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「契約書きちんと見ていますか? 賃貸住宅におけるサブリース事業とは、賃貸管理事業者が建物所有者(家主)等から建物を転貸目的にて賃借し、自らが転貸人となって入居者(転借人)に転貸するシステムによって行う賃貸管理事業です。国土交通省では、平成19年に、サブリース事業の当事者間における紛争の未然防止を図るため、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」を作成・公表していますが、この度、平成23年に創設、平成28年に一部改正された「賃貸住宅管理業者登録制度」や、民法の改正を踏まえた改定が予定されています。 また、「賃貸住宅標準契約書」(案)については、昨年8月に実施されたパブリックコメントの意見と賃貸住宅の保証のあり方の変化等を踏まえ、修正がされています。 国土交通省の担当の方を講師に学習会を開催しました。 【日 時】 2018年2月14日(水) 18時00分〜19時40分 【会 場】 主婦会館プラザエフ 5階会議室(東京・四ツ谷) 【参加者】 20名 【講 師】 国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 不動産業指導室 課長補佐 佐藤篤さん 概要(事務局による要約) 賃貸住宅標準契約書(案)家賃債務保証業者型・連帯保証人型について(元島時蔵さん) ◆賃貸住宅標準契約書(再改訂版)について 賃貸住宅標準契約書は、賃貸借契約をめぐる紛争の防止、借主の居住の安定及び貸主の経営の合理化を図ることを目的に作成されています。 民法改正(2020年4月施行予定)や、住宅の賃貸借契約で一般的に起こり得るケースを踏まえ、賃貸住宅標準契約書(再改訂版)(案)」のパブリックコメントを実施(平成29年7月24日〜9月10日)しました。(全国消団連でも2017年8月17日に学習会を開催し、意見も提出しました。)このパブリックコメントのご意見(22の個人、団体の方から111項目)は、「平成30年3月版」に反映しています。 ◆賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)について 賃貸借契約の約9割以上が何らかの保証を求めていて、そのうち約6割が家賃債務保証会社を利用しています。民法改正で極度額の設定が要件化されることで、連帯保証人がなかなか確保できなくなることも考えられます。そこで、従来の標準契約書は「連帯保証人型」として、別途「家賃債務保証業者型」を追加作成しました。 ◆家賃債務保証業者の登録制度 家賃債務保証業者について、一定の登録基準や業務ルールを定めることにより、業務の適正な運営確保などを通じて、借主や貸主が安心して家賃債務保証を利用できるよう、平成29年10月に創設された任意の登録制度です。登録事業者は国交省ホームページで情報提供しています。(平成30年3月26日現在で42社が登録しています。) サブリース住宅原賃貸標準契約書(案)について(佐藤篤さん) ◆サブリース事業 サブリースとは「転貸借」のことで、貸主(大家)から転貸目的で、不動産会社(サブリース業者)が貸主の所有するアパート等を一括で借り上げ、借主(入居者)に転貸する仕組です。 貸主にとってのメリットは、例えば、アパート10戸のうち8戸しか入居していなければ、8戸分の家賃しか入らないところ、アパート1棟のサブリース契約であれば、10戸分の家賃(手数料など差し引かれます)が入り、収入が安定することです。管理はサブリース業者が行い、貸主は修繕等を行うことになります。なお、アパート所有者が自ら大家をしていることは少なく、8割は管理会社に委託をしています。 このような賃貸住宅が増えた理由は、平成15年1月の相続税改正で非課税枠が小さくなり、土地をそのまま持っているよりアパートを建てて貸したほうが相続税を安くできるなどの謳い文句でサブリース業者が宣伝したことや、金利も低くアパートローンが借りやすかったことなどがあります。 ◆賃貸住宅管理業者登録制度 登録事業者の業務ルールを定めることで、適切な運営を確保し賃貸住宅管理業の健全な発達を図り、借主及び貸主の利益の保護を図る制度です。登録は任意ですが、約4000社(全体の半数)が登録しています。 貸主・借主の認知度の低さ、サブリーストラブルの苦情、相談が多いことなどを踏まえ、賃貸住宅管理業者登録規程や賃貸住宅管理業者処理準則の一部が平成28年8月に改正されました。 ◆サブリース住宅原賃貸標準契約書 今回の改訂では、賃貸住宅管理業者登録制度の規定の反映と環境変化を踏まえた内容として、民泊の可否やサブリース業者からの期間内の解約の一部制限、賃貸住宅管理業者登録の有無などを位置づけています。 ※全国消団連では「サブリース住宅原賃貸借標準契約書(案)平成30年3月版」に関する意見を3月1日に国土交通省住宅局住宅総合整備課に提出しました。 以上 |