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「減塩」の取組みの今!!
〜食塩の過剰摂取の課題解決と持続可能な食環境づくりのために〜 学習会報告

 活力ある人生100年時代の実現と健康寿命の延伸に向けて「食塩(ナトリウム)の過剰摂取」は社会の大きな栄養課題となっています。厚生労働省主催の「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」においても「減塩」の重要性が大きく取り上げられました。また各食品事業者においても「減塩」を見据えた様々な取組みが展開されています。今回は厚生労働省とキッコーマン(株)から講師をお迎えし「減塩」の取組みを学習しました。

【日時】8月26日(木)14時00分〜16時00分〔Zoomによるオンライン学習会〕

【講師・テーマ】
厚生労働省 健康局健康課 栄養指導室 室長補佐 塩澤 信良さん
「自然に減塩できる 健康的で持続可能な食環境づくりの推進」
キッコーマン株式会社 研究開発本部 研究開発推進部 部長 五味 恵子さん
「キッコーマンの取組」

【参加者数】85人

概要(事務局による要約)

■自然に減塩できる健康的で持続可能な食環境づくりの推進

(講師:厚生労働省 塩澤 信良さん)

◇社会情勢と栄養課題

 食塩の過剰摂取は、我が国を含む東アジアでは、非感染性疾患(生活習慣病)による死亡や障害に繋がる最大の食事因子となっています。日本人の食塩摂取状況は減少傾向にあるものの2019年の平均値は一日10.1gで、主要な先進国の中でもトップレベルにあり、WHOの推奨する一日5g未満と比べると2倍の量にもなっています。「健康日本21(第二次)」の目標値では一日8gとされますが、男女とも全年齢で目標には達していない状況です。また2020年版の食事摂取基準では、ナトリウムの過剰摂取による生活習慣病の発症予防を図る目的で成人の目標量を男性7.5g未満・女性6.5g未満と設定しています。

 食塩摂取量は家庭内調理からの割合が最多であり、約6割が調味料由来のものとされています。また食塩摂取量が多くても食習慣の改善の意思がない者が半数以上であり、今後減塩の取組を効果的に進めるには健康関心度にも考慮する必要があります。

◇減塩の推進の方向性

 減塩を優先とした栄養面の改善を軸としつつ、事業者が行う環境面に配慮した取組みにも焦点を当てながら、産学官等が連携して取組みを進めていきます。栄養面等に配慮した食品を事業者が供給し、消費者は健康への関心度の高い低いに関わらず自然に選択でき、手頃な価格で購入し、普段の食事において利活用しやすくすることを目指します。国際的な動きも念頭に置きながら、欧米とアジアの食生活や栄養課題が異なることも十分に踏まえて推進していくことが重要であると考えます。

 また対象とする食品は、日本人の食塩摂取源が主に家庭の調理であることから、当面は内食と中食を対象としていきます。今後は具体的な取組の方策を推進するための組織体を作り、事業者が自らの行動目標を掲げて参画します。その成果は定期的に評価しながら厚生労働省のサイトでも公表し、見える化を図ることで参画事業者のESG評価の向上や事業機会の拡大に寄与していきます。この取組は消費者を含め様々なステークホルダーが一丸となって推進していくことが成功の鍵となります。

■キッコーマンの取組

(講師:キッコーマン株式会社 五味 恵子さん)

◇減塩しょうゆ

 日本人が摂取する食塩の約6割が調味料からのもので、中でもしょうゆは食塩摂取量全体の19%の割合を占めています。

 減塩・低塩しょうゆの出荷量は伸びており、通常のしょうゆの3%程度の出荷量になっています。アンケート調査によると「減塩しょうゆを使い始めたきっかけは?」の質問に対しては「塩分の摂り過ぎが気になる」「体によさそう」の声が多く「購入の理由」については「健康上の問題はないが予防のために薄味を心掛けている」という回答が多いことから、病気ではないが健康に留意して使っている方が多いことがわかります。減塩しょうゆの味が気に入っているという方も段々と増えており、使い始めると減塩しょうゆの味がちょうどよく感じる方が多いこともわかりました。

 減塩しょうゆと表示ができるのはしょうゆ100g中の食塩量が9g以下という基準になっています。現在では血圧を下げる機能がある「大豆ペプチド」が含まれるトクホのしょうゆや、機能性表示食品のしょうゆ、さらに大幅に塩分濃度を66%カットした超減塩しょうゆなども開発して販売しています。

◇ポジティブ減塩

 ダンゼン美味しい なのに減塩!という「ポジティブ減塩」をイメージとして、我慢する減塩からポジティブに健康とHappy Lifeを手に入れる減塩を目指しています。

◇レスソルライフ

 レスソルは、Less salt(=塩を減らす)からの造語で、キッコーマンが提案する減塩を表した新しいキーワードです。減塩のハードルを下げ、気軽に減塩調味料にチャレンジすることで、肩肘張らず簡単においしくやりましょうという提案をしています。HPなどでレスソルレシピの提案やSNSでのフォトジェニックな紹介なども積極的に行っています。

◇環境の取組

 ボトルの軽量化やラベルの薄肉化、ミシン目の改良、少量で滴下できるPET樹脂製二重構造容器の採用などを進めました。またしょうゆの搾り粕を牛の飼料として畜産農家に提供し活用しています。

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