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電気通信サービスの課題と消費者保護〜第2弾〜学習会 開催報告

 全国消団連で2021年8月11日に学習した、情報通信市場における公正な競争環境の整備や電気通信サービスにおける消費者保護の在り方についての第2弾学習会として開催しました。

 今回は、電気通信分野における消費者保護ルールや携帯電話会社の乗り換えが簡単・便利になっていること(違約金の撤廃、SIMロックの禁止、キャリアメールの持ち運び開始など)について、最近の利用者の動きも踏まえて、説明していただきました。

【日時】2022年4月14日(木)14時00分〜15時30分〔Zoom活用オンライン学習会〕

【講師】竹内 史生さん(総務省総合通信基盤局電気通信事業部 消費者行政第一課 課長補佐)
望月 俊晴さん(同省 料金サービス課 課長補佐)
相良 智弘さん(同省 料金サービス課 課長補佐)

【参加】47人

概要(事務局による要約)

■「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021」を踏まえた制度改正

◇電気通信事業法施行規則改正(2022年7月施行)の概要

①電話勧誘における説明書面を用いた提供条件説明の義務化

 現行では「電話勧誘の説明の際は、原則書面を交付して、提供条件の概要説明をしなければならない。ただし利用者の了解があれば、代替的な説明方法(たとえば、電子メール送信、Webページ掲載など)によることができる」とされています。

 改正後は、「利用者が電話で意思表示をする場合は、利用者の求めがない限り、書面の交付を必要とする」と規制が強化されました。また利用者の求める理由が、事業者の誘導に起因するものの場合などは不可となります。

②利用者が遅滞なく解約できるようにするための措置を講じることの義務化

 現行では規制はありませんでしたが、改正後は、利用者が遅滞なく解約できるようにするための適切な措置(たとえば、Web解約、オペレーターを十分配置して電話により遅滞なく解約、解約の予約など)を講じることを義務化します。禁止の行為は、契約手続きと比較して解約の電話が繋がりにくいことや利用者が望まない引き止めです。契約も解約もスムーズにできることが望ましいと考えます。

③解約に伴い請求できる金額の制限

 現行では大手携帯会社等が提供する移動電話通信サービスの違約金等の上限が1,000円、それ以外の事業者は規制がありませんでした。改正後は、全ての事業者が提供する消費者向け電気通信サービスの違約金の上限は月額利用料相当額としました。解約の際に多額の金銭を請求されるスイッチングコストを下げることを目的としています。違約金を規制しても他の品目の請求を認めてしまうことがないよう、具体的に請求できる品目や考え方を示しています。

◇電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン改正の概要

 「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021」(2021年9月公表)を踏まえ、①望ましいとされた事項、②ガイドライン等において明確化することが適当とされた事項を追記しました。

■携帯電話ポータルサイトのリニューアルの案内

 自分に合った携帯電話サービスを選ぶ際に役立つ情報をまとめた「携帯電話ポータルサイト」をリニューアルしました。
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/index.html

■電気通信分野の最近の動向

 現在、電気通信事業者(MNO:自社で回線網を有する大手キャリアのこと。MVNO:格安SIMなど、大手キャリアから回線を借りてサービスを行う通信事業者のこと)では、これまでより安い新たな料金プランが様々発表されています。また最近では、音声通信料金(通話料金)の値下げを行っている事業者もあります。

 昨年から今年3月にかけての料金プラン(電気通信事業者ごと)の動きをみると、価格は安くなり、使える容量ギガ数は増えていますので、利用者にとって使いやすくなっていると言えます。この価格競争は、2021年2月以降に各社が安い料金プランを発表し活発化しました。現在、携帯電話契約数の約2割(約3,310万人)の方が、新しい料金プランを利用しています。

 2021年3月に実施した利用者意識調査(総務省)では、携帯電話会社の乗り換えをしたことがない人が47.4%、1回以上乗り換えた経験がある人は半数以上でした。2022年2月の調査で、新料金プランに乗り換えた人の約6割で携帯電話料金が安くなったと回答し、その平均額は年間約23,000円でした。

 モバイル市場の競争の促進及び電気通信市場の環境の変化に対応した利用者利益の保護を図るための電気通信事業法の一部を改正する法律(2019年10月施行)によって、「通信料金と端末代金の完全分離」「行き過ぎた囲い込みの是正」等の措置を行ってきました。

 また、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」(2020年10月27日公表)により取り組みを進め、各社の料金値下げや事業者間の乗り換えが起きていると考えられます。

①携帯電話市場における「過度な囲い込み」の解消

 過度な囲い込みにつながる条件(違約金、契約期間、長期利用割引)に上限を設定しました。現在、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは違約金を撤廃(違約金0円)しました。既往契約の更新・継続で上限を超える割引契約は、2024年以降できなくなる可能性があります。

②携帯電話の他事業者への乗換え・同一事業者内でのブランド等変更に係る手数料

 他事業者に乗り換えをオンラインで行う時は0円(店頭で手続きサポートは3,000円)、同一事業者内でのブランド等変更に係る手数料も基本的に0円になっています。スイッチングコストを少なくして利用者が動きやすくなり、各社の競争が起こり、価格が下がるなどが期待されます。

③SIMロックの原則禁止、eSIM(組み込み型SIM)の導入促進

 2021年10月以降販売の新端末についてはSIMロックを原則禁止になっています。eSIMも全ブランドで対応済みです。

④キャリアメールの持ち運びサービスの提供開始

 他社への乗り換え時に、キャリアメールの持ち運びがMNO3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)において可能になりました。月額330円(ソフトバンクは年額3,300円)の料金が発生します。

以上

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