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「LPガス取引適正化の到達点評価と実効性確保に向けた課題」 賃貸集合住宅におけるLPガス販売については、ガス器具やLPガス以外の設備をLPガス事業者が無償貸与し、その費用をLPガス料金に上乗せする商慣行や、料金体系やその内訳が不透明といった問題がありました。 2023年3月、資源エネルギー庁は、無償貸与・無償配管などの商慣行を見直すために、総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会液化石油ガス流通ワーキンググループ(以下、WG)において約1年の審議を経て、中間とりまとめがなされ、2024年4月に「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(以下、改正省令)」が公布されました。 今回、改正省令の一部(過大な営業行為の制限、LPガス料金等の情報提供)が7月2日に施行されるのに合わせて、LPガスの取引透明化に向けてどのような対策がなされるのかを理解し、その実効性を上げるために消費者はどこに注目し、どう行動していくとよいかを考えるシンポジウムを開催しました。 【日 時】2024年7月9日(火)14:00〜16:00 【開催形式】オンライン形式(Zoom会議) 【プログラム】 【参加者】66名 概要(事務局による要約) 基調講演「LPガスの取引適正化、到達点と課題」 橘川 武郎さん(国際大学 学長) LPガスの取引に関しては大きく二つの問題がありました。一つは今日のメインの議論になる取引適正化、賃貸住宅におけるガス代への設備費の上乗せの問題です。もう一つは料金透明化、もともとLPガスは早くから自由化されていましたが、お客さんごとに条件が違う相対取引のようなところがあり、料金体系や内訳が非常に不明瞭でした。この二つの問題について、本日のパネリストの川原さんが北海道でLPガス問題を考える会を主催されてこの問題を大きな社会問題にまで引っ張ってきました。同じくパネリストの神奈川県消費者の会の今井さんたちは、神奈川県内の全LPガス事業者に対して電話調査を行い、 LPガス料金の情報提供がなかなか進まない実態を明らかにしました。 料金透明化については、今から七年前の2017年にLPガス取引適正化ガイドラインと、全国LPガス協会の販売指針が新しくできました。液石法と関係省令が改正されて 標準的な料金メニューの公表、液石法14条書面交付時の説明、料金変更時の事前通知、苦情および問い合わせへの適切かつ迅速な処理の四つの措置が取られました。ただ、実効性が必ずしも十分とは言えず、また取引適正化問題は積み残しになっていました。 その後、取引適正化が大きな問題になり、その改善策として2021年6月に経産省と国交省が連携して賃貸住宅における入居前のLPガス料金の情報を開示する取り組みが進みました。これは国交省と経産省という複数の省庁連携が生まれた点で大きな成果だと思います。ただこちらも、実効性について徹底されていない状況です。 その後、北海道新聞や朝日新聞の報道を受けて当時の萩生田経済産業大臣の取引適正化問題を解決するという宣言につながり、今日に至ります。このように賃貸住宅の取引適正化問題が大きな一歩を生み出したわけですが、なぜそれが可能になったかというと、互いに関係する二つの要因があったと思います。一つは賃貸住宅と戸建て住宅の問題を切り分けたことで、賃貸についてはLPガスの大手二社も含めてこういう負担を被るのはもはや耐えられない、なくしたいという方向が出てきました。もう一つは消費者被害が生じていることを認定した点が大きいと思います。そして2024年4月2日に液石法が改正され、すでに一部は7月2日に施行されています。 改正省令に示された三つの対策のうち、三部料金について、来年の4月2日の施行後は基本料金、従量料金と、設備料金の外出し表示が義務付けられます。これによりガス料金の内訳が明らかになり、新しい契約に移っていく際に非常に大きなプレッシャーになります。 料金等の情報開示について、賃貸住宅の入居希望者へのLPガス料金の事前提示は賃貸住宅オーナー、不動産管理会社、不動産仲介業者との関係があり努力義務です。ただ、入居希望者からLPガス事業者に直接情報提供の要請があった場合は、それに応じることが義務づけられました。これは消費者からの働きかけで大きく状況を変える足掛かりになります。 