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2019年PLオンブズ会議報告会

「何度言ったら事故情報を一元化できるのだ!
〜消費者安全行政の10年と課題〜」
開催報告

 日頃私たちの生活の中では、程度の差はありますが、さまざまな製品事故が発生しています。消費者は、同じような事故に遭っても「自らの不注意」で済ませてしまいますが、実はその事故は多くの人が経験している可能性があります。

 事故の再発防止には、事故情報を一元的に収集し、それを公開して、消費者、事業者、関係行政機関など関係者が活用することが必要です。これを大きな目標にして2009年に誕生した消費者庁は、今年創設から10年を迎えます。

 報告会では、現状を整理して課題を探り、事故情報の一元化のための解決策をみなさんと考えました。

【日時】2019年7月1日(月)13時30分〜16時00分

【会場】主婦会館プラザエフ 8階スイセン

【参加】72人

【スケジュール】

13:30   開会
13:35   報告①内閣府消費者委員会 消費者安全専門調査会報告書のポイント
      西田佳史さん(東京工業大学教授)
13:55   報告②キッズデザイン賞受賞製品の紹介
      小島昌芳さん(YKK株式会社ファスニング事業本部商品開発部)
14:15   パネルディスカッション
      パネリスト   西田佳史さん(東京工業大学教授)
高島竜祐さん(消費者庁 審議官)
宗林さおりさん(国民生活センター理事)
新井勝己さん(NITE製品安全センター参事 元所長)
長田三紀さん(情報通信消費者ネットワーク)
      コーディネーター   中村雅人さん(弁護士・PLオンブズ会議メンバー)
15:55   PLオンブズ会議からの提言
16:00   閉会

概要(事務局による要約)

■報告①内閣府消費者委員会 消費者安全専門調査会報告書(平成29年8月8日)のポイント
 西田佳史さん(東京工業大学教授)

 消費者安全専門調査会では、事故情報の更なる活用に向けた提言を5項目にまとめました。

1.事故情報データの品質の向上・・事故情報のデータは、入力を推奨する項目を明確化することが望ましいです。データ入力者のスキルの向上も重要です。事故が起きた場合に通報されるのは現在3%くらいで、情報が出しやすい環境作りも課題です。

2.新たなデータ分析の活用・・膨大なデータの分析に手間がかかり、現状は手作業で分析してい ますが、テキストマイニングやAI活用が必要です。たとえば、日本スポーツ振興センターでは、 学校で年間100万件起こる事故を集約しています。柔道の技の怪我をテキストマイニングで分析 したところ、背負い投げで死亡事故が多いことがわかり、指導マニュアル作成時に対応し、防止効果が出ていることがわかりました。

3.事故情報を伝達する新たな仕組みの構築・・消費者への情報発信は、若い人たちにはTwitterなどのSNSの活用が効果的ですが、高齢者にはSNSによる情報発信は効果が低いので工夫が必要です。高齢者の消費者被害の実態調査(東京都生活文化局調査)で、請求または勧誘されたにもかかわらず被害に至らなかった理由を聞くと、「その商法の手口を知っていたから(66.3%)」で、一番の抑止効果があります。また、ベビーカーで指の切断事故が多くありましたが、その事故を何で知ったかの調査では、圧倒的にテレビ情報(89%)であることがわかります(消費者庁による情報提供は3%)。日本ではマイルドに表現することがありますが、「指はさみ」ではなく「指切断」と伝えないと危険性が伝わりません。きちんと正しく表現することが重要です。

4.事故に対して講じた施策の効果の評価・・施策の効果を検証し、必要に応じ施策の見直しを行うことが望ましいとされました。

5.事故情報の公開の促進・・事故情報の公開は、いろいろな人がモニタリングすることで改善につながる場合もあります。ただし、公開については企業の風評被害などもあり、委員会の中では慎重論もありました。

■報告②キッズデザイン賞受賞製品の紹介
 小島昌芳さん(YKK株式会社ファスニング事業本部商品開発部)

 2018年8月24日YKKのファスナー「QuickFree®」が「第12回キッズデザイン賞」を受賞しました。キッズデザイン賞は、子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・空間・サービス・活動・研究を対象とする顕彰制度です。3つのミッションとして「子どもたちの安心・安全に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」があります。

 「QuickFree®」は、ファスナーのスライダー部品を改良することで、ファスナーの開閉操作がしやすくなりました。操作性の向上によって子どもが一人で衣服を着脱することを助け、親も着せやすくなります。子どもにとって一人での着替えは自立の第一歩になり、高齢者にも使いやすく、積極的な外出につながります。また、左右に一定の力が加わるとスライダーが外れてファスナーが開く解放機能を備えています。子どもの衣服が遊具に引っ掛かった際などに身体にかかる負荷の軽減も期待できるものです。これは「素早く脱ぐ」を可能にし、スポーツアパレルやアウトドア分野にも活用できます。「QuickFree®」がキッズデザイン賞を受賞することで、それを使った服を着て、子どもがより活発に遊べるようになり、キッズデザインの考え方が広まったら嬉しいと思います。

■パネルディスカッション「事故情報の一元化について」

 「消費者庁での事故情報の収集、活用の仕組み」「消費者委員会や消費者団体からの提言を受けて消費者庁で行ったこと」「国民生活センターの取組、NITEの取組について」「事故情報一元化を進めるために、消費者庁に情報収集の法的権限を与える『事故情報収集公開法(仮称)』の制定などを検討、また『消費者事故総合分析センター』を設立し、調査・分析を行い、再発防止につなげることを考えたが、どう思うか」などについて意見交換を行いました。

PLオンブズ会議からの提言

 「消費者被害防止のために、改めて消費者事故情報一元化とその活用を求めます」を提出しました。
提言はこちら

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