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税・社会保障分科会報告(要旨)

「人間らしく暮らすための、税・社会保障を考える」

参加団体数:49団体 参加者数:71名
 

 午前中は暉峻淑子:埼玉大学名誉教授から、「豊かさの条件」についての講演をいただきました。暉峻さんから、「税金」とは何か。人間は一人では生きていけないのだが、お互いの協力・協同関係を、現代社会では「賦役」ではなく「税金」で代替している。では私たちの払った税金の使いみちは、誰が、どう決めるのか。その役割を担う国家・地方自治体の分担と責務などについて、分かりやすく説明いただきました。また、現在の少子化や消費の低迷は、私たち国民の生活不安や生活の不安定さに起因するのではないかとの指摘もありました。暉峻さんが住んでいたドイツにおける失業者支援の話などを通して、弱者に冷たい日本の状況が浮き彫りになりました。最後に、現在日本の企業で正社員とフリーター・派遣職員と、「雇用の階層化」が進んでいることについて、この階層が固定化して次世代に引き継がれていく可能性があるという指摘があり、本当の民主主義社会について、考えさせられる講演となりました。

 午後は、税・社会保障制度に関わる活動報告と意見交換を行いました。

 不公平な税制をただす会の富山さんからは、集めた税金をいかに再配分するか、「公平さ」をどう考えるかについて、各種試算の紹介がありました。

 全国商工団体連合会婦人部協議会の牧野さんからは、「2003全国業者婦人の実態調査」によると、中小業者の半数近くが赤字と答えたこと、国民年金を滞納している世帯が15.8%にも上ることが報告されました。

 日本生活協同組合連合会の皆地さんから、「全国生計費調査」と「税・社会保険料しらべ」に見られる税・社会保険料の負担が収入の約10%にも上ること、消費税の逆進性が調査結果でも証明されることなどが報告されました。

 全国老後保障地域団体連絡会の後藤さんからは、2005年の介護保険改定に向けて、厚生労働省に提起している「介護保険の見直しにむけた7つの提言」についての紹介がありました。

 東京保健生協の今井さんからは、病院の利用者あるいは組合員の訪問活動から見えてくる「気になる事例」の紹介がありました。「安心で穏やかな生活」を営む権利をもう一度考えるという意味で、憲法25条を読み上げていただきました。

 質疑応答・フリートークでは、所得格差の拡大について、そもそもどうしてこれほどの財政危機に陥ったのか、といった意見・質問が出されました。また、「自分がどれだけ税・社会保険料を負担しているか」を知らない人も多いことが取り上げられ、まず自分がどれだけ負担しているかを知ること、そしてその使い方まで知ろうとすることが国民の義務ではないか、という声が多く出されました。
 

分科会アピール

 富める者がより富める社会は民主主義か? 税・社会保険料については、財源と、使い方の両側面を、私たち自身がより意識し、行動することが大切です。

埼玉大学名誉教授
暉峻淑子さん
不公平な税制をただす会事務局長
富山泰一さん
日本生協連 皆地恵実