[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会
中間取りまとめについて」意見を提出しました

 消費者庁は「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」の中間取りまとめを9月10日に公表し、現在パブリック・コメントを募集しています(締切:10月31日)。

 全国消団連では、以下の意見を作成し、10月19日に提出しました。

2026年10月19日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会
中間取りまとめについて意見

意見1 全体

【意見】
 「消費者の脆弱性」を消費者契約法の重要な視点として位置付ける方向性を支持します。従来の「一般的・平均的・合理的消費者」のみを前提とするのではなく、誰もが状況によって判断を誤る可能性を持つという「消費者の脆弱性」の考え方が示されました。これは、高齢化やデジタル化が進む社会において消費者の実態を踏まえたものです。特に、高齢者だけでなく、若者や現役世代も含め、誰もが不安や焦り、情報過多などによって適切な判断が難しくなるという認識を法制度の基礎に置いた点は重要です。
 一方で、多くの事項が努力義務や指針レベルにとどまっていることから、今後の法改正においては、実効性確保のため、義務化・取消権・解除権・差止請求等の法的効果をさらに検討すべきであると考えます。
【意見の理由】
 消費者被害の予防・救済を実現するには、理念や行動規範だけでなく実効的な権利救済手段が不可欠です。特に、消費生活相談の現場や裁判外紛争解決手続において活用可能な民事ルールとして整備することが重要です。今後の法改正に向けては、配慮規定の実効性確保、深刻な被害からの救済制度の創設、解約・更新・契約変更に関する義務規定の導入、解約料規制の強化を重点課題として検討すべきであると考えます。

意見2 p3

第1 消費者の多様な脆弱性への対応
【意見】
 消費者の誰もが脆弱性を有するという認識を消費者契約法の基礎に置く考え方に賛成いたします。また、消費者被害の予防及び拡大防止のためには、事業者による適切な配慮に加え、消費者団体、福祉関係者、地域の見守り関係者等の関係主体がそれぞれの役割を果たすことが重要であり、その実効性を確保するための指針の整備及び官民協議会を活用して消費者被害情報の共有、見守り活動の連携及び被害防止策の検討を継続的に行うべきです。
【意見の理由】
 従来の情報・交渉力の格差是正だけでは、デジタル化や高齢化が進む中で多様化・複雑化する消費者被害に十分対応できません。消費者が安心して安全に取引できる環境を整備するためには、消費者の脆弱性を前提とした規律が必要です。
 また、ミニマム・スタンダードとして位置付けられる事項については、理念規定にとどめず、消費生活相談や紛争解決の場面で活用できる実効性のある規律とすべきです。あわせて、指針や差止請求制度等との連携により、事業者が配慮規定を軽視しない仕組みを整備する必要があります。また、消費者被害の未然防止及び拡大防止を図るためには、消費者団体、福祉関係者、地方公共団体その他の関係主体が継続的に情報共有及び連携を行うことが重要であり、そのための場として官民協議会を積極的に活用すべきです。
 さらに、消費生活相談の現場では、高齢者や認知機能が低下した消費者等が不適切な契約を締結しても、自ら被害に気付くことができず、家族、福祉関係者、地域の見守りネットワーク等の気付きによって被害が発見される事例が少なくありません。高齢化や単身世帯の増加が進む中、消費者被害の予防の観点から、第三者による見守りの在り方についても引き続き検討を進めるべきです。

意見3 p13

2.契約の拘束力から消費者を解放する仕組み等
【意見】
 「深刻な結果をもたらす契約」について、消費者が契約から解放される仕組みの創設を支持します。制度設計に当たっては、事業者の故意・過失や認識の有無といった主観的要件に過度に依拠することなく、消費者に生じた結果を重視した救済制度とすべきです。
【意見の理由】
 判断力低下や孤立等につけ込まれた契約については、従来の取消権だけでは救済できない多額の借財を負わせる契約や生活基盤を著しく損なう契約などの事案が存在します。深刻な被害が生じているにもかかわらず、事業者の主観的要件の立証を求める制度では救済が困難となるため、消費者に生じた結果に着目した救済制度が必要です。
 消費者契約法の救済規定は、被害発生の予防だけでなく、既に深刻な被害が生じた場合の回復手段としても重要であることから、事業者の認識等に過度に依拠するのではなく、消費者の置かれた状況や契約の結果を踏まえた制度設計とすべきです。

意見4 p16

第2 消費者契約の各過程に関する必要な規律
【意見】
 継続的契約に関する規律の導入に賛成します。特に解約妨害の禁止を明文化し、適格消費者団体による差止請求の対象とする方向性は、実効性確保の観点から重要であると考えます。
【意見の理由】
 サブスクリプション契約を中心に、解約方法が分かりにくい、解約できないという相談が急増しています。消費者保護の観点からは事業者の説明や情報提供について実効性確保を位置付けるべきであると考えます。

