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「地方消費者行政の充実・強化のための意見」を提出しました 全国消団連 地方消費者行政プロジェクトは、47都道府県の消費者行政担当部局にご協力いただき、2025年度も「地方消費者行政調査」を実施しました。今年度は、地方消費者行政推進事業、消費生活相談員の状況、新たな相談支援システムへの移行、広域連携、消費者安全確保地域協議会の取り組み状況などに焦点を当てて調査しました。 これらの結果を踏まえ、「地方消費者行政の充実・強化のための意見」を作成しました。 2月24日に「内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、財務大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長、国民生活センター理事長」に提出いたしました。 2026年2月24日 地方消費者行政の充実・強化のための意見 一般社団法人 全国消費者団体連絡会 全国消団連 地方消費者行政プロジェクトは、47都道府県の消費者行政担当部局にご協力いただき、2025年度も「地方消費者行政調査(以下、調査)」を実施しました。今年度は、地方消費者行政推進事業、消費生活相談員(以下、相談員)の状況、新たな相談支援システムへの移行、広域連携、消費者安全確保地域協議会(以下、協議会)の取り組み状況などに焦点を当てて調査しました。 国は、地方消費者行政の充実と強化を目的として、2009年の消費者庁設立と併せて「地方消費者行政活性化基金」を造成し、2011(平成23)年度まで消費生活センターの整備や相談員の育成などに活用してきました。その後、2012〜2017(平成24〜29)年度には「地方消費者行政推進交付金」が設けられ、消費生活センターの機能維持・充実のために活用されました。自治体では、この交付金を相談員の人件費等に充ててきましたが、今年度で活用期間が終了する予定でした。 こうした状況を踏まえ、2025年6月5日には衆議院の消費者問題に関する特別委員会が「地方消費者行政の充実強化」を全会一致で決議しました。さらに政府は「経済財政運営と改革の基本方針2025 〜今日より明日はよくなると実感できる社会へ〜」(骨太方針)において、「地方消費者行政を強化するため、地域見守り活動の活性化や消費生活相談員の人材確保・育成に資するよう地方消費者行政強化交付金を見直す」との方針を閣議決定しました。 県議会・市議会・弁護士会・司法書士会・消費者団体などは、国に対して「地方消費者行政に対する財政支援の継続や相談体制の維持・強化を求める意見書」が多数提出され、国による地方消費者行政への支援の在り方に焦点が当てられています。 消費者庁は2025年の秋の臨時国会に推進交付金の活用期間延長と相談業務や出前講座、見守り活動を行う相談員の人件費の補助を含む、2025年度補正予算案を提出し、2025年末に国会で可決成立しました。このままの流れで、2026年度の消費者庁予算も国会で可決成立し、地方消費者行政の今まで以上の充実強化の推進を強く望みます。 このような状況を踏まえて、私たちは安全で安心な消費生活の実現に向けて、全国の消費者および消費者団体と連携して、地方消費者行政のさらなる拡充を求めて、国および自治体に対する働きかけを継続・強化していきます。 以下は、当プロジェクトの意見です。 1.自治体は、新たな枠組みによる地方消費者行政強化交付金(以下、交付金)を地方消費者行政の推進のために積極的に活用してください 国は、自治体が交付金メニューに対して、意欲を持って取り組めるよう、申請条件を緩和して活用しやすいルールにすること、申請手続き自体を自治体担当者にわかりやすく伝えることで、取り組みを促してください 国の2025年度補正予算/2026年度当初予算案では、2026年度の交付金について、新たな枠組みのもとで事業メニューが大幅に充実し、地方消費者行政を支援する内容が具体化しています。相談機能の維持や被害の未然防止という大変重要な事業に加え、相談・見守りの連携強化、相談員の担い手確保や人材育成・強化など、相談員を支えるための補助も盛り込まれています。 自主財源を確保して、重要な事業を継続している自治体の努力は高く評価されるべきです。しかし一方で、自主財源の確保が難しい自治体も多く、今年度の調査では、一部の自治体で「推進事業の継続の意思がありながら、国の活用期間終了に伴い事業を終了した」との回答もあり、地方消費者行政の維持に大きな影響が生じていると考えられます。 自治体には、自主財源の確保に努めると共に、地域の消費者のくらしの安全を守るためにも、交付金の多様なメニューを積極的に活用し、事業を継続・強化していただきたいと考えます。 また、今年度の調査結果から、「交付金の継続申請の際に強化拡充の要件があり、継続が難しい」仕組みになっていることや、「補助率の制約」「交付金申請時及び実績報告時の負担の軽減化」「申請様式を簡素にする」との要望も出されています。