[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


全国消団連学習会
「みんなで考えよう!! 私たちの、そして世界の食生活を
支える品種改良」を開催しました

 多くの農産物が少しずつ遺伝子を変化させながら美味しくなってきた歴史をたどるとともに、新たな品種改良技術・ゲノム編集について学ぶことをねらいとして、学習会「みんなで考えよう!! 私たちの、そして世界の食生活を支える品種改良〜従来の品種改良からゲノム編集まで〜」を全国消団連と農研機構様の共催で開催しました。

【日  時】 9月15日(金)10:30〜12:00

【場  所】 主婦会館プラザエフ5階会議室

【参加者】 40名

【内  容】

講演 「従来の品種改良からゲノム編集までのお話」
  国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
    上級研究員 小松 晃さん
グループワーク
   モデレーター NACS 蒲生 恵美さん

概要<事務局による要約>

小松 晃さん報告

●これからの農業の課題として、「異常気象による変化への対応」「グローバル化による海外市場開拓」「人口増加に伴う食料生産性の向上」などがあげられている。新しい技術により、変化する環境や気候条件に適応した新品種や、高品質高付加価値の新品種を作ることが農業の課題解決のためになり得るのか、みんなで考えていきたい。

●野菜の先祖(キャベツ・トマト・ジャガイモなど)はもともと小さかったり、美味しくなかったり、毒があったり、すぐに実が落ちたりしてとても食べられたものではなかった。自然突然変異で遺伝子が書き換わったり、品種改良で遺伝子を書き換えたりして、食べやすく、美味しく、いろいろな特性を持った作物になってきた。 従来の交配による品種改良から、例えば病気に強い他の生物由来の遺伝子のみ組み入れて、味がよく病気に強い作物も作れるようになってきた。これが遺伝子組換え作物である。

●現在、新たな育種技術として期待されているのがゲノム編集技術である。「ハサミとなる遺伝子」を導入し、例えば病気に弱い遺伝子を切断し、変異を起こさせることで、病気にかかりにくい作物を作り出すことができる。また、「ハサミとなる遺伝子」は除去が可能なので、最終製品に外来遺伝子は残らない。現在、ソラニンをほとんど作らないジャガイモや、受粉作業を軽減したトマト、アレルゲンを押さえたコメ、収量増加を目的とするイネなどの研究が進んでいる。

現在、経済協力開発機構(OECD)の作業部会にて、ゲノム編集技術によって作出された植物が、これまでの遺伝子組換え植物と同様の規制による取り扱いとすべきか否かが議論されているところである。

●この新しい技術の使い方は、生産者・研究者・行政・メディア・消費者などステークホルダーが集まってディスカッションを深めていくことが大切。

蒲生恵美さんによるグループワーク

 ①質問②期待③懸念をポストイットで出しあいました。「さらなる研究・開発」や「農業分野への貢献」など期待することも多く出されましたが、「安全性が本当に担保されるのか」、「メリットだけでなくデメリットも知りたい」、「伝えることが難しそうなど」懸念点も出され、質疑応答・意見交換を行いました。

 「遺伝子組換えでできる作物とゲノム編集でできる作物の違いが分かりました。」「農業分野への貢献は理解できますが、安全性や倫理的なところではまだ心配です。」「ゲノム編集という言葉は聞いたことがありましたが、内容は知らなかったので勉強になりました。」「関係者でリスクコミュニケーションを重ねていくことが大切」など感想をいただきました。

≫ 開催案内はこちら