今後は、通報フォームへの問題ある事例の情報提供、LPガス事業者自身による自主取組宣言、様々なモニタリングによって、実効性が発揮されると思います。 通報フォーム、 自主取組宣言、モニタリングの仕組みについては、全く同じことを、賃貸住宅オーナー、不動産管理取引業者、住建メーカーに対しても行うべきだと思います。国交省も宅建業法の見直しを視野に入れて、経産省のようにWGを設置し、両省のWGが合同会議を行うなどの展開が今後求められると思います。 最後に今回のWGに参加しての実感ですが、実効性担保のための通報フォーム設置から始まる一連の動きや通報フォームを使って抜け駆け営業をしている事業者に釘を刺すなど、経済産業省のスピードが速かった。そして賃貸と戸建ての問題を分けたことで、賃貸に関して利害が一致している大手二社がWGに参加したことが大きな成功だと思います。消費者被害が全体の共通認識になったこと、全国LPガス協会のトップがいち早く自主取組宣言をしたことも大きいと思います。そのほか、消費者庁、消費者委員会、途中から公正取引委員会が参加したことが改革にとって非常に大きなプレッシャーになったと思います。そして当初様子見だった国土交通省が徐々に姿勢を改めて、宅建業法の見直しまで言及するようになったというのが最後の大きな特徴です。このように、WG自体が毎回かなり緊張感を持ち、そこでダイナミックに事柄が動いた印象を持ちます。以上です 省令改正・実効性確保のための施策・ガイドライン見直し内容の説明 日置 純子さん(資源エネルギー庁資源・燃料部 燃料流通政策室長) LPガスは全体の四割の世帯が利用している国民生活にとって重要なエネルギーです。しかし、ここでの商慣行が消費者被害と呼ばれるような課題を生み出しています。そこでいわゆる無償貸与無償貸付けで、この慣行を是正したいということが今回の改革のシンプルな目的です。 いわゆる無償貸与は、LPガス事業者が賃貸住宅オーナーにガス機器やエアコンなど様々な機器を無償貸与することでその建物全体の契約を確保し、かかった費用は後日LPガス料金に上乗せして回収するといった慣行と言われています。LPガス業者はLPガスの販売契約を確保でき、賃貸住宅オーナーは無償貸与された設備の分だけ家賃を安くして入居率を上げられる。こうしたウィンウィンの関係がポイントかと思います。またいわゆる貸付配管は主に戸建て住宅に多く、LPガス事業者が建物内の配管の所有権を持ったままLPガスの供給を行うもので、ここにもLPガス事業者と不動産関係者とのウィンウィンの関係があるということです。そして消費者は不透明な形での高額な料金請求を受け入れざるを得ないといった構造です。こうしたツケを負わされている消費者の声を受ける形で今回の見直しを行っています。 制度改正は、2023年3月からWGでの議論を開始し、報告書の案を取りまとめ、改正省令案とともにパブリックコメントを募集して、4月2日に改正省令改正法令を交付、中間取りまとめは4月19日付で取りまとめています。そして7月2日にこの改正省令の一部が施行され、合わせてガイドラインを改正公表しています。 今回それぞれ三つの課題と改革という形で整理をしました。 一つ目は、消費者との契約獲得を目的として、オーナーに対して過大な営業行為を展開しているという状況。こうした状況を是正すべく、過大な営業行為の制限という記述を設けました。 二つ目は、過大な営業費用をLPガス料金に上乗せして回収しているという状況。これが高額で不透明な料金につながっているということで、この解消を図るべく三部料金制の徹底という記述を設けました。 そして三つ目は、入居するまでLPガス料金が不明で引っ越した後に高い料金を知るという状況。これを是正できるように、LPガス料金の情報提供について記述しました。 法令上具体的にどのように位置づけられているかと申しますと、施行規則で定める基準に従ってLPガスを販売しなければならない。この販売方法の基準として、先ほどの三つの規律を位置づけ、この基準に反すると、報告徴収、立ち入り検査の対象ということに加えて、基準適合命令、さらに命令に違反した場合には、登録の取り消し、業務停止、といったこともできます。そして罰則と罰金を設けています。 今回、市場監視を強化、徹底してしっかりと見ていくことに加えて、事業者の自主的な取り組みを促していくという双方向の取り組みで、実効性を確保していきたいと思っています。 次にガイドラインの整備についてです。現時点では法令順守を促していくにあたって違反の恐れになる行為についての考え方を示していこうと取引適正化ガイドラインを改正しました。