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「電力・ガス取引監視等委員会の検証に係るとりまとめ(案)、
MVV(改定案)、中期方針(案)及び機能強化方針(案)」に対し、
意見を提出しました

 電力・ガス自由化に当たり設置された電力・ガス取引監視等委員会(以下、電取委)に対し、全国消団連では、電力・ガス自由化について、小売価格をできるだけ抑える、購入先や料金メニューを自由に選択し社会課題への意思表示ができる、など消費者に便益があり賛成するとの立場をとっています。いままで、選択に必要な情報開示、消費者への周知啓発、消費者トラブルの対策、制度設計や変更などの様々な施策に対し、提言等を実施してきました。

 これまでの電取委の活動を評価し、公正な競争のもと電力・ガス自由化が進み、消費者の不利益が生じることのないよう監視の継続は必要です。

 今回、大手電力会社の不正事案の発覚、規制料金の値上げ、電力市場の変化など、業務状況の大きな変化や、2023年6月の「規制改革実施計画」に電取委の監視機能の強化が明記されたことなどを受けて進められた検証を踏まえて、以下の4つの文書案が作成公表され、パブリックコメントが募集されました。

①「電力・ガス取引監視等委員会の検証に係るとりまとめ(案)」
②「電力・ガス取引監視等委員会のMVV(改定案)」(MVV:組織の経営理念)
③「電力・ガス取引監視等委員会の中期方針(案)」
④「電力・ガス取引監視等委員会の機能強化方針(案)」

 この間の取り組みを踏まえ、全国消団連は6月20日に意見を提出しました。

提出先:経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局総務課 パブリックコメント担当

「電力・ガス取引監視等委員会の検証に係るとりまとめ(案)等」に
対する意見

「電力・ガス取引監視等委員会の検証に係るとりまとめ(案)」に対する意見

【該当箇所】18ページ、274行目
(4.組織検証について、4−2活動実績(各論:電力)、C小売り規制料金の審査・評価対応)
【意見内容】
 令和6年2月26日付の「みなし小売電気事業者の特定小売供給約款における料金を算定した際に定められた原価算定期間に相当する年数が経過した後に経済産業省が毎年度行う定期的な評価について(回答)」では、審査の結果、対象事業者について、「値下げ認可申請」の必要があるとは認められなかったと記述されています。従って、274行目の「値上げ認可申請」について、特段の意義がなければ「値下げ認可申請」に修正するべきです。

「電力・ガス取引監視等委員会 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)(改定案)」に対する意見

【該当箇所】1ページ
委員会が目指すエネルギーシステム(ミッション)
委員会が目指す組織の姿(ビジョン) 市場への信頼を守る
【意見内容】
 ミッションでは、「市場メカニズムの適切な活用を通じ、需要者・供給者双方が、主体的かつ合理的に行動する結果として、中長期的にも、経済性、安定性、環境適合性が図られる、効率的で強靱な電力・ガスシステムを築く」とあります。またビジョンでは「適切に消費者の利益を保護」が掲げられています。
 電力自由化の始まった時点では、多くの事業者が参入し、消費者にとっても調達先の選択肢が増えましたが、この数年で撤退する事業者が増えてきました。このことは自由化を謳いながら、実際に選べる事業者が減少することで、消費者の選択肢が削減され、選択を通じて得られたはずの消費者利益の逸失に繋がっていると言えます。ミッションとビジョンを実現するために、選択できる電力市場の育成と実現を掲げるべきです。

「電力・ガス取引監視等委員会における中期方針(案)」に対する意見

【該当箇所】(2024年度〜2026年度)4ページ、117行目
(2.具体的対応、D電力・ガスの不正事案に係るフォローアップ等の徹底を目指す)
【意見内容】
 事業者に対して、改善計画の実施状況と到達点や実現に向けた課題など、理解しやすい表現や方法で、消費者に向けて発信し続けることを促し、併せて、電取委はフォローアップの結果と評価について、社会全体に継続的に公表してください。
 加えて不正事案を生み出した遠因には、当該事業者の組織風土に由来する部分もあると考えます。委員会としてフォローアップを進めるにあたり、組織風土改革に対する取り組みなどや、消費者に向けた発信の内容も評価の視点に加えてください。

「電力・ガス取引監視等委員会における機能強化方針(案)」に対する意見

【該当箇所1】2ページ、50行目
(2.今後の機能強化に向けた対応方針(案)について、A市場監視や料金査定に係るシステムのDX・AI化の推進)
【意見内容1】
 人力に頼らず、適時的確に問題を集約できる市場監視や料金査定のためのシステム構築は重要な施策です。一日も早くDX化を実現し、システムを稼働してください。
 また、AIなどの技術の導入についてもリスクを考慮しながら議論を進めてください。
【該当箇所2】3ページ、89行目
(2.今後の機能強化に向けた対応方針(案)について、Eその他)
【意見内容2】
 エネルギーをめぐる仕組みは消費者に限らず、多くの需要家にとって複雑でわかりにくいものです。加えて委員会の存在は多くの国民に認識されておらず、せっかく用意された消費者向けQ&Aなども埋もれているのではないかと考えます。
 委員会としての発信については、制度説明などわかりやすい表現や発信を追求することと併せて、SNSの活用やメールマガジンの発信、タウンミーティングなどを行って、委員会自身の広報も強化するべきです。