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自由民主党 消費者問題調査会に、
「『生活安心プロジェクト』の充実のために、
地方消費者行政の充実・強化を強く求めます」と、
提言を提出しました。

2008年2月27日

自由民主党 消費者問題調査会 御中

「生活安心プロジェクト」の充実のために、
地方消費者行政の充実・強化を強く求めます

全国消費者団体連絡会・地方消費者行政調査プロジェクト

〔はじめに〕

 全国消費者団体連絡会(全国消団連)では、消費者にとって最も身近な地方消費者行政の充実を課題の一つと位置付けています。2001年には地方消費者行政調査プロジェクトを設け、7年間「都道府県における消費者行政調査」を実施してきました。

 そこから見えてきたことは、財政的には一般会計以上の削減を強いられながらも、次々起こる消費者被害の救済活動等に奮闘する、自治体の消費者行政部門や消費生活センターの姿です。

 今、「安全・安心を第一に、消費者や生活者の視点に立った行政へと大きく発想を転換すべき」との福田内閣総理大臣の方針のもとに動きが加速しており、国民生活審議会でも、当面の課題に対する対応と今後の方針が議論されています。

 全国消団連は、これらの議論とその結果は、消費者の不安や不信を払拭し、消費者の権利の実現に役立つものとならなければならないと考えます。その観点から、プロジェクトのこれまでの調査活動から得たことを元にして、特に消費生活相談体制に関することを中心に、新しい消費者行政の前進に結びつくよう以下、提言します。

〔提 言〕

 消費者からの苦情相談を受けて紛争解決し、必要な場合には事業者に対する行政指導・処分に奮闘しているのは、地方自治体の消費者行政部門職員、消費生活センター等の相談窓口の職員や相談員です。消費者被害の拡大とともに、その役割と責任はこれまで以上に重いものとなってきています。

 しかし全国消団連の調査からは、その体制や人材などについて、脆弱な自治体の様子が読み取れます。住んでいる地域によって、消費者からの相談への対応や被害の救済体制に違いがあることは問題です。全ての都道府県で、同じ水準での消費者行政の執行が望まれます。

 都道府県における消費者行政予算は、一般会計の減少幅を大きく上回る率で年々減額*1されているのが実態です。いくつかの市町村レベルの調査においても同様の傾向があります。職員数の減少傾向*2も続いています。

 消費者被害の複雑化、多様化、広域化への対応を、一つ一つの自治体での努力にゆだねることの限界がきています。国としての政策的判断が必要なときです。自治体任せにすることなく、国としてのしくみを整え、支援をしていくことが必要です。とりわけ以下の3点を強く求めます。

*1 全国合計での2003年度から2007年度への減少率。一般会計予算:−2.5%。消費者行政予算(本課+消費生活センター):−25.0%。消費者行政予算比率:−24.2%。
 
*2 全国合計での2003年度から2007年度への増減率(専任・検認合計)。本課:+3.7%。消費生活センター:-9.1%。計:−5.5%。
 

1.消費者行政担当部門や消費生活センターの職員・相談員の能力向上のためのしくみと支援が必要です

 消費者にとって消費者問題の解決は、日常的に身近な地域でなされることが重要です。しかし、向き合っている自治体の職員・相談員は、新手の悪徳商法や、めまぐるしく変わる消費者関連法に対応して悪戦苦闘しています。消費生活相談の資格取得状況*などの問題点もあります。市町村レベルではさらにその状況が加速しています。

 こうした現場の状況を改善し、消費者の権利を基点にして業務を遂行するためには、人材の育成・確保が急務です。個人の力量と経験に頼るだけでなく、国としての充実した研修制度が整えられる必要があります。

 相談員の雇用状況の改善も、結果的には消費者の権利の擁護につながると考えます。優秀な人材を確保するために、安心して働ける仕組みも必要です。

*有資格者のみ:19都道府県。無資格者を含む:28県(内、その割合が50%以下の県は4県)
 

2.行政処分の執行体制の強化に向けて、環境整備が必要です

 都道府県での特定商取引法上の行政処分(「指示」「業務停止命令」)は、ここ数年積極的になってはきましたが、こうした処分を行っているのは特定の都道府県に集中しているのが実状*です。各地で「経験がないのでやりにくい」「専任の担当者がいない」などの問題点も明らかになっています。

 こうした状況に対して、きめ細かな対応が必要です。例えば、行政処分経験のある県に職員が国内留学できるような助成事業の開発、警察を含む自治体内部の異部署間の連携がしやすい環境の整備などによって、執行体制の強化・向上を図るべきです。

*2006年度の処分件数:59件、20都道府県。これまで処分経験のない県は約半数。
 

3.PIO‐NET情報網をバージョンアップし、感度の高い情報管理のしくみを作ることが必要です

 消費者被害に関わる情報の収集・発信に求められるのはスピードです。自治体の相談窓口で収集された情報を可能な限り早く、同質の情報ごとに集約・分析し、必要な情報として消費者に提供・発信するしくみが必要です。

 現在、PIO‐NET情報網がありますが、これに加わっていない自治体も含めたバージョンアップが必要になっています。また、収集した情報から、危害予測をし、自治体や相談現場等に注意喚起の情報を発信する、感度の高い情報提供システムが求められています。

以 上

「2007年度・都道府県における消費者行政調査」報告書

 報告書概要版 こちら【PDF 177KB】

 報告書目次は こちら【PDF 176KB】

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担当:蓮澤・北村
電話 03-5216-6024 FAX 03-5216-6036
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