今後判断事例を積み重ね、適宜見直していく方針です。 営業行為の制限については7月2日に施行されました。この狙いは、いわゆる無償貸与といったオーナーに対して過大な利益供与を行う商慣行そのものを是正することに尽きます。無償貸与、利益供与行為を一切行わない、貸し付け配管も行わない方向で取り組んでいくことが望ましいということで、記しています。 LPガス料金の情報提供も7月2日に施行されています。こちらの狙いは、消費者がLPガス料金を知った上で賃貸住宅に入居できるようにすることです。今回の規律では消費者が直接LPガス事業者に問い合わせた場合には応じなければならないという義務になっています。是非お問い合わせいただけたらと思います。 そして三部料金制です。こちらは来年4月2日から施行され、その日以降のLPガス料金の請求書か通知においては、全ての料金において基本料金、従量料金、設備料金という三つに分けて通知をすることが義務化されます。この狙いは、料金の透明性を高めながら費用回収のあり方を適正化することです。賃貸住宅の場合、例えばエアコンなど最初からその建物についている設備であれば、それは家賃に含まれると考えるのが通常ではないでしょうか。そうしたものがLPガス料金として上乗せされているのは、費用のあり方として適当とは言えないと思います。ここを正していくことが、この記述の目的です。 ここで消費者の皆様にご理解いただきたい点は、今回の制度改正をもってして、消費者がトータルで見た費用負担は変わらない、ということです。来年の4月以降の新規の契約からは、例えばLPガス料金に設備費用が計上できない分だけ、それは家賃に含まれるため、家賃が上がることも考えられます。もしくはLPガス料金から設備料金はなくなる代わりに、設備のリース代、もしくは購入費用という形で消費者が負担することもあり得るということです。LPガス料金が下がるかどうかは、今後の個別の契約のあり方次第という点をご了解いただけたらと思います。 実行性確保策としては、まず通報フォームです。こちらに寄せられた情報は今後の違反の取り締まりに使っていきますし、関係省庁と共有していきます。そして、今後の市場モニタリングに集まった情報を類型化して世の中に出し、皆様に評価いただく形で市場を適正化していきたいと思っています。 規制当局による監視執行体制の整備は強く要請いただいており、すでにどのような執行取締りが期待されるのかといった説明を始めています。 不動産関係者へは、LPガス事業者に対して利益供与を求めることは、コンプライアンス違反を求めるものとして問題になり得る、という考え方を示して、@LPガス事業者に対して利益供与を求めないこと、A消費者に対してLPガス料金表等の情報を適切に提供するということ、B三部料金制に関する相談があった場合にきちんと対応することの三つを要請しております。 その他業界の自主的な取り組みを聞く事業者連絡会の開催も重ねております。自主取組宣言の実際の状況、フォローアップ調査も行いたいと思います。いずれにしても制度改正をやりっぱなしでは終わらせず、しっかり取り組んでまいります。 パネルディスカッション コーディネーター 橘川さん)はじめにパネルディスカッションから参加の方、所属団体の活動についてご紹介ください。 全国LPガス協会 村田さん)改正省令公布に合わせ、「取引の適正化・料金の透明化に向けた行動指針」を作成しました。その基本原則は1.顧客との信頼関係構築、2.顧客以外の関係者との信頼関係構築、3.社会への貢献、の3項目です。この行動指針の周知・啓発とともに自主行動宣言を促し、今後フォローアップしていく予定です。LPガス事業者の「自主取組宣言」は、取りまとめホームページに公開(6月27日現在779件)しています。 北海道生協連、LPガス問題を考える会 川原さん)2015 年に北海道消費者協会等と LP ガス問題を考える会を結成し、 組織として活動を継続してきました。調査に基づくエビデンスを提示し、理不尽な商慣行是正に向けて、消費者への啓蒙と行政・業界・社会への働きかけを続けてきました。LPガス料金の調査結果では、北海道大学周辺の極めて狭い範囲のLPガス対応の賃貸アパートマンションで、基本料金含む5m3料金で、同一地域の業者間格差が二倍以上、さらに同一地域にある同一業者の価格格差も最大1.8倍あることが明らかになりました。 