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特商法の抜本的改正を求める全国連絡会 結成集会 開催報告

≪主催:特商法の抜本的改正を求める全国連絡会≫

【日時】2022年10月7日 18時30分〜20時00分〔Zoomウェビナーを活用した集会〕

【参加】約265人

 特定商取引法(以下、「特商法」)は、2016年(平成28年)改正法の附則に定められた、いわゆる5年後見直し規定に基づく見直しの時期を、本年12月に迎えることになります。様々な立場の組織・団体・個人が広く手を結び、法改正の実現を目指し「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会」を結成することとなりました。結成集会では、設立趣旨や規約、役員の報告などがありました。
 以下、「記念講演」と「獲得目標と今後の取組み」の概要を報告いたします。

■記念講演〜特商法対象分野における消費者被害の実情と特商法の課題〜

弁護士 池本誠司さん

 2021年消費生活相談の販売購入形態を年齢別で見ると、訪問販売の39.6%、電話勧誘販売の35.1%、訪問購入の55.7%が70歳以上の高齢者の相談です。また、マルチ取引の43.6%が20歳以上の若年者の相談になっています。

 特商法の2016年改正では「電話勧誘販売に過量販売解除権を導入」「事前承諾のないFAX広告送信禁止」「法人役員に対する業務禁止命令」「契約代金の支払いのため借り入れに同行等の禁止」「美容医療サービスを特定継続的役務提供に追加」がされました。「事前拒否者に対する訪問・電話勧誘の禁止」については、残念ながら産業界の反対により見送りになりました。

 附帯決議では、「高齢者等に対する訪問販売及び電話勧誘販売による被害の未然防止が喫緊の課題であることに鑑み、法執行の強化等の対策を推進し、特に平成20年改正で導入された再勧誘の禁止を遵守させるとともに、事業者による自主規制の強化を促すこと。また、引き続き高齢者等の被害が多発した場合には、諸外国の取組等も参考にしつつ、勧誘規制の強化についての検討を行うこと」とされています。

 次回改正に求める事項は、「訪問販売・電話勧誘販売の被害防止」として、事前に拒否した者に対する訪問・電話勧誘を禁止とすること。訪問販売お断りステッカー、Do Not Call,Do Not Knockの導入が必要です。海外の法制をみると電話勧誘販売でDo Not Callは多数の国で導入、訪問販売でのDo Not Knockの導入も次第に増えています。全国消団連や消費者庁の消費者意識調査では、訪問販売や電話勧誘販売は96%以上で「必要ない、来てほしくない」との回答がありました。

 実現するための課題は、健全な訪問販売業への配慮として、高齢者や乳幼児を抱える世帯等への食材の宅配や、民主政治の基盤となる新聞宅配制度の維持は必要であるため、適用除外制度や登録制などの検討が必要になると考えます。世論の賛同を得ると共に、マスメディアや議員の賛同が重要で被害実態の紹介や多くの消費者団体や高齢者団体の声を広げることが必要です。

 次に「インターネット通信販売の被害防止」があります。SNSを利用した勧誘トラブルが拡大しており、通信販売の特別類型として広告規制やクーリングオフ、取消権、勧誘行為規制が必要ではないかと考えます。ネット広告画面は短期間で変更され、削除されやすいため、一定期間の保存義務や消費者の申し出で開示義務を設けることなどが考えられます。特商法の通信販売業者に対しても業務適正化体制整備義務の指導・勧告・公表制度を入れることも考えられます。

 「マルチ取引(連鎖販売取引)の規制強化」として、2010年度以降、毎年1万件前後の苦情相談があり、悪質業者が横行している状況で開業規制の導入や、儲け話の情報商材などのモノなしマルチや勧誘後に紹介利益の提供を行う後出しマルチなど、22歳以下の若年者などに対する勧誘禁止や後出しマルチを適用対象に位置づけにするなど、規制の強化が考えられます。

■獲得目標と今後の取組みについて

全国消費者行政ウォッチねっと 拝師徳彦さん

私たちの獲得目標1〜不招請勧誘(およびでない勧誘)規制の強化〜
 訪問販売や電話勧誘販売について、消費者があらかじめ拒絶の意思を表明した場合には勧誘してはならない制度とするなど規制を強化すること。

私たちの獲得目標2〜SNS等のインターネット通販への規定整備〜
 SNS等のインターネットを利用した通信販売の「勧誘」等について、クーリング・オフや契約取消権、行政規制を導入するとともに、悪質商法の被害を受けた場合は、SNS事業者等に対し、販売業者等についての情報の開示を請求できる制度を導入すること。

私たちの獲得目標3〜マルチ商法規制の強化〜
 連鎖販売取引について、国による登録・確認等の開業規制を導入するとともに、規制を強化すること。

 これらの獲得目標を実現するための取組みとして、各団体からの意見書発出すること、全国連絡会への加入をして情報を共有すること、各地域で関係団体と連携してシンポジウムを開催すること、地方議会請願や署名のお願い、アンケートへの協力をお願いします。

以上

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