米国およびイスラエルによるイランへの大規模攻撃を契機に、中東情勢が急速に緊迫しています。ホルムズ海峡周辺ではタンカーへの攻撃や通航リスクが高まり、原油輸入の9割以上を中東地域に依存している日本では、供給不安が消費生活に悪影響を及ぼす懸念が高まっています。
全国消団連では、消費者の不安に寄り添いつつ、国際情勢沈静化に向けた平和的・外交的取り組みを進めることを重視し、政府に対しては透明性ある説明と対策、消費者の不安に寄り添いつつ冷静な行動を呼びかけることを求めるという点から、4月27日に11の消費者団体との連名で、意見を発出しました。
提出先:内閣総理大臣、外務大臣、経済産業大臣、防衛大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、資源エネルギー庁長官、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長、独立行政法人国民生活センター理事長
2026年4月27日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会
岩手県消費者団体連絡協議会
神奈川県消費者団体連絡会
群馬県消費者団体連絡会
埼玉県消費者団体連絡会
消費者団体千葉県連絡会
全大阪消費者団体連絡会
東京消費者団体連絡センター
日本生活協同組合連合会
前橋市消費者団体連絡会
山梨県消費者団体連絡協議会
石油価格の急騰および国際情勢緊迫化に伴う消費生活への影響に関する緊急要請
1 主旨
米国およびイスラエルによるイランへの大規模攻撃を契機に、中東情勢が急速に緊迫しています。周辺国も含めて一般の市民の生命が理不尽に奪われている事態が続いており、一刻も早い事態の沈静化が国際社会共通の責務となっています。こうした深刻な人道上の危機は、世界全体の安定にとって重大な脅威であり、消費者・生活者の安全と安心に直接的な影響を与えるものです。
ホルムズ海峡周辺ではタンカーへの攻撃や通航リスクが高まり、原油価格は上昇基調にあります。日本は原油輸入の9割以上を中東地域に依存しており、供給不安が消費生活に悪影響を及ぼす懸念が高まっています。
消費者の不安に寄り添いつつ、国際情勢沈静化に向けた平和的・外交的取り組みを進めることを重視し、政府に対しては透明性ある説明と対策、消費者の不安に寄り添いつつ冷静な行動を呼びかけることを求めるという点から、以下の通り、意見を述べます。
2 要請事項
(1)外交的手段による情勢沈静化に向け、政府は働きかけを強めること
- 緊張緩和の外交努力を進め、攻撃停止と事態沈静化を関係国に求めること
(2)政府は正確で迅速な情報公開を行うこと
- 石油備蓄について正確な在庫量を把握し、最新状況を継続的に公表すること
- 情勢が緊迫する以前からの国内在庫品が急激に値上げしたことの理由を説明すること
- ナフサ減産や石油化学製品の供給リスクなど生活必需品関連情報を速やかに公開すること
- 海外では消費抑制を目的とする政府発信が進む一方、わが国では明確な需要抑制方針が示されていないため、政府としての基本的考え方を早急に提示すること
(3)市場の混乱を避けるため、冷静な購買行動を呼びかけること
- 石油備蓄の水準を周知し、買い急ぎや買い占めを防ぐこと
- ガソリン、灯油、生活物資の適切な購買行動を促すこと
- 省エネや生活上の工夫を通じ、地域で協力し消費量全体を抑える視点を共有すること
(4)生活を守るための緊急対応として、価格監視と便乗値上げの抑止を強化すること
- 生活必需品の価格動向を継続的に把握し、便乗値上げを未然に防ぐ仕組みを強化すること
- 不透明な値上げや原材料価格と整合しない価格転嫁が行われないよう、事業者に説明責任を徹底することを求めること
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激変緩和策が過度の安心感を生み、石油製品の過剰消費につながる懸念があるため、以下のような需給管理と消費抑制に資する情報提供を行うこと
- 不要不急の石油製品使用を控えるための節度ある利用の呼びかけ
- ガソリン・灯油・ナフサなどの需給逼迫リスク情報の公開
- 医療・物流・食品供給など、優先供給分野の明示
- 地域ごとの在庫状況や消費動向の「見える化」
- 医療用手袋、注射器、包装材、輸液バッグなどの医療用資材について、供給逼迫に伴う枯渇懸念があるため、政府は在庫状況と供給見通しを把握し、公表すること
(5)中長期的な視点:エネルギー自給率向上のため再生可能エネルギーへの転換を加速すること
- 中東依存を前提としたエネルギー構造は、今回のような国際情勢の緊張時に大きな脆弱性を生むため、再生可能エネルギーの導入・普及を国家的課題として加速すること
- エネルギー問題の解決として、安易に原発回帰を推進するのではなく、安全性・廃棄物問題・災害時リスクを踏まえ、国民生活の安全を最優先とするエネルギー政策を構築すること
- 石油代替としての石炭火力発電については、CO2排出量の多さや国際的な脱炭素潮流を踏まえ、エネルギー安定供給の観点から位置づけを慎重に検討し、安易な依存拡大を避けること
- 消費者がエネルギー転換に参加できる仕組み(省エネ設備の導入支援、地域の再エネプロジェクトなど)を拡充すること
以上