NPO神奈川県消費者の会連絡会 今井さん)LPガスの価格調査は、2017年100社から開始し、2019年からは神奈川県内全社(年度により718〜649社)に対して価格の聞き取り調査を実施しました。最初の2019年は32.9%、2020年は48.1%。2021年は65.1%。2023年が73.7%と徐々に価格を教えていただけるようになり、事業者の意識も価格は公表して当然と意識が変化してきています。 全国消費者団体連絡会 郷野)LPガス問題については2017年のガス自由化前から、継続して取り組んできました。昨年3月液石ワーキンググループの再始動後は、資源エネルギー庁、国土交通省、公正取引委員会、消費者庁、消費者委員会に省庁間で連携して取り組むように、LPガス事業者団体に対しては、賃貸集合住宅のLPガス料金の情報提供の徹底などを求めてきました。消費者へはLPガス契約の際にするべき具体的な行動などを学習会などで提案してきました。 ディスカッション1:ここまでの到達点評価について 郷野)全国LPガス協会が、自主取組宣言をされた事業者をホームページで公開していることは消費者にもわかりやすく、制度改正への理解や取り組みが進むものと期待しています。今後は地域別規模別の分析なども盛り込むと、より業界全体で課題を洗い出して、改善していけるのではないでしょうか。消費者庁や全国LPガス協会でもチラシを作っていただいていますが、消費者団体でも啓発リーフレットの作成を考えています。行政事業者、消費者団体ともに、協働しながら取り組みを進めていけたらいいと思います。 川原さん)LPガスの長く続いた悪しき商慣行でおいしい思いをしてきた勢力が抵抗勢力としてなっていたなどの困難の中で着実な前進をしてきているのが基本評価。しかし油断はできません。2017年の省令一部改正と指針制定の後も事業者は守らなかった、行政は守らせられなかった、社会と消費者も許してしまったという苦い経験を繰り返さないためにも取り組み強化が必要です。この教訓を生かして、実効性確保の手立てとして通報フォーム、自主取組宣言、公開モニタリングが提起され始まりつつあることは大きいです。賃貸集合住宅におけるLPガス料金には消費者被害の側面があるということが共通認識になったことはすごく大きなことです。 村田さん)7月から第一段階の施行が始まっていますが、事業者の方々は必ずしも十分認識されていない感じなので、いかに事業者に理解を深めていくかは非常に重要です。制度改正に入る前の今がチャンスとばかりに抜け駆け的な行動をする業者がいることは大きな問題で、しかも、自主取組宣言をしている事業者に対してむしろ狙い打ちする商道徳にもとるような事例も見受けられます。7月の施行以降、しっかりとモニタリングをして、場合によっては摘発をしていただくことも必要と考えます。 今井さん)LPガス料金について、どういう仕組みなのかをわかった上でガスを利用するよう学習、啓発していかなければいけないと思う。最近はパンフレットだけではなくて、動画ユーチューブ配信などの情報発信の仕方も取り入れながらやっていかなければいけないと感じます。 日置さん)まず制度は一旦作りましたということでしかなく、まだ周知が必要だと思っていますし、実効性こそが涵養。その傍らで業界の自主的な取り組みを、進めていただいた業界団体の方には、感謝を申し上げたい。 ディスカッション2:実行性を高めるためのポイントについて 村田さん)罰則付きの法令改正がなされているので、それが張り子の虎にならないようにやってく必要があります。懸念をしているのは液石法は、保安の確保と取引の適正化と2本柱になっていますが、長い間保安の観点に非常に重点置かれてきた経緯があり、消防当局は取引適正化について、ほとんど知見がないような状況です。今回新しい規制が入ったことで、地方自治体が改正省令の施行、場合によっては強権発動もあり得るということをしっかりと認識して機動的に動けるような体制をいかに構築していくかが大事なポイントになってきます。 川原さん)液石法の取り締まりには制限があり、不動産に関わることや、実際に影響力を持っているオーナーの関わりを規制等々できない。したがって、国交省管轄の不動産関係のところの取締を法律の改正も含めてどうやっていくのかというのは、実効性確保においては極めて大きなポイントと思っている。被害状況を共通認識にすることと、国交省の関わりがポイントになると考えています。 郷野)通報フォームに寄せられた情報の分析と課題確認をしっかり行い、ガイドラインに反映していくことが必要です。検査体制においては、地方局や地方自治体の協力が不可欠。