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エネルギー政策に関する3件(第7次基本計画の
パブリックコメント(案)、地球温暖化対策計画(案)、
GX2040ビジョン(案))についての意見を提出しました

 2024年から検討が続けられてきた、エネルギー政策に関わる意見募集3件(第7次エネルギー基本計画(案)、地球温暖化対策計画(案)、GX2040ビジョン(案))に対し、全国消団連は、1月24日に以下の意見を提出しました。

提出先:経済産業省 資源エネルギー庁長官官房総務課 パブリックコメント担当

「第7次エネルギー基本計画(案)」に対する意見

意見1
【該当箇所】P11〜12
【意見概要】
 電力需要の予測について、今一度検討してください。
【理由】
 第7次エネルギー基本計画電力広域的運営推進機関(OCCTO)のデータでは、2033年のデータセンターや半導体工場の新増設等による影響で、2033年度に2019年度とほぼ同等水準と予測しています。政府の予測では今後、生成AIやデータセンター、電化による需要増が予測されています。
 しかし、今後はデジタル化によるエネルギー効率向上効果もあるため、電力の需要の増加が予測より低くなる可能性もあります。(例:再エネの加速で、脱炭素電源比率が大幅に向上する。生成AIなどのDX化によるエネルギー効率向上などよる省エネ効果など。)
 また、日本の超高齢社会、少子化などの影響などもあるため、そういった点も踏まえて検討してください。

意見2
【該当箇所】P15 35行目、およびP81 14行目
【意見概要】
 2040年の目標を73%削減(2013年比)からさらに上乗せすることを求めます。
【理由】
 IPCCが示す1.5℃に必要なGHG削減率ですが、2035年60%削減、2040年69%削減は基準年が2019年比で示されたものとなっています。日本が基準としている2013年比に換算するとそれぞれ66%削減、73%削減に相当します。COP28でもこの削減経路の必要性が確認され、G7合意などの前提ともなってきました。
 そうしたことから、国際目標である1.5度目標と整合するために、日本は2035年の温室効果ガス削減目標を66%以上にするべきと考えます。また、目標達成に向けた政策を促進させるべく2040年の目標は73%削減(2013年比)から上乗せした野心的な目標を示すべきです。

意見3
【該当箇所】P23、およびP33〜P41
【意見概要】
 原子力発電については 「 可能な限り依存度を低減する 」 方針を堅持し、2040年の原子力発電の割合をできる限りゼロに近づけてください。その上で、再生可能エネルギーなどに力を入れてください。
【理由】
 第7次エネルギー基本計画案では、第6次エネルギー基本計画に入っていた「原発依存度を可能な限り低減する」という文言が削除され、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠」といった記述に差し替えられています。
 原子力政策については、GX推進戦略の検討時より多くの国民が参加しての議論を求めてきましたが、現在に至るまで実現されていません。今回、本計画(案)についても大きな方針転換が示されています。方向性を決めるのであれば、まずは国民と議論を深め、その意見も反映させるべきです。
 また、福島第一原発事故から13年が経過した今でも避難を余儀なくされている被災者がいることからも、事故が起こった時の被害の甚大さは計り知れません。再び事故による被害を生じさせないためにも、2040年に2割程度とされる原子力発電の割合は可能な限りゼロに近づけるべきです。2024年12月末までに12基が再稼働していますが、長期停止の影響や運転開始から30年〜39年の原発も多く、40年以上経って老朽化が進んでいる原発もある状況で、今後も再稼働や運転期間延長をして問題ないのか疑問です。使用済み核燃料や放射性廃棄物処分の問題、安全対策費や建設コストの上昇など課題も多く残っています。また、原発の事故処理・賠償費用、廃炉費用を託送料金へ上乗せする仕組みが採用されており、今後の消費者負担が青天井に膨らみかねない状況があります。長期停止の影響や老朽化、CO2排出削減効果・発電量、経済性、安全性の観点から、再生可能エネルギーなど、他の電源と比較して合理的な選択をしてください。

