した上で運用をします。モニタリング検査数は前年とほぼ同数の約10万件を計画しています。

具体事例の紹介 〜輸出国での衛生確保対策について〜

 現地調査の対象国は「日本への輸出が多い」「違反が多いなど課題がある」等を勘案したうえで決定しています。今回は15年ほど前から鯨が輸入されているノルウェーと、熱帯産果実であるアボカドの輸入が多いメキシコについて、現在の状況と、適切な衛生管理に沿って検査が実施されているかを確認するため現地調査を行うこととしました。
 ノルウェーは良い漁場に囲まれていることから対日輸出の上位はすべて水産物であり、ノルウェーにとっても日本は非常に大事な輸出先です。ノルウェー政府との会議では、お互いの組織や法律の説明、ノルウェーでの水産食品の細かな衛生管理について、また日本の食文化として特に鯨を中心に紹介しました。最適な日本向けの輸出を行ってもらうためには、法規制の理解も大事ですが、日本での食文化や食べ方を説明して理解してもらうことが重要と考えています。今回は鯨を扱う2か所の施設を視察し、捕鯨からカット・加工・包装・凍結・輸出までの状況や、DNA検査による個体識別とトレーサビリティなど、輸出に向けて機能的・衛生的に管理されている様子を把握することができました。
 続いてメキシコですが、日本へのアボガドの輸出量が多く、残留農薬の状況を確認することを目的に現地調査を行いました。アボカドの輸出においては適切な農薬使用が重要視されていることからBUMPという農薬の使用に関する管理制度があります。これに沿って農薬の選定と使用基準の管理、例えば輸出先国である日本で使用が許可された農薬のみを使用することや、使用前にリスク分析と技術計画を作成すること、取り扱う場所の限定、使用者安全など、管理するべき必須条件が網羅的で厳格に規定されています。実際のアボカド農園を視察した際は、広大な敷地での栽培の様子と、厳格に管理された農薬保管庫、輸出国向けに制限された生産ライン、選別・洗浄・包装・ラベル管理・適切な温度帯の保管倉庫など、全ての工程で安全衛生管理が徹底されていることを確認しました。
 輸出入の相互理解が食品安全の維持のためにとても重要であり、輸出する側は日本の制度をよく理解すること、輸入する側は取引先に根気強く説明していく姿勢が大事であると考えています。

「2025年 日台冷凍農産物生産販売安全懇談会」 参加報告

全国消団連 事務局長 郷野 智砂子

 12月5日に台湾の高雄市にて開催された「2025年日台冷凍農産物生産販売安全懇談会」に出席しました。日本向けの枝豆は55年の歴史を数え、今では台湾産枝豆の輸出量で日本がトップの地位を築いていること、安全・安心な農産物の供給に向けた取組みとして関係省庁とも連携し、残留農薬の検査等もしっかりと行っているなどの話がありました。全国消団連からは消費者の嗜好と購買傾向について、あらゆる食品が値上がりする中でも購入量に変化がない、又は増えている割合が高いものが「冷凍食品」であることや、冷凍野菜の有用性についてなどのデータを紹介し、その他インターンの学生を交えて行った「枝豆の食べ比べ」の様子なども盛り込みながら報告をしました。農業用ドローンのドリフト防止対策に関する議題においては、日台双方から代表が登壇し意見交換を行い、現時点ではドリフト汚染の報告は無いが、近隣農場で連携・情報共有しながら予防的な取組みを進めていくことが重要だと確認しました。
 翌12月6日には枝豆の圃場見学と収穫体験をしました。実際にハーベスターに乗っての収穫は迫力があり、あっという間に荷台がいっぱいになりました。収穫すると同時に豆の部分だけが選別され、収穫した枝豆はすぐ隣にある加工工場で新鮮なうちに加工されるとのことでした。台湾ではもともと枝豆を食べる文化が無かったそうですが、こうして美味しい枝豆を一生懸命作ってくださる生産者や地域の方に感謝したいと思いました。
 日本の消費者は、輸入冷凍野菜について安全性がどのように確保されているかを知りたいと思うので、日本の基準を満たしていることや検査体制、作業環境など、生産者や事業者の取組みを分かり易く共感できるように伝えていくことが重要だと思います。

以上

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