各自治体の保安担当、液石法の担当者と政令指定都市担当者への説明会のほか、商慣行是正についての検査マニュアルの作成、 検査要員への教育研修などはしっかり進めていただきたい。今後は検査項目も増えることになるので。検査要員の増員などの体制強化も必要です。 今井さん)入居後も価格に対する興味関心が持続するよう、行政あるいは事業者に対して価格の表示、検針票、請求書共に大きな字(14ポイントかそれ以上)、太字ではっきりと書いていただくと、消費者も勉強しようという気持ちになるかと思います。せっかく市場監視のための通報フォームができているので、そこにアクセスして興味関心を広げていくことが大切だと思います。 日置さん)通報フォームの存在を周知し、そこに個別具体的な情報をお寄せいただくことが取締にもつながると思っています。仮に抽象的な情報であったとしても、市場の温度感を測る情報として活用・共有しながら、市場改善につなげていきます。体制の整備に関しては、ガイドラインも固まったということもあり、自治体向けに具体的な取締方針や留意点の説明会を開催しています。不動産関係者への対応も含め、あらゆる手を尽くしてこの改革が進むように取り組んでまいります。 橘川さん)悪者があぶり出されるかどうかだと思います。通報フォームや、いろんな措置をやってきて、悪者がわかってきている。それがきちんとした証拠を伴う形であぶり出されるかどうか、そこまで踏み込めるかどうかは、実効性のポイントになってくるんじゃないか。 最後に一言 郷野)LPガスは消費者の生活に欠かせないエネルギーです。持ち運びに優れ、利便性が高く、離島や山間部、災害時などにも重要なエネルギー源として利用されています。不透明な商慣行でLPガスが敬遠されることは消費者にとっても良いことではありません。誰もが納得して利用できるものとするために、皆さんと連携して取り組んでいきたいと思います。 今井さん)この問題、本当に長い長い時間が掛かっているなと感じてます。こんなに、毎年調査しなければならないというのはやはり問題あるのかなと感じております。基本料金、従量料金の割り出し方も知らない消費者もいますので、私たち自身も啓発していかなければいけないと思っております。 川原さん)少子高齢化が進んで独居生活者の数がどんどん増えている今日、LPガス業界には、将来のビジネスビジョンが必要だと思っていて、地域から支持され、地域に根差すビジョンを是非消費者や地域に示していただきたいと思います。その実現に向けて行政、業界、消費者が今後も連携できればと思っています。 村田さん)LPガスは国民的生活にとって非常に大事なエネルギーであるという励ましのお言葉をありがとうございます。おっしゃる通り、国民生活の基盤を担い、化石燃料の中では、相対的に環境に優しいエネルギーです。また、何と言っても地勢学的リスクが低く、有事の際も非常に期待のできるエネルギーだと思っております。そういう意味からすると、唯一のアキレス腱と言われたのがこの商慣行の問題です。この問題をきちんと解決して、消費者の方々に選択されるエネルギーとなるべく、今後も努力したいと思います。 日置さん)この改革を何のためにやっているのかといいますと、まずは消費者被害と言われている課題に取り組むことです。LPガスを消費しなければ生活ができないというエリアもたくさんあり、消費者に信頼されるエネルギーに何としてでもなっていくことだと思います。無償貸与といった商慣行からきっぱりと足を洗って消費者と向き合うビジネスは、おそらくLPガス業界、不動産業界で働く方々にとっても気持ちよく働ける職場ではないかと思います。それがひいては、信頼されるエネルギーに繋がっていく。そういった世界を目指して、一緒に歩んでいただけたらと思っております。 橘川さん)日本の歴史の中でも今回のように消費者が動いて社会が変わったことは、そんなにあることではないと思います。実効性高める上で消費者ができることはたくさんあると思います。通報は消費者もできます。賃貸のLPガス事業者に対しては、設備費を含んでいるかを聞けば答えなくてはいけないので、きちんと聞いた方がいい。自主適合宣言もちゃんと見て、五段階評価のような評価をするのも面白いのではないかと思います。これからも今までの流れをもっと大事にして、消費者の力で調査・確認していきたいと思います。 最後に、川原様のご協力をいただいて、朝日新聞、エネルギーフォーラム、石油ガスジャーナル、石油産業新聞社、北海道新聞、毎日新聞から今回の省令改正についてのコメントをいただきました。 以上 |