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「電源表示と非化石証書問題についての意見」を提出しました 2月3日開催予定の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(事務局:内閣府規制改革推進室)」において、 ①電源表示 ②非化石証書の表示について、が論議される予定となっています。この場で、消費者へのヒアリングが予定されており、全国消団連は、下記の見解を意見書としてまとめ、1月29日(金)に提出しました。 (参考:再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース) 提出先:再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース 電源表示と非化石証書問題についての意見 一般社団法人 全国消費者団体連絡会 2050年カーボンニュートラル社会の実現、再生可能エネルギーの主力電源化及び最大限の導入に向けて、貴タスクフォースが検討を進められていることに敬意を表します。 2050年カーボンニュートラル社会の実現は消費者にとっても重要な課題であり、その実現のためには再生可能エネルギーを最大限に導入・活用するとともに、消費者が再生可能エネルギーを適切に選択できる市場環境を整備することが重要です。 再エネ電力の調達環境整備に関わる課題のうち、特に消費者の選択に関わるテーマである、電源表示と非化石証書について以下意見を申し述べます。 再エネ電源を選択したい消費者の意思が反映され、再エネの普及拡大につながるような市場環境を整備してください。 1.電源構成表示の義務化を求めます 2016年の電力小売自由化にあたり、全国消団連はじめ、多くの消費者団体は電源構成表示の義務化を求めてきました。自由市場のもとで消費者が財・サービスを選ぶ際に、選択の手掛かりとなる情報をわかりやすく提示することは、市場健全化の前提条件です。 2050年カーボンニュートラルに向け、再エネに積極的に取り組む企業を消費者が見極め選択していくことは、大切な消費行動になってきます。電源構成開示については、「電力の小売営業に関する指針」において「望ましい行為」にとどまっていますが、あらためて電源構成表示の義務化を求めます。その際、火力発電については、火力合計ではなくガイドラインの表示例にあるようにガス・石炭・石油を分けて表示させるべきであると考えます。 なお消費者団体は、電源構成のほか、CO2排出量や放射性廃棄物量についても表示の義務化を求めてきました。再エネの主力電源化に向けては、「環境への負担を少なくしたい」という消費者ニーズに応える環境整備が重要であり、改めてこれらの点についても検討を求めます。 2.非化石証書の枠組み自体が複雑で、消費者にとって大変分かりにくいことから、非化石価値取引市場のあり方自体を再考してください 2016年の電力小売自由化の本旨は、消費者が電気の売り手やサービスを自由に選択できるという点にありました。しかし、現在の電力市場はベースロード市場、容量市場、非化石価値取引市場など複雑な制度設計となっており、消費者にとっては理解困難な状態になっています。とりわけ、非化石証書の枠組みについては、以下のような問題点があると考えます。 ①そもそも「本来の電源」と分離された「証書(環境価値)」というもの自体、消費者には理解しにくいものとなっています。 ②現在の非化石証書は、証書を購入しても社会全体の再エネ普及に必ずしもつながらない制度設計となっています。本来は再エネの開発・投資およびCO2高排出電源のフェーズアウト(段階的廃止)につながる仕組みにする必要があります。 以上をふまえ、中長期的には非化石価値取引市場のあり方自体を再考し、カーボンプライシングなども含め、省エネルギーの一層の推進・再エネ主力電源化・CO2高排出電源のフェーズアウト(段階的廃止)に資するような制度を再設計すべきと考えます。 3.非化石証書の表示について、消費者にとって誤認を招きかねない点を是正してください 2020年度より「非FIT非化石証書」の取引が開始されましたが、以下のように消費者にとって誤認を招きかねない点は是正を図ってください。 ①再エネ・FIT電気以外のJEPX調達・化石電源等の電気に非化石証書を付けた「実質再エネ」「実質ゼロエミ電源」という表示の「実質」という表現は、一般的な消費者の理解と齟齬があり、電源構成の誤認を招く可能性があると考えます。 ②卒FIT電源・大型水力などの再エネだけでなく、原子力・廃プラスチックについても非FIT非化石証書の対象とされ、これらは取引上「非化石証書(再エネ指定なし)」という表示がされています。しかし、(再エネ指定なし)という表示では、実際の非化石証書が何の電源由来なのかが消費者には伝わらず、消費者の「必要な情報が提供される権利」が満たされていない状況であると考えます。例えば「非化石証書(原子力)」といった名称にするなど、消費者の誤認を招かない形に変更してください。さらに現在のルールでは再エネであっても、(再エネ指定なし)の証書を発行できることとなっており、この制度をさらに複雑にしています。再エネの普及と再エネ事業者への資金還流を目的とするのであれば、再エネ由来の証書はすべて(再エネ指定)とし、名称も「非化石証書(再エネ)」とすべきと考えます。 以上 |