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ゲノム編集技術応用食品〜今とこれからを知る学習会〜 狙った遺伝子を効率よく書き換えられるゲノム編集技術を使った食品の届け出制度が昨年10月から始まり、取扱要領の施行開始から10か月が経過しました。消費者からは市場流通について不安の声も上がる中、これまで継続検討とされていた「後代交配種等の取扱い」についてもこの9月以降「遺伝子組換え食品等調査会」の場で論議されることになっています。多くの消費者が関心を寄せているゲノム編集技術応用食品について、これまでの経過を振り返りながら、現在の状況と今後の見通しについて学ぶための学習会を開催しました。 【日 時】7月30日(木)14時00分〜15時30分 [ZOOMを活用したオンライン学習会] 【会 場】主婦会館プラザエフ 5階会議室 【講 師】厚生労働省医薬・生活衛生局 食品基準審査課 【参 加】97人 概要(事務局による要約) ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて 1、ゲノム編集技術応用食品について DNA・遺伝子・ゲノム DNA(デオキシリボ核酸)の二重らせん構造はワトソンとクリックが1953年に発見した。DNAの中には生物の設計図となる膨大な遺伝情報が暗号のように保存されている。DNAの二重らせん構造の中で遺伝的な形質を持っている領域を遺伝子という。例えば髪の毛を作る遺伝子、爪を作る遺伝子など。ヒトの遺伝子はおよそ2万2千、イネの遺伝子はそれより多く3万2千くらいある。ゲノムとは遺伝子の部分も含めDNAのすべての遺伝情報のことを言う。 品種改良(育種) もともとの遺伝的性質を利用して、美味しい、暑さに強い、栄養価が高い、病虫抵抗性がある、環境ストレスに強いなど、利用価値が高い部分を見つけその性質を残して品種として確立する。 遺伝子の突然変異 遺伝子には変わっていく性質がある(=突然変異)。なぜ起きるか⇒DNAの修復ミス(一部が欠ける・塩基が置き換わる・別な塩基が入る)が起き、遺伝子に変異が起こり機能が変化する。 ゲノム編集技術・・・遺伝子を切るハサミを狙った場所に送り込む技術 目的の性質を持つ遺伝子を苦労して探しだして交配し、長年かけて品種改良を行ってきたことが、ゲノム編集技術により、短期で効率的に確実にできるようになった。 最新のゲノム編集技術 自分の思った位置にクリスパー・キャスナインを送り込む → 狙った場所にくっついてぴったり切ってくれる(最新の分子生物学の最先端) → 欲しい性質が効率よく得られる 届出・公表 と 安全性審査 ゲノム編集技術の塩基配列の状況から2つの流れがある。 @従来の育種技術でも起こりうるリスクにとどまるもの→「届出・公表」 A従来の育種技術では起こり得ない変化のもの→「安全性審査」 ゲノム編集技術の取扱いにおける分類 <タイプ1> 単に切っただけのもの(今までと同じ育種技術)→届出・公表 2、後代交配種等の取扱いについて 後代交配種とは ゲノム編集技術応用食品として届出を行った旨の公表がなされた品種に、従来品種等(ゲノム食品の届出品種や遺伝子組換え審査後の品種を含む)を伝統的な育種の手法で掛け合わせ、別品種の食品として市場流通されるもののことを言う。 届出されて公表されたゲノム編集食品がこのまま世に出ていくことは基本的にはない。もっと強い個体が欲しいなどの理由で、従来品種と交配させながら安定性をさらに見ていくことになる。届出された当代ではないこの「後の部分」が全部後代交配種にあたる。この扱いをどうするのかの議論が必要となる。 ・考え方@・・・すでに届出された品種のそれ以降のものの安全性は、今の食品の育種方法と変わらないので届出不要ではないか ・考え方A・・・後代交配種の取扱いも届出にするべきではないか これまで後代交配種の議論をしていなかったが「後代交配種に特化した議論も必要」として宿題になっていたので、本年9月以降に議論が始まる。 3、質疑応答(抜粋) Q:事業者からの相談の受理状況と市場流通の予測は? A: 相談は来ているが件数や頻度は答えられない。市場流通も未定。後代交配種の相談はまだない。 Q:ゲノム編集食品として届出されたもの同士が後代交配種で掛け合わせる場合は? A: ゲノムとして届出された食品AとBとのそれぞれの後代交配種同士での掛け合わせもありうる。後代交配種になると色々なものと掛け合わせることになり広い。これから議論する。 Q:ゲノムのタイプ3と遺伝子組換えとはどのように違うか A: 出来上がったものはかなり近い。ゲノムは狙った場所を切れることが違う。遺伝子組換え食品は狙った場所を切るのは難しいが種を超えて組み換えることができる技術。それぞれの特色がある ゲノム編集技術の取扱いについては、表示の問題も含め、消費者から大きな関心が寄せられています。この秋から始まる後代交配種の議論もあわせて、今後どのようにリスクコミュニケーションを行っていくべきか、またメディアの関心がどう動くのか、注目していきたいと思います。 以上 |