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「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」および 「重要電源開発地点の指定に関する規程の一部を改正する 告示(案)」に対する意見を提出しました
2025年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画に則り、経済産業省は原子力政策に関する「今後の原子力政策の方向性と行動指針」(案)(以下、指針(案))
「重要電源開発地点の指定に関する規程の一部を改正する告示(案)」(以下、告示(案))への意見募集を行いました(期間2026年6月10日〜7月9日)
第7次エネルギー基本計画では、原子力政策については、第6次エネルギー基本計画までの「可能な限り依存度を低減する」から「最大限活用する」と大きく方向転換しており、上記①の指針(案)に、原発の建て替えについて具体的な数値目標が示されました。また、②の告示(案)については、原発の建て替えにあたり、供給計画や地域との合意形成に関して後退しかねない改定案が提示されています。
全国消団連では、今回の指針(案)に対しては数値目標の妥当性を問うことを中心に、また告示(案)に対しては、供給計画や地域との合意形成について、それぞれ意見表明の必要があると考え、7月7日、意見を提出しました。
提出先:経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課 パブリック・コメント担当
「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」に対する意見
[意見1]
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該当箇所
4ページから5ページ目「(0)原子力発電の見通し・将来像」に記載の数値目標
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意見内容
現時点で建て替えの数値目標を提示することは拙速です。
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理由
今回示された数値目標は、第7次エネルギー基本計画における2040年度のエネルギーミックスに基づくものですが、経済的な側面が十分に考慮されていない点は問題です。
とりわけ、原子力発電所の新設費用については、計画検討段階においても低く見積もられているとの指摘がありました。さらに、近年の情勢を踏まえれば、今後建設費用が一層増大する可能性は高く、こうした経済的観点を踏まえた検証が不可欠です。
加えて、原子力発電は他の電源とは異なり、長期脱炭素電源オークションや、現在検討されている電気事業法改正に基づく財政投融資などにより、建設段階から電気料金や税負担を通じた多額の公的支援が想定されています。この点からも、経済性に関する十分な評価が求められます。
また、運転延長認可制度の活用の有無や、エネルギー基本計画で重視されている省エネルギーの推進といった要素が反映されていないなど、新設抑制の努力を前提としない試算となっているのではないかとの疑念も払拭されていません。
[意見2]
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該当箇所
6ページ (1)原子力を長期的に活用していくうえでの大前提
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意見内容
原子力を長期的に活用していくうえでの大前提に以下の項目の追加を求めます。
①東京電力福島第一原子力発電所の廃炉
②福島復興の取組
③バックエンドプロセスの確立
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理由
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉および福島復興の取組については、指針の位置づけの中で簡単に触れられるにとどまっています。また、バックエンドプロセスについても「加速化」との記述にとどまり、いずれも優先度が低いかのような扱いとなっています。
しかしながら、今回、設備の建て替えに関する数値目標が示されたことは、使用済み核燃料や放射性廃棄物が今後増加し続けることを前提としていることを意味します。こうした状況にもかかわらず、バックエンド対策の具体的な見通しが十分に示されていない点は大きな問題です。
少なくとも、明確かつ実効性のあるバックエンド対策が実証されるまでは、新設や建て替えを前提とするべきではありません。その観点からも、上記の①〜③については、他の項目と同列に位置づけ、個別に明確な記述を行う必要があります。
[意見3]
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該当箇所
12ページ
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意見内容
フュージョンエネルギーについて、指針本文への記載を求めます。
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理由
フュージョンエネルギーについては、核融合反応が原子力基本法上の「原子力」に含まれると解されているにもかかわらず、現行の整理においては原子力政策との関係が十分に明示されていません。また、利用の過程においては三重水素の取扱いや中性子による設備の放射化などが生じるとされており、放射性物質および放射性廃棄物に関わる課題を内在しています。
こうした性質を踏まえれば、フュージョンエネルギーを原子力政策から切り離して扱うことは適切ではなく、原子力政策の一環として明確に位置付け、本指針において体系的に整理することが不可欠です。この点が曖昧なままでは、原子力政策全体の整合性を損ない、政策判断の前提自体が不透明になるおそれがあります。
さらに、内閣府の「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」においては、将来のエネルギー源としての期待が示される一方で、技術開発段階にあることや、安全確保、社会実装に向けた制度整備など、多くの課題が残されていることも明らかにされています。これらの課題を踏まえないまま、期待される効果のみが強調されることは適切ではありません。
したがって、フュージョンエネルギーについては、将来的なベネフィットに加え、開発・導入に伴う国民負担の可能性や、技術的・制度的な不確実性、さらにはリスクについても明確に示す必要があります。その上で、原子力政策全体の中での位置付けを明示し、政策の全体像と責任の所在を明らかにすることが強く求められます。
出典資料(URL)
①原子力基本法上の位置付け・放射性物質の関与
②フュージョンエネルギー・イノベーション戦略
