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「独占禁止法改正法の施行に伴い整備する公正取引委員会規則案等に対する意見」を提出

 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律」が、令和元年6月19日に成立しました。今回の法改正により、調査に協力した事業者への課徴金減免制度が見直され、調査協力減算制度が導入されました。事業者が事件の真相解明に資する程度に応じた減算率の適用を受けることができるようになり、より効果的に事件の真相解明や違反行為の抑止が期待できます。

 現在、公正取引委員会では、改正法の施行に伴い必要となる公正取引委員会規則案等についてパブリックコメントを募集しています。(締め切り:令和2年5月15日)

 全国消団連では、以下の意見を4月21日に提出いたしました。

2020年4月21日

公正取引委員会規則案等に対する意見

(1)調査協力減算制度関係
「調査協力減算制度に係る規制案及び運用方針案の概要」

意見)課徴金制度の見直しにより、調査協力減算制度が導入されたことは評価でき、賛成いたします。今後、公正取引委員会に対しては制度の適切な運用により、事業者の協力を促し、カルテルや談合を厳正に排除することを求めます。

理由)従来では、減免制度を受けられるのは調査開始前、調査後に最大で5社まででしたが、改正により、事業者数の上限が撤廃され、申請した事業者が事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率の適用を受けることができるようになります。これにより、効率的かつ効果的な事件の真相の解明並びに違反行為の排除及び抑止が期待できます。事業者の協力を促し、事件がより早く解決できることにより、消費者・国民への被害もより少なくなることが期待されると考えます。

(2)判別手続関係
「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記録されている物件の取扱い」

意見1)「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記載されている物件の取扱い」についての対象は、独占禁止法における不当な取引制限「カルテル・談合」のみとし、その他の違反行為や法律、特に消費者関連法などへ拡大することのないよう求めます。

理由)「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記載されている物件の取扱い」について整備される指針は、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点から導入されるものであり、その趣旨に沿って厳正に運用されるべきです。他の法律、例えば消費者の利益を守る法律には、景品表示法、特定商取引法、消費者安全法などがありますが、調査権限の強さとのバランスを考慮せずに、違反企業の手続保障を強化すれば、重要な証拠が隠されることで、行政機関はしっかりと調査を行えなくなる可能性がありますので、消費者関連法などに拡大することがないようしなければなりません。

意見2)「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記載されている物件の取扱い」について整備される指針において、判別手続における確認ポイントの範囲が拡大解釈されることのないよう、厳格に運用されることを求めます。また、この判別手続によって、実態解明が遅れる、またはできなくなるなど、公正な市場の回復が遅れることで、消費者の利益が侵害されることにならないように進めることを求めます。

理由)「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容が記載されている物件の取扱い」の判別手続きの確認ポイントである、「特定通信の内容を記録した物件」の対象となる文書の範囲を広げないこと、「適切な保管」がされていること等により、判別手続が円滑に行われるものと考えます。確認ポイントである「特定通信の内容を記録した物件」が拡大すると、判別手続によって、実態解明が遅れる、またはできなくなるなど、市場の回復が遅れることで、消費者の利益が侵害されることにならないよう進めてください。

(3)供述聴取後のメモ取り関係

意見)供述聴取後のメモ取りについては、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点から整備されるものであり、独占禁止法の厳正な執行を妨げない範囲での対応をしてください。

理由)「当該メモの作成のために必要な範囲で当該聴取対象者からの質問に応じるものとする」とありますが、メモ取りやその質疑に時間が取られ、運用に支障がないようにする必要があります。また供述内容を会社に報告することで、供述の萎縮が起こらないようにする必要があります。

以上