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「消費者政策に関する政党アンケート」回答結果のご報告

 高齢化・情報化・国際化など社会環境の大きな変化により、高齢者や若者の消費者被害など消費生活上の課題は多岐にわたり山積している状況です。この間、様々な点で消費者行政の前進が図られてきたものの、更なる充実に向けた政策課題も明らかになってきています。

 そこで、衆議院選挙を控えた各政党の消費者政策について伺い、有権者としての判断の参考とするためにアンケート調査を実施しました。

 各政党よりご回答いただいた内容について、原文のまま掲載いたします。

◆調査期間 9月26日〜10月10日

◆アンケート送付政党(9政党) 自由民主党、公明党、民進党、日本共産党、日本維新の会、
社会民主党、自由党、希望の党、立憲民主党

 ご回答日現在での見解となります。

政党 ご回答日
自由民主党 10月5日
日本共産党 10月2日
社会民主党 10月3日
希望の党 10月8日
立憲民主党 10月12日

※公明党、日本維新の会、自由党は10月10日現在ご回答をいただいておりません。
民進党は9月26日に回答をいただきましたが、その後、公表対象から外してほしい旨の連絡がありました。
希望の党、立憲民主党には遅れて依頼をしました。

◆質問項目及び回答

 以下の設問について、各々400字以内で貴党のご見解をお書きください。

Q1 : 貴党の消費者政策についての基本的な考え方をお聞かせください。
回答はこちら

Q2 : 消費者団体支援(特に適格消費者団体、特定適格消費者団体)の必要性・具体的方策について、貴党の考え方をお聞かせください。
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Q3 : 地方消費者行政の充実と強化に向けて、特に地方消費者行政推進交付金の後継施策についての貴党の考え方をお聞かせください。
回答はこちら

Q4 : 消費者契約法改正に向けて、高齢者や若年者の判断力不足等に乗じた「つけ込み型勧誘」に対し取消権を付与することについて、貴党の考え方をお聞かせください。
回答はこちら

Q5 : 民法の成年年齢引き下げによる若年者の消費者被害増加が懸念されますが、具体的方策について貴党の考え方をお聞かせください。
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Q1 : 貴党の消費者政策についての基本的な考え方をお聞かせください。

【自由民主党】

 消費者庁創設時の理念に基づき、真に消費者目線に立った行政機能の強化、即ち司令塔(消費者庁)、監視機能(消費者委員会)、センター・オブ・センター(国民生活センター)、それぞれの機能の充実を図ります。

 同時に、身近な地域における消費生活センターの拡充など消費生活相談体制の強化や、地域の見守りネットワークを全国に整備していくこと等により、地方消費者行政の強化を目指します。

 また、食品表示制度の適切な運用、不当表示に係る課徴金制度の円滑な運用に努めます。消費者団体訴訟制度の実効的な運用に取り組み、より迅速な救済を目指します。消費者志向経営を促進するとともに、公益通報者保護制度の実効性の向上を進め、消費者と事業者双方の信頼関係の構築を図ります。

 さらに、消費者教育の推進により、消費者被害を防止するとともに、自主的かつ合理的に行動することができる自立した消費者を育成し、公正で持続可能な社会環境をつくります。

【日本共産党】

 日本共産党は消費者保護を進め、消費者被害の根絶をめざすとともに、「消費者の権利」が全面的に実現される社会をめざします。そのために重要なことは消費者基本法を遵守し、国と地方自治体が「消費者政策を推進する責務」をしっかりと果たすことです。

 消費者被害は年間で905万件、金額で4.8兆円規模(「消費者白書2016年版」)という高水準で推移しています。この大本には規制改革・規制緩和の名で、消費者の安全・安心にかかわる規制、ルールさえ「骨抜き」にされてきた問題があります。これを改め、消費者の安全・安心にかかわる法制度を強化します。また、中央省庁のあり方があいかわらずの産業優先であり、消費者重視へと改める必要があります。日本共産党は企業・団体からの政治献金を一切受け取らない政党なので、どんな企業・団体にも消費者目線ではっきり物を言うことができます。消費者庁が発足して8年経ちましたが、人員も専門性も足りていません。地方自治体の消費者行政、消費者相談体制とともに抜本的に強化する必要があります。

【社会民主党】

 社民党は真に実効性のある消費者保護行政の実現を掲げています。消費生活センターの体制拡充、消費者安全調査委員会の独立性確保と体制整備、集団的消費者被害回復制度の対象拡大、成立した改正特定商取引法と改正消費者契約法の更なる改正、消費者教育の体系的な実施、各地域での消費者施策の実施に対する国の支援措置強化など、様々な施策を講じていきます。

【希望の党】

 消費者の視点に立った消費者行政となるよう、国民の安全・安心を第一に消費者政策を進めてま いります。

【立憲民主党】

 立憲民主党は「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つ政党として、「消費者の権利の確保」を第一に、消費者行政の強化と消費者保護に取り組みます。消費者庁と消費者委員会は「消費者基本法」の理念を踏まえ、供給サイドではなく消費者サイドの立場から消費者行政にあたるよう、チェック機能を果たして行きます。