これらの意見は毎年挙がっており、数年ごとに担当者が異動する自治体にとって、申請手続きのわかりにくさも課題となっていると推察されます。国には、使いやすいルール整備や、申請や報告の様式の簡素化を検討すると共に、都道府県の説明の場では交付金の申請を促すような工夫を期待いたします。 2.新たな相談支援システムへの移行にあたり、自治体の実情を十分に把握し、理解を深めた上で、2026年10月のスムーズな移行を実現してください 消費生活相談のデジタル化に向けた具体的な設計は、2021年度から検討が進められてきました。「消費者の利便性向上」「相談員の働きやすさ」「自治体の効率化」の実現を掲げて、現行のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)を刷新し、新システムへ移行することが、2026年10月に予定されています。 しかし、移行の1年3ヶ月前に行った今年度の調査でも、「自治体の意見をよく聞いてほしい」「詳細な内容等が直前まで判明・共有されないことから、接続できるかどうか不明なまま準備をしている」などの声が寄せられました。システムやセキュリティへの対応に関する不安が依然として存在しており、より丁寧な情報提供と支援が求められています。 また、自治体にとってPIO-NETでは必要がなかった費用が新たに生じることで、他の消費者行政事業の予算削減が迫られる懸念もあります。全国の相談情報は、国においても消費者施策その他の政策を根拠づける重要なデータとして活用されています。新システムはそれを集約、分析する機能を持つものですから、その初期費用やランニングコストについて、国は恒常的かつ適切に費用を負担すべきです。 新システムを実際に運用するのは相談員であり、スムーズな移行と業務の質の向上につながるシステムとして継続的に改善されることが重要です。国には、情報を適切に公表し、自治体の実状を十分に踏まえて、消費者と相談現場にとってメリットをもたらす技術の導入と業務改善を着実に進めることを期待します。 3.消費生活相談員の担い手確保と人材育成を推進し、働きやすい環境整備を求めます 今年度の調査では、県が実施する資格養成講座が、相談員の確保に一定の効果を上げていることが明らかになりました。しかし、県によっては予算確保や職員数の不足などから、講座の開催が難しい場合もあります。多くの県では、消費者庁が実施する養成講座を主要な養成手段として位置付けていますが、それが地方の実情やニーズに十分に対応できているのかを考える必要があります。例えば、「地方で予備的講座の実施」「合格後に地方で繋がりを作るためのフォローアップ講座の実施」「資格取得を目指す人が現場で研修を受けられる仕組み」など、地方の実態に合わせた柔軟な育成方法を取り入れることで、相談員として活躍できる人材をより確実に育成できると考えられます。 加えて、相談機能を維持するためには、相談員の欠員解消はもちろんのこと、中長期的な視点での相談体制の構築に取り組むことが求められます。相談員は、消費者が安全に安心して暮らせる社会を実現するために、消費生活に関する様々なトラブルを解決するための高度な専門性を有し、我が国の消費者行政を支える重要な役割を担っています。雇用環境の安定化、職務内容に見合った適正な処遇を確保・整備することは、「相談員」という職が選ばれるための重要なインセンティブとなります。 相談員が安全に、安心して働き続けられる環境を整備し、担い手の確保と人材育成を一体的に推進することが、地方消費者行政の持続的な発展に不可欠であると考えます。 4.消費者安全確保地域協議会(以下、協議会)の設置を推進し、被害の未然防止や早期解決に向けてその役割を十分に発揮できるように取り組みを進めてください 協議会の設置は着実に進み、2025年3月末時点では542自治体でしたが、2025年12月末には567自治体となり、今年度20以上の自治体で新たに設置が進みました。 今回の調査では、都道府県に設置して進んだこととして「構成メンバーの消費者被害についての認識」「構成メンバーそれぞれの取り組みについての情報共有」が挙げられました。一方、「担当者や関係部署が必要性を感じていない」「複数の事業を抱えているため難しい」を課題とする声も寄せられました。さらに、設置後についても「設置しても有効に機能していない」「協議会の構成員や活動内容は様々でどのように支援を行っていくかが課題」との声もありました。 消費者庁は、2025年12月11日に「消費者安全確保地域協議会における警察との連携について」の通知を発出しました。この通知では、協議会が地域で日常的に消費者と接する機会のある多様な主体が連携して、消費者にきめ細やかな情報提供を行うことや被害の早期発見や取り次ぎを行う重要な仕組みであることを示し、各地の警察本部や警察署が協議会の構成員として参加することを検討するように促しています。 国には、県や市区町村の協議会設置のさらなる促進に加え、設置後に生じる課題への対応策の共有や支援などを行い、協議会の取り組みが実質的な活動の推進に重点を置き、地域の消費者被害の未然防止や早期解決に向けた重要な役割を発揮できるように後押しすることを期待します。 以上 |