意見4
【該当箇所】P25〜P33
【意見概要】
 脱炭素化に遅れが生じないよう、2040年までの再生可能エネルギーの目標を50%以上に高めるとともに、火力発電への依存を減らすことを求めます。又その実現のため再生可能エネルギーの導入を加速し、最大限活用するための施策のさらなる強化を求めます。
【理由】
 火力発電に利用される化石燃料の多くを輸入に頼っており、その価格の高騰は生活へ大きな影響を及ぼします。その影響を出来るだけ抑えるためにも、燃料が不要な再エネの導入を増やしてエネルギー自給率を高める目標を立てる必要があります。また技術が確立している再生可能エネルギーの導入加速は2030年あるいは2035年目標の達成には効果的です。
 再エネの2030年目標(36〜38%)と2040年目標(4〜5割)を比較するとほとんど変わっていない一方、火力発電も(2030年約4割、2040年3〜4割)ほとんど変わっていません。シンクタンクによる基本政策分科会で示された2040年シナリオの分析によれば、再エネ発電比率50%以上を予測したシナリオが多く、再エネに対する施策を強化すれば十分実現可能と考えます。またそれにより火力、特に非効率な石炭火力発電のフェードアウトが加速し、GHG削減目標達成(2030年46%減、2040年73%減(案))に大きく貢献することが期待できます。

意見5
【該当箇所】P23 32〜34行目、およびP42 11〜15行目、およびP44 2〜7行目
【意見概要】
 脱炭素化に遅れが生じないよう、化石燃料発電への依存を減らし、特に石炭火力発電については高効率化を求めず、フェードアウトの加速を求めます。
【理由】
 国際エネルギー機関(IEA)は、先進国は2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力を全廃するよう提言しています。また、G7の中で石炭火力の廃止時期を決めていないのは日本だけで、2025年1月時点で国内には石炭火力がいまだ167基稼働している状況です。
 化石燃料による発電(石炭、LNG、石油)は、それぞれのCO2排出量が異なります。中でも石炭火力はCO2排出量が多く、フェードアウトを加速させる必要があります。また、アンモニア混焼比率を高めることを期待し、石炭火力発電を使い続けることはあってはなりません。
 非効率な石炭火力のフェードアウトに代えて、高効率化火力発電や、アンモニアやCCUSを活用してもCO2の排出は続きます。また、早期の実用化も難しい状況にあり、さらにコストが高いため電気料金の高騰は避けられません。まずは石炭火力発電の依存を大きく低減させることが先決です。

意見6
【該当箇所】P81 12行目〜
【意見概要】
 消費者が取り組みやすいように消費者の行動変容につながるような省エネルギー施策を示し、啓発、促進に努めてください。
【理由】
 脱炭素社会の実現に向けて、消費者は個人ごとに省エネの取り組みを進めるとともに、エアコンや冷蔵庫、給湯器などの省エネ家電や、断熱窓などを設置するなど脱炭素化の取り組みを進めていく必要があります。国は脱炭素化に向け、省エネルギー性能等を有する住宅などの導入や改修に対する支援を行うなど、制度面での対応を進めています。
 しかし、行動を促すには、自分が取り組むことによる成果を認識することが必要です。現在脱炭素社会を目指し「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)が展開されています。消費者の行動変容やライフスタイルの転換を促すことで、省エネルギーのほか、SDGsの達成や気候変動対策といった様々な分野に資することが期待できます。そのことによって、生活の質(QOL)の向上などが期待されます。これらを明記することで、国のエネルギー政策を自分事として捉え、関心を高めることにもつながると期待できます。