Q2 : 消費者団体支援(特に適格消費者団体、特定適格消費者団体)の必要性・具体的方策について、貴党の考え方をお聞かせください。

【自由民主党】

 消費者団体訴訟制度を機能させるために、適格消費者団体等に対する適切な支援が必要であると認識しております。

 被害者の救済を特定適格消費者団体が代わって求める新しい訴訟制度が昨年スタートしており、これを国民生活センターがバックアップする仕組みを整え、より迅速な救済を目指すため、先の通常国会において、独立行政法人国民生活センター法を改正し、国民生活センターが特定適格消費者団体に代わって仮差押えの担保を立てることができるようにいたしました。今後、その実効的な運用を図ってまいります。

 また、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対しては、その公益的な活動に必要な資金の確保等の財政面の支援を行うことも重要です。

 特に制度が発足して間もない特定適格消費者団体については、被害回復の実効性を確保するため、更なる支援策を実施することが必要と考えます。

【日本共産党】

 消費者被害の未然防止と拡大防止、集団的被害回復を進めるために、適格消費者団体、特定適格消費者団体への支援は特別に重要なことだと考えます。消費者裁判手続特例法(2013年)の附則は、政府が、特定適格消費者団体への必要な資金の確保、情報の提供その他の支援について必要な措置を講ずることを定めています。この規定に基づいて2017年法改正で国民生活センターによる立担保等、一定の支援が制度化されましたが、実態に即した支援をさらに進める必要があります。また、消費者被害の立証責任を企業側に負わせる仕組み、企業が持っている関連情報を消費者団体に開示させるための仕組みなど、被害回復を進めるための法制度等を整えていくことが必要と考えます。

 消費者団体は公益性の高い性格にもかかわらず、多くがボランティアによって支えられています。みなさんの活動が自主的に、全国くまなく普及・発展するように、みなさんとの意見交換を強めていきたいと思います。

【社会民主党】

 消費者団体は消費者行政が誤った方向に向かわないよう消費者の視点でチェックし、一般消費者により近く地域に根ざした立場で情報提供するなど大切な役割を持っています。国や自治体は各団体が独自性を発揮した活動を自由闊達に行えるよう、団体訴訟を担う適格消費者団体や、消費者相談を行っている消費者団体に対する財政支援や税制上の優遇措置を講じ、積極的な情報提供や意見交換・交流の場の設定を進めるべきです。

【希望の党】

 消費者団体訴訟制度を支える適格消費者団体及び特定適格消費者団体等への支援は重要です。活動が安定的に行われるよう環境整備を図るなどの施策を検討してまいりたい。

【立憲民主党】

 消費者団体は、地方における消費者被害の防止や、高齢者、若年者をはじめとする消費者保護の担い手であり、専門人材の育成や財政面・情報面等での支援を進めます。

Q3 : 地方消費者行政の充実と強化に向けて、特に地方消費者行政推進交付金の後継施策についての貴党の考え方をお聞かせください。

【自由民主党】

 消費者の安全・安心を確保するためには、地方消費者行政の充実・強化を図ることが重要です。 「地方消費者行政強化作戦」で掲げている「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制」を全国的に整備するため、消費者庁において、「地方消費者行政推進交付金」等を通じて、地方公共団体の取組を支援してきました。

 この結果、消費生活センターや消費生活相談員の増加等、着実な成果を挙げてきたと認識しています。一方、小規模市町村を中心に、相談体制の強化の面で課題が残っており、また、十分な自主財源が確保されていないなどの課題があります。このため、引き続き「地方消費者行政推進交付金」において地方公共団体の取組を支援する必要があると考えます。

【日本共産党】

 地方消費者行政推進交付金は、適用対象を拡大して2018年度以降の新規事業も含めるとともに、国の財政措置を継続して行くことが必要です。同交付金等の活用により、地方の消費生活センターの設置、有資格の消費生活相談員の配置が進むなど、地方消費者行政が一定程度拡充されました。これを2017年度新規事業までで打ち切ることは、取り組みが遅れている地方の消費者行政整備の道を閉ざすことになります。財政基盤の弱い地方への支援こそ必要であり、交付金の事業メニューも拡充する必要があります。

 地方において消費者行政担当職員が減少している問題は重大です。特に都道府県では急務の課題として、担当職員の確保と資質の向上を図るべきです。また、消費者に最も身近である消費生活相談を強化するために、相談員の労働条件の改善と人材育成を進めます。

【社会民主党】

 社民党は地方消費者行政や相談機能の強化へ、消費生活センターの人員増、消費生活相談員の処遇改善、消費者生活相談窓口の機能強化など、消費者行政の総合的な拡充を求めます。交付金は今後も継続すべきですが、新規事業の実施や交付金措置の活用に期限を設けないなど、ニーズに即した、より柔軟で使い勝手の良い制度へ改善すべきです。

【希望の党】

 地方消費者行政の充実と強化に向けて、地方消費者行政を支える財源については、継続的かつ安定的に確保されるよう環境整備を図るなどの施策を検討していきたい。

【立憲民主党】

 地方における見守り活動の推進、消費者ホットラインの周知と利便性の向上、多様な媒体を通じた広報活動の充実など、地方消費者行政の充実と強化に資する取り組みを進めます。

