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消費者行政の強化に向けた意見交換会
〜「徳島県」および「消費者行政新未来創造オフィス」の取り組みから〜
報告

 消費者庁新未来オフィスができたのは2017年7月24日。徳島県庁舎の10階に消費者庁、地方自治体、国民生活センター、その他企業や学術機関の非常勤職員50名程度が参画しています。主に「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」と「基礎研究プロジェクト」を行っています。また、消費者庁の働き方改革や国民生活センターの商品テストも行っています。大事なのはここでの成果を全国展開していくことです。

 全国消団連では8月24日(金)に公開企画として「消費者行政の強化に向けた意見交換会」を開催し、「消費者行政新未来オフィス」の取り組みを消費者庁参事官 日下部英紀氏に、徳島県の消費者行政の取り組みを徳島県危機管理部消費者くらし政策課課長 勝間基彦氏に報告していただき、意見交換を行いました。

【日 時】 2018年8月24日(金)13時15分〜15時15分

【会 場】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 32名

【プログラム】

報告:「消費者行政新未来オフィス」の取り組み 消費者庁参事官 日下部 英紀氏
徳島県の消費者行政の取り組み 徳島県危機管理部消費者くらし政策課課長
 勝間 基彦氏

意見交換

【報告の概要】(事務局による要約、敬称略)

日下部:消費者行政新未来オフィスができて1年が経ちました。オフィスは国産材を使った木の机と椅子を配置し、自分の席を決めないフリーアドレスのシステムにしています。書類も削減し、ペーパーレス化を実現しています。電子白板を使い立ったまま会議を行い、東京の本庁との会合にはテレビ会議を使っています。テレワークを推進し、ワークライフバランスに配慮しています。

勝 間:同じフロアに消費者くらし安全局もあり、毎日協議しながらプロジェクトを進めてきました。最近のトピックとして、6月に福井消費者担当大臣が徳島商業高校や城西高校の「エシカル消費」に関する先進的な取組を視察に来られました。


あぶないカモとすだち君

 日下部さんからこの1年の取り組み報告をしていただき、勝間さんからは具体的な進め方で工夫した点や苦労した点など、実践に伴う報告をしていただきました。

1.消費者庁が実施するプロジェクト

①全国展開を見据えたモデルプロジェクト
(11プロジェクトを展開)

●若者向け消費者教育の取り組み

日下部:消費者庁で作った教材「社会への扉」を徳島県内の全ての高校で使ってもらいました。家庭科にも公民にも消費者教育はありますが、実際にどこまできちんと授業が行われているかという課題があります。「社会への扉」を使ってもらい、「契約が大事」ということや「トラブルにあったら188」ということを覚えてもらいたいと考えています。教材は文科省の協力を得て作成し、先生方にはよくできた教材だと評価してもらっています。また参観した20校の活用事例集を公表し、2020年度までにすべての都道府県、全高等学校での同教材を用いた授業実施を目指します。

勝 間:全ての高校での授業実施ということで、最初はうまくいくか心配もありました。消費者くらし政策課と消費者情報センターに現役教員が配置されており、これらの先生に間に入ってもらえたことで教育委員会との連携がうまくいきました。また、従来から、交付金を活用した消費者教育研究実践校の指定を行っていたことも学校現場の理解を得るのに有効でした。なお、「とくしま消費者教育人材バンク」を開設し、相談員や弁護士、企業の方、専門家に登録してもらって、学校からの要望に応じた講師派遣も行っています。

●見守りネットワーク(消費者安全確保地域協議会)の構築

日下部:消費者庁としては、全都道府県の人口5万人以上の市町村で地域協議会を設置してくださいとお願いしています。徳島では2019年度までに全24市町村で設置をめざし、現在13のネットワークが新設されました。なお、消費者安全法により、個人情報を見守り構成員間で共有できるようになりました。民生委員さんが気づいた被害を、消費生活センターや福祉部局にもいち早く伝えることで、消費者被害(高齢者被害)を防ぐことができると考えています。ネットワークを作っただけで満足せず、活用することが大切です。

勝 間:実は市町村には、高齢者等を見守るための既存の仕組みや団体はたくさんあります(認知症、障害者自立支援、防災、防犯など)。そういう仕組みに「見守りネットワーク(地域協議会)」の看板も掲げてもらえませんかとお願いしましたが、設置目的と合わないなどの理由で、結局は新たにネットワークを立ち上げたところが多いです。1人の職員が多くの業務を抱えていたり、既存のネットワークとのすみわけの難しさをがあったり、という実情もあります。また、地元で熱心に活動されている人に過度の負担が生じるのではないかという懸念をどう乗り越えていくのかも課題です。隣接県とも協議していきたいと考えています。

●エシカル消費の普及

日下部:徳島県民500人に対してエシカル消費の認知度アンケートを行い、知っている人は26.4%でした。全国での類似調査での6%と比べると高いとは思いますがまだ4人に1人です。来年も同様の調査を行い、経年で調査する予定です。

勝 間:徳島県はエシカル消費の取り組みを積み上げてきています。26.4%の 認知度が高いか低いかわかりませんが、「やっぱりようわからん」という方もおられます。大切なのは明日からの行動に具体的につなげていくことです。「とくしまエシカル消費推進会議」を設置し、消費者・事業者・行政が一体となった取り組みを推進したり、「エシカル自主宣言」を県内事業者に宣言してもらっています。また、消費者大学校にエシカル消費コースを設けたり、高校でエシカルクラブを設置したりしています。この7月には、次世代エシカルフェス・エシカル消費自治体サミットを開催し、静岡、鳥取、愛知、愛媛、神奈川、浜松、名古屋、京都など全国の高校や自治体とのネットワークを拡大することができました。ツイッターも開設しているので、是非見てください。

 その他、消費者志向経営では、徳島県内の22事業者が自主宣言を行ったこと。公益通報受付窓口では、内部職員からと外部労働者からの両方の窓口とも、市町村に働きかけて設置率100%達成し、今後は職員に窓口を周知するとともに、全国展開を進めることが課題であること等、現在行われているプロジェクトについて報告していただきました。

②基礎研究プロジェクト

 「障がい者の消費行動と消費者トラブルに関する調査」を、徳島県・岡山県の協力の下、アンケート調査を行い報告書を作成したこと、「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」を行い報告書を公表する予定であること、「健康と生活に関する社会実験」を生協の組合員にモニターになってもらい2019年度に調査結果を分析し公表する予定であること、など報告していただきました。

2.国民生活センターが実施するプロジェクト

 徳島市・鳴門市で14回の研修と、商品テストを行いました。2017年度は「地震による転倒の防止策」をテーマに100世帯のモニター調査を行い、2018年度は「錠剤、カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査」をテーマに使用中の商品に関する品質調査を行う予定であることが報告されました。

 以上の報告をうけた後、参加者から、「この1年で徳島県でこれだけ進んだのは驚きだが、この取り組みを全国に広げていくための課題は何か」「強化交付金の取り組みの進捗状況について教えてほしい」 「『社会への扉』の全校実施について私立高校に関してはどのような働きかけをしたのか」「見守りネットワークの市町村へのバックアップはどのように行っているのか」等の質問が出され、意見交換が行われました。

以上

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