意見5 p20

2.契約期間の更新に関する規律
【意見】
 自動更新契約についても、消費者が契約の存在自体を忘れてしまうことが少なくないことから、更新の時期、更新後の契約期間、解約可能期間に加え、更新を回避するための手続や解約料等の負担の有無についても分かりやすい通知を求めます。
【意見の理由】
 消費者が契約の存在を忘れたまま契約が継続し、不要な支払いを続ける事例が多発している状況があります。消費者が契約継続の是非を適切に判断できるよう、事前通知を徹底する必要があります。

意見6 p21

3.契約の変更に関する規律
【意見】
 契約内容の不利益変更については個別通知義務を支持します。特に料金の引上げや解約条件の変更など重要事項の変更については、消費者が契約継続の可否を適切に判断できるよう、十分な検討期間を設けた上で個別に通知するとともに、契約を見直し離脱する機会を保障すべきです。
【意見の理由】
 一方的な利用規約変更によって消費者が著しい不利益を受ける事例があります。単なる通知のみでは十分な保護とはいえず、消費者に実質的な選択の機会を保障することが必要です。

意見7 p23

4.継続的な消費者契約の当事者である消費者の死亡時の対応手順に関する規律
【意見】
 遺族等が契約者の死亡後も契約内容を把握し円滑に解約できる仕組みを整備すべきです。事業者側の対応手順を整備し、周知することが重要です。
 あわせて、事業者ごとに異なる手続によって遺族等の負担が過度に大きくならないよう、分かりやすい手続の整備を進めるべきです。
【意見の理由】
 契約内容の確認方法や解約手続きをわかりやすく整備し、遺族等が気付かず、死亡後も契約が継続し料金請求が続くトラブルが発生しないようにするべきです。

意見8 p25

第3 「解約料」の実態を踏まえた実効的な仕組み
【意見】
 検討会でさまざまな案が検討されましたが、解約料の規定の見直しについては先送りとされたことは残念です。今後の法改正に向けて、立証責任の転換を含めた制度改正の検討を継続すべきであると考えます。
 また、消費者が解約料の妥当性を判断できるよう、事業者は解約料の算定根拠や発生条件等に関する情報を適切に提供すべきです。
【意見の理由】
「平均的な損害」の立証が消費者にとって極めて困難であり、不当な解約料の是正が進みにくい状況です。また、契約締結時に解約料の算定根拠や発生条件が十分説明されていないことで、契約解除時になって初めて高額な負担を認識する事例もみられます。消費者が解約料の妥当性を判断できるよう、解約料の透明性を確保する必要があります。

意見9 p30

3.事業者・事業者団体が定める自主規制等の活用
【意見】
 自主規制については一定の意義を認めるものの、消費者保護の中核はあくまで法的規律です。自主規制は法規制を補完する位置付けとすべきと考えます。
【意見の理由】
 自主規制のみでは消費者保護にばらつきが生じ、悪質事業者への対応が困難になります。消費者保護を確実なものとするためには、法的規律を基本とし、その上で自主規制を活用することが適当です。
 更に、不当条項規制の実効性向上の観点から、いわゆるグレーリスト方式についても引き続き検討を進めるべきです。消費者が契約条項の有効性を判断することは容易ではなく、事業者にとってもどのような条項が不当とされる可能性があるかが必ずしも明確ではありません。不当条項該当性についての予見可能性を高めることは、事業者による自主的改善を促進するとともに、適格消費者団体による差止請求制度の実効性向上にも資すると考えます。

意見10 p31

第4 横断的な事項 1.法目的の在り方
【意見】
 高齢化やデジタル化の進展により、消費者被害のリスクは誰にでも生じ得るものとなっており、一部の特定の人だけでなく、すべての消費者が状況によって脆弱な立場に置かれる可能性があります。そのため、情報・交渉力格差の是正に加え、「消費者の脆弱性」という視点を法の目的に明確に位置付けることに賛成します。また、消費者が安心して取引できる環境の整備に向けて、事業者、消費者団体、福祉関係者その他の関係主体が連携して被害の予防及び回復に取り組むという視点についても法目的に反映すべきです。
【意見の理由】
 法目的に消費者の脆弱性を位置付ける方向性に賛成します。ただし、その理念が実際の規律や救済制度に反映されなければ意味がありません。今後の制度設計に当たっては、消費者の脆弱性を踏まえた予防・救済の仕組みを具体化していくことが必要です。

以上