意見7
【該当箇所】P82
 Z.国民各層とのコミュニケーション
 3.政策立案プロセスの透明化と双方向的なコミュニケーションの充実
【意見概要】
 本計画(案)において、国民の意見の反映が不十分と考えます。多様な視点の意見を積極的に聞く機会を設け、国民的な論議を進め、国民の意見を政策に反映させるべきです。
【理由】
 本計画(案)の検討に当たり、前回と同じく、エネルギー政策に関する意見箱が設置され、意見が募集されたところ、市民による集計によれば、原発を減らす、再エネを増やす、化石燃料からの脱却、気候変動の強化を求める意見が多いとの結果でした。
 しかし審議会において、意見箱意見は参考資料としての公表以外に具体的な取り扱いはなく、本計画(案)への反映も含めて、どのように意見が反映されたのかが実感できません。原発を減らす、再エネを増やす、化石燃料からの脱却、気候変動の強化を求める多数の意見がどう反映されたのかの説明を求めます。
 また、今回は2040年に向けた政策を検討しており、その時に中心となる世代の意見も十分に聞き取り、それを施策に反映する必要があるはずです。一度、若者世代を中心とした団体へのヒアリングは実施されましたが、議論に携わることのできる委員の構成は大手電力会社や燃料供給事業に関わる委員が多く見られるなど、従来と変わっていないと考えます。
 2040年目標の達成、2050年脱炭素社会の実現には国民一人一人が積極的に取り組む必要があります。その取り組みの検討に、気候変動の影響を長く受けることになる将来世代や、消費者が参画することで、消費者の理解促進や主体的な行動につながる好循環が期待できます。
 政策決定プロセスの透明化と公平性の担保、そして多様なステークホルダーが参画できる機会を求めます。

以上

地球温暖化対策計画(案)に対する意見募集担当 御中

地球温暖化対策計画(案)に対する意見

意見1
【該当箇所】P13 17行目およびP19 7〜8行目
【意見概要】
 2035年の温室効果ガス削減目標を2013年比66%以上、2040年の目標はさらなる上乗せを検討することを求めます。
【理由】
 IPCCが示す1.5℃に必要なGHG削減率ですが、2035年60%削減、2040年69%削減は基準年が2019年比で示されたものとなっています。日本が基準としている2013年比に換算するとそれぞれ66%削減、73%削減に相当します。COP28でもこの削減経路の必要性が確認され、G7合意などの前提ともなってきました。
 そうしたことから、国際目標である1.5度目標と整合するために、日本は2035年の温室効果ガス削減目標を66%以上とし、2040年の目標については、目標達成に向けた施策を強化させるべく、さらに上乗せするべきです。
 その目標の達成のために、原発・石炭火力の発電比率を出来るだけ抑え、現在の技術で対応が可能で、CO2削減の寄与できる再生可能エネルギーの導入加速と最大限活用するための施策の強化を合わせて求めます。

意見2
【該当箇所】P45 13行目〜
【意見概要】
 住宅・建築物への取り組みを出来るだけ加速してください。
【理由】
 WHOは、冬季室温を18℃以上に、新築・改修時には断熱を行うこと、夏季の室内熱中症対策を勧告しています。Climate Integrateの資料によれば、日本の建築物のうち、冬季の在宅中平均居間室温がWHOの勧告基準を満たすのは約1割といわれています。
 そうした中、日本政府は2030年までに新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指し、ZEH住宅の普及に向けた支援策(補助金)の取り組みなどを行っています。
 これからも住宅・建築物については、省資源、低炭素素材、長寿命化、高気密化にするなどして省エネを強化していく必要があります。また、冷暖房の効率を上げ、化石燃料の使用を極力抑えるために、省エネだけでなく、断熱(窓やガラス)や再エネ(太陽光パネルなど)の取り組みが重要です。
 住宅・建築物は一度建築すると利用が長期にわたるため、出来るだけ早期に取り組みを強化することが必要です。また、新築住宅だけでなく、既設の建物についても早急に改修を進めるなどの対策をしてください。

