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「特定商取引法改正の検討する場を速やかに設置することを要望します」
の意見を提出しました

 全国消団連は、2023年6月15日に「特定商取引法の速やかな抜本的改正を求めます」の意見書を提出いたしました。

 今回、消費者庁「デジタル社会における消費取引研究会」報告書と内閣府消費者委員会「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」報告書の取りまとめを受けて、あらためて特商法改正について速やかに検討の場を設けることを趣旨とした意見書を作成いたしました。

 全国消団連では、以下の意見を「消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長」に提出しました。

2025年11月4日

特定商取引法改正の検討する場を速やかに設置することを要望します

一般社団法人 全国消費者団体連絡会

 デジタル技術の急速な進展により、消費者取引の形態も劇的に変化しています。消費者は日常的にインターネットを介した取引を行っていますが、デジタル化は消費者の利便性に影響を及ぼした一方で、新たな取引形態が生まれ、これまででは想像できなかったようなトラブルや不利益を被るケースが頻出して、消費者被害は複雑化・深刻化しています。現行の特定商取引法では十分な消費者保護が困難な状況であると考えます。消費者庁は、不適切な広告等を行っている通信販売業者への行政処分等を行い、消費者に注意喚起を実施していますが、ここ数年、消費生活相談件数は年間約90万件で推移し、昨年では「インターネット通販」約24万件、「定期購入」約9万件、60歳代以上では「訪問購入」など、また20歳代では「マルチ取引」が、他の年代に比して割合が高くなっています。

 消費者庁は「デジタル社会における消費取引研究会」報告書を2025年6月にまとめ、デジタル社会の特性とリアルでの消費取引との相違点などが報告されました。
 報告書に記載の通り、消費取引のデジタル化により、個別化された商品・サービスでの販売手法(パーソナライズド・マーケティング)など、これまでの通信販売規制では捉えきれない課題があります。加えて、定期購入トラブルでは、消費者が定期購入であることを認識しないまま商品を注文してしまうことや、解約しようにも事業者と連絡が取れないなど、いわゆるダークパターンと呼ばれる手法が多用されています。
 加えて、最近の特徴的な被害として、高齢者宅を訪問し、不要な屋根工事や外壁塗装工事を勧誘して、ずさんかつ高額な費用を請求する事例や、SNSを契機として勧誘される詐欺的な投資取引が連日報道されています。
 これらの被害は、消費者のリテラシー向上を推進するだけでは防げません。悪質な事業者を排除できる社会構築のための法整備が必要であり、そのために、消費者保護強化の観点から特定商取引法の見直しが急務であると考えます。

「デジタル社会における消費取引研究会」報告書では、「消費者が「納得感」を持って取引に参加することができる消費取引市場の形成を目指す」ことが打ち出されました。また、内閣府消費者委員会の「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」報告書では、多様な脆弱性を有する消費者が安心して安全に取引できる環境整備を法制度の目的にとらえるとしています。いずれの報告書も、現行制度の限界と消費者被害の未然防止・迅速な救済のための対応の必要性を示していると考えます。デジタル取引の進展と消費者被害の実情に鑑みて、特定商取引法を柔軟かつ実効性のある内容に速やかに改正するべきであると考えます。
 そのために、消費者庁には、一刻も早く検討の場を設けることを強く要望いたします。

以上