[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]
「LPガス無償配管・無償貸与等による料金の不透明に対し 毎年8月下旬より行われる各地のLPガス懇談会では、取引透明化が議題として取り上げられ、事業者、事業者団体、消費者、学識経験者が意見交換を進めています。その中では事業者団体より、これまでの商慣行を改めたいとの表明も出ています。 これらを踏まえ、資源エネルギー庁では、問題の改善に向けて他省庁との連携を目指しているようです。 今の動きをさらに後押しするために、全国消団連では3月に提出した「LPガスの料金透明化と取引適正化に向けた意見」のうち、無償配管・無償貸与の問題に絞り、他省庁と連携し問題の解決にあたるよう求める要請書を、11月19日提出しました。 提出先:経済産業省 資源エネルギー庁 資源燃料部 石油流通課 LPガス無償配管・無償貸与等による料金の不透明に対し 全国消団連をはじめ多くの消費者団体では、以前より、LPガス取引におけるLPガス料金の透明化および消費者への丁寧な説明を求めてきました。 2017年には液石法省令の一部改正、取引適正化ガイドラインの制定などが行われました。これにより、料金透明化が進んだ事業者・地域もありますが、全体としてはまだ不十分であること、かつ改善が見られない背景には構造的な問題があること、そのため、抜本的な対策が必要である、というのが私たちの評価です。 2018年に総務省北海道管区行政評価局が行った調査では、液石法14条書面に必要事項を適切に記載していない、必要な説明を行っていないなどの事例がみられ、その要因の一つに無償配管・無償貸与の慣行があることを指摘しています。この点は、以前から消費者団体と事業者団体との意見交換の場などで指摘されており、事業者団体もそうした実態があることを認めています。 標準的な料金メニューの公表については、北海道や神奈川県の消費者団体が調査を継続していますが、改善は一部にとどまっており、あまり進んでいないことが明らかになっています。神奈川県の消費者団体の電話での調査によると回答率が低い(平成31年度調査で34%)ほか、「顧客でなくては教えない」「ホームページを見てくれ」「返答せずに質問者の個人情報を細かく聞いてくる」など、標準的なメニューの問い合わせに対しての応対として問題だと思われる事例もありました。 省令改正、ガイドライン制定から3年経過しましたが、いまだ情報開示は不十分であり、料金透明化・取引適正化にはまだまだ課題があります。特に無償配管・無償貸与の問題はLPガス事業者・業界の努力だけでは解決は難しく、資源エネルギー庁には、関係省庁等と連携のうえ抜本的な対策を講じることを求めます。 1.LPガス事業者と賃貸集合住宅オーナーとの無償配管・無償貸与の商慣行を是正すべきです。 LPガス事業者と主に賃貸集合住宅のオーナーとの取引において、LPガス事業者が無償配管、ガス機器等の無償貸与を行う商慣行があり、現在も続いています。その費用をLPガスの契約者(消費者)が負担する場合は、請求書(検針票)にその内訳を明記するよう、ガイドラインに基づき作成されたLPガス販売指針で求めていますが、明記している事業者は少なく、消費者が確認することは難しい状況です。そのため、知らずに費用を負担させられている消費者がいます。 また近年では、賃貸集合住宅オーナー側からの要望が過大になっている実態があり、ガス機器以外の設備・機器についてLPガス事業者が負担をさせられ、その分をガス料金として消費者から徴収するケースもあると指摘されています。こうした実態は、単にLPガス料金の問題にとどまらず、賃貸集合住宅オーナーによる「優越的地位の濫用」にあたると思われる事業者間の不公正な取引の問題、消費者への不公正な料金請求や不動産賃貸借における消費者への情報開示の問題等、多岐にわたる課題を孕んでいます。この問題の解決には、LPガス業界だけでなく不動産業界ともに足並みをそろえて商慣行を改めていく必要があると考えます。 資源エネルギー庁には、国土交通省・公正取引委員会・消費者庁・地方自治体等と連携をとり、このような商慣行を是正するための抜本的な対策に着手することを求めます。 2.LPガス料金の明細を明らかにしてください。 北海道での調査から、同一地域、同一事業者でもLPガス料金(基本料金、従量料金、あるいはその両方)が大きく違うことがわかっています。このことも、消費者へガス以外の費用負担を課している可能性が考えられますが、ガイドラインに基づき作成されたLPガス販売指針で示されている三段階料金制度を採用している事業者は少なく、消費者には料金の内訳はわかりません。主に訪問販売として事業を行っている場合は「重要事項の不告知」にあたる恐れがあります。個々の住宅事情により、LPガス付属設備に関する費用を賃借人(消費者)が負担せざるを得ない場合は、料金の内訳明細がわかるよう明示することを求めます。 3.すべてのLPガス事業者に標準的メニューの公表を強く求めます。 これまで認められてきた「店頭での表示のみ」では不十分です。平成31年度の神奈川県の消費者団体の調査によると、調査対象716社中、電話での問い合わせに対して回答を拒んだ事業者が476社あったとのことです。電話問い合わせの速やかな回答、およびホームページへの掲載を貴庁より求めてください。ホームページのない事業者に向けては、県のLPガス協会のホームページを活用するなど、しかるべき支援を行ってください。 以上 |