意見3
【該当箇所】P103 3行目〜
【意見概要】
 デコ活の推進に当たり、より積極的に取り組めるよう、具体的なメリットを記載してください。
【理由】
 脱炭素社会を目指し展開されている「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)は消費者それぞれが取り組むことのできることが具体的に記載されています。取り組みをさらに強化し、行動変容やライフスタイルの転換につなげるには、自分が取り組むことによる成果を認識することが必要です。省エネルギーのほか、SDGsの達成や気候変動対策に資すると考えます。取組むことで生活の質(QOL)の向上などが期待されることも併せて明記してください。

以上

経済産業省 脱炭素成長型経済構造移行投資促進課 パブリックコメント担当 宛

「GX2040ビジョン(案)」に対する意見

意見1
【該当箇所】P24 686行目〜
【意見概要】
 原子力発電については活用ではなく依存度を可能な限り低減し、現在未解決の課題解決に最優先で取り組んでください。
【理由】
 福島第一原発事故から13年が経過した今でも避難を余儀なくされている被災者がいることからも、事故が起こった時の被害の甚大さは計り知れません。また2024年12月末までに12基が再稼働していますが、長期停止の影響や運転開始から30年〜39年の原発も多く、40年以上経って老朽化が進んでいる原発もある状況です。また、現在原発の事故処理・賠償費用、廃炉費用を託送料金へ上乗せする仕組みが採用されており、今後の消費者負担が青天井に膨らみかねない状況があり、将来世代に負担をかけることにもなりかねません。さらに次世代炉開発、新設などは更なる負担増を招きかねません。使用済み核燃料や放射性廃棄物処分の問題、廃炉の確実な実施など解決すべき課題は多くあり、まずはそれらの取り組みに注力するべきです。

意見2
【該当箇所】P25 717行目〜
【意見概要】
 脱炭素化に遅れが生じないよう、石炭火力発電のフェードアウトを加速させ、その依存を減らすことを求めます。
【理由】
 国際エネルギー機関(IEA)は、先進国は2030年までに、世界全体では2040年までに石炭火力発電を全廃するよう提言しています。また、G7の中で石炭火力の廃止時期を決めていないのは日本だけで、国内では、2025年1月時点で石炭火力発電が167基稼働している状況です。
 化石燃料による発電(石炭、LNG、石油)は、それぞれのCO2排出量が異なります。中でも石炭火力はCO2排出量が多く、フェードアウトのスピードを速める必要があります。また、アンモニア混焼比率を高めることを期待し、石炭火力発電を使い続けることはあってはなりません。
 非効率な石炭火力のフェードアウトを進めて、高効率化火力発電や、アンモニアやCCUSを活用してもCO2の排出は続きます。石炭火力そのものへの依存を減らす必要があります。

意見3
【該当箇所】P33 972行目〜
【意見概要】
 住宅・建築物への取り組みは出来るだけ加速してください。
【理由】
 WHOは、冬季室温を18℃以上に、新築・改修時には断熱を行うこと、夏季の室内熱中症対策を勧告しています。Climate Integrateの資料によれば、日本の建築物のうち、冬季の在宅中平均居間室温がWHOの勧告基準を満たすのは約1割といわれています。
 そうした中、日本政府は2030年までに新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指し、ZEH住宅の普及に向けた支援策(補助金)の取り組みなどを行っています。
 これからも住宅・建築物については、省資源、低炭素素材、長寿命化、高気密化にするなどして省エネを強化していく必要があります。また冷暖房の効率を高め、化石燃料を極力抑えるために、省エネだけでなく、断熱(窓やガラス)や再エネ(太陽光パネルなど)の取り組みが重要です。
 住宅・建築物は一度建築すると利用が長期にわたるため、早期に取り組みを強化することが必要です。また、新築住宅だけでなく、既設の建物についても早急に改修を進めるなどの対策をしてください。

以上