[意見4]
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該当箇所
21ページ 最下段に記載の「原子力賠償制度の見直しの総合的な検討」
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意見内容
原子力損害賠償制度の見直しの総合的な検討については、極めて慎重に行うべきです。
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理由
審議会資料において示されているように、仮に原子力事業者の賠償責任を有限責任とする方向で検討を進める場合には、責任限度額を超える損害について、最終的に誰が負担するのかという根本的な問題が生じます。
この点については、責任限度額を超えた部分について国による補償制度を設け、実質的に国が負担を担うことが想定されているほか、現行制度においても保険料や補償料は電気料金を通じて需要家が負担している仕組みとなっています。そのため、制度設計のあり方によっては、最終的な負担が税金や電気料金という形で国民に広く転嫁される可能性があります。
このような状況の下で有限責任化が進められれば、原子力事業者にとって賠償リスクの上限が明確化されることとなり、結果としてリスク負担の一部が社会化されることになります。こうした制度が、事業者の投資判断に影響を与え、結果として原子力発電所の建て替えや新増設を後押しする方向に働く可能性については、十分な検討がなされるべきです。
また、審議会資料においても、有限責任化は安全性向上へのインセンティブの低下やモラルハザードにつながるおそれがあることが指摘されており、制度の導入には慎重な検討が必要とされています。
以上の点を踏まえれば、原子力損害賠償制度の見直しに当たっては、被害者保護の実効性を確保するとともに、国民負担の在り方や事業者の行動変化に与える影響を含め、制度全体の帰結を丁寧に検証することが不可欠であり、拙速な見直しは行うべきではありません。
提出先:経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課 パブリック・コメント担当
重要電源開発地点の指定に関する規程の一部を改正する告示(案)に対する意見
[意見1]
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該当箇所
告示(案)5ページ目「6.の一」「原則として」の箇所(第4条第6項第1号)
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意見内容
「原則として」の追記には反対します。
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理由
重要電源には原子力発電所が含まれています。原子力発電は、他の電源と比較して建設期間が長く、かつ巨額の初期投資を要するなど、事業の不確実性が大きいという特性を有しています。
そのため近年では、長期脱炭素電源オークションにより、発電事業者に対して原則20年間にわたる収入の予見可能性を付与する仕組みが導入されています。この制度は巨額の投資回収を支援するものであり、その財源は容量拠出金を通じて最終的に電気料金として需要家が負担する構造となっています。
さらに、原子力発電所の新設等については、GX推進機構による債務保証や公的融資など、国の信用力を活用した資金調達支援が講じられており、税財源の関与が想定されます。
このように、原子力発電は建設段階から電気料金や税財源による支援が見込まれる電源である以上、その前提となる供給計画については、他の電源以上に慎重かつ綿密に検討・提示されることが不可欠です。
したがって、少なくとも重要電源開発地点の指定を受ける申請段階において、事業者が想定している供給計画の具体的内容が明示されるべきです。それにもかかわらず、「原則として」との文言を追加することで、計画の具体性や確実性に関する要件が実質的に緩和されるおそれがあります。
以上から、本件改定には反対します。
[意見2]
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該当箇所
告示(案)3ページ目「七」「市町村長への協議の状況」の箇所(第4条第1項第7号)
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意見内容
本改正により、市町村長の関与が「同意」から「協議」へと実質的に後退することについては、地域の意思の尊重及び合意形成の観点から重大な問題があり、反対します。
少なくとも、「同意」を制度上の要件として明確に維持するべきであり、仮に手続段階の整理を行う場合でも、最終的に「同意」が必要である旨を明確に規定することに加え、同意の確認方法及び時期を明確に規定すること、公開ヒアリングの結果および地域の意向が指定判断にどのように反映されるかを明示することを求めます。
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理由
現行制度では、重要電源開発地点の指定にあたり、市町村長の同意、都道府県知事の意向等を踏まえることにより、地域の理解を前提とした制度設計となっています。しかし、本改正案では、申請段階において「市町村長の同意の状況」を「市町村長への協議の状況」へ変更することとされています。この変更は、単なる書きぶりの修正にとどまらず、地域の意思確認の重みを制度上相対的に低下させるものと受け取られかねず、結果として地域合意形成の実効性を損なうおそれがあります。
原子力政策においては、福島第一原発事故の反省を踏まえ、安全性の確保、地域との信頼関係の構築が極めて重要とされてきました。実際、意見募集の参考資料においても、「立地地域との丁寧な対話を通じた認識の共有・信頼関係の深化が重要」と明記されています。にもかかわらず、制度上の関与を「同意」から「協議」へと緩和することは、この基本方針と整合しているとは言い難いと考えます。
本改正案では、公開ヒアリングを制度的に位置付けるなど、住民参加の機会を一定程度拡充する方向が示されています。しかし、ヒアリングが形式的に実施されるのみで最終的な意思決定における地域の拘束力が弱まる場合、公開ヒアリング自体が実質的な意味を持たなくなるおそれがあります。特に、同意要件が曖昧化した状態では、ヒアリング結果や地域の意向がどのように反映されるのかが不透明となり、制度への信頼を損なう可能性があります。
改正理由として、申請時点では市町村長の同意確認が困難な場合があるとの指摘が示されています。しかし、これは本来、十分な事前調整や合意形成プロセスの確保によって解決されるべき問題であり、制度要件そのものを緩和する理由とはなりません。むしろ、申請前の段階における合意形成を軽視する方向に働くおそれがあります。
以上
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