Q4 : 消費者契約法改正に向けて、高齢者や若年者の判断力不足等に乗じた「つけ込み型勧誘」に対し取消権を付与することについて、貴党の考え方をお聞かせください。

【自由民主党】

 高齢者や若年者が、その判断力や知識・経験の不足等の事情を事業者に不当に利用され、不必要な契約を締結させられるような被害については、その被害の救済を図るため適切な施策を講じる必要があるものと認識しています。

 他方、消費者契約法に取消権を定める場合には、その規定の要件が不明確であれば、取引実務の混乱を招きかねず、また、消費生活相談においても機能するよう、その要件は、できる限り明確に定めるなど、消費者被害の救済と円滑な事業活動の確保の両立にも留意しつつ検討を進める必要があると考えます。

 先般、消費者契約法の見直しに関する内閣府消費者委員会の答申が出されております。こうした政府の取組に十分注意を払いながら、実効的な施策の実現に向けて選挙後直ちに検討して結論を出す所存です。

【日本共産党】

 判断力の乏しい若年者や高齢者をカモにする「つけ込み型勧誘」は悪質な手口であり、消費者契約法で取消権を規定すべきです。「つけ込み型勧誘」規制を盛り込んだ消費者委員会の答申(8月8日)については、早期に法制化することが必要です。

【社会民主党】

 消費者取消権は非常に重要な消費者の権利です。昨年、改正消費者契約法が成立したことは一歩前進ですが、対象が5類型に限られる上、法施行前の案件に遡及適用できないなど、不十分な点が多々残ります。特に「つけ込み型勧誘」など過量販売以外の類型に触れられていない点は大きな問題で、更なる法改正を急ぐ必要があります。

【希望の党】

 現在問題となっているマルチ取引など高齢者や若年層の消費者被害の防止と救済に向けて、消費者契約法をはじめとする関係法令の改正も含めて検討し、適切な措置を検討してまいりたい。

【立憲民主党】

 先の特定商取引法や消費者契約法改正の際に先送りとなった論点については、消費者委員会専門調査会における議論を踏まえ、消費者被害の発生・拡大の防止及び救済に向けた法整備が必要です。具体的な法整備については、今後検討します。

Q5 : 民法の成年年齢引き下げによる若年者の消費者被害増加が懸念されますが、具体的方策について貴党の考え方をお聞かせください。

【自由民主党】

 若年成人が自立して経済活動を行えるよう、消費者教育の実施により、その能力を養うとともに、悪徳商法から守るため、若年成人に対する一定の保護のあり方を検討すべきと考えており、次のような方策を検討中です。

○消費者教育の充実

  • 小中高校では、アクティブラーニング等で実践的な知識の習得を目指すとともに、消費生活相談員等の外部講師を招き、消費者トラブルの実態を周知する。また、教員の養成や研修等における消費者教育の指導プログラムの必修化を目指す。
  • 大学や専門学校、地域社会の若年成人に対し、出前講座の実施や消費者ホットラインの普及を行う。

○事業者の自主的取組

  • 消費者志向経営の推進、自主行動基準による若年成人対策の推進を促す。

○制度整備

  • 若年成人の知識や判断力等の不足に乗じて契約がなされた場合、取り消したりすることを可能とする法的措置等を取るか否かは、成年年齢引き下げの趣旨との整合性等を考慮しつつ検討する。

【日本共産党】

 社会経験の乏しい若年者を狙い撃ちにした悪質商法をめぐる苦情・相談は、私たち日本共産党の各事務所にも多数寄せられています。成年年齢の引き下げは、そこにつけこんだ消費者被害の増加が懸念されます。国・行政による指導・監督の強化が必要です。また、若年者が合理的な判断ができるよう援助するとともに、消費者関連法制等について正しい知識をつけることが必要です。国の責任で消費者教育を充実・強化して行くことは急務です。また、大学や社会教育の場での消費者教育、相談体制、啓発の機会を増やすことが必要と考えます。

 私たち日本共産党も国民生活センターが発信する情報等、消費者被害・トラブルについて随時「しんぶん赤旗」で取り上げています。

【社会民主党】

 成人年齢の引き下げ議論は、多くの検討すべき課題があり慎重かつ丁寧な議論が必要ですが、中でも消費者被害対策は重要な問題です。若者の判断力不足につけこんだ不要な商品購入や、過大な不利益をもたらす契約を取り消せる規定の導入など、十分な対策を行うことを引き下げ議論の大前提とすべきです。

【希望の党】

 若年層の消費者被害の防止や救済の観点から、消費者契約法をはじめとする関係法令の改正については、民法の成年年齢改正とあわせて行うことも含めて、適切な措置を検討してまいりたい。

【立憲民主党】

 若年者等に対する消費者被害を防止するために、地域での啓発活動の強化や、消費者ホットラインの周知及び利便性の向上等が必要です。具体的な方策や必要な法整備等については、今後検討します。

以上

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