[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]
「公益通報者保護法改正を求める意見」を提出しました 公益通報者保護法は平成18年4月に施行されて10年が経過しました。しかし、企業の内部通報制度が機能せず、大きな不祥事に発展した事例や、通報者が企業から不利益処分を受けた事例など、法律の実効性には疑問も寄せられています。 今般、内閣府消費者委員会公益通報者保護専門調査会にて検討が行われ、2018年12月27日に答申が公表されました。 全国消団連では、報告書で提案された事項について、今通常国会への改正法案提出を求める意見書を1月17日に提出いたしました。 <宛先>内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官、 2019年1月17日 公益通報者保護法改正を求める意見 一般社団法人 全国消費者団体連絡会 公益通報者保護法は平成18年4月に施行されて以降、法施行後5年をめどに見直しを行う旨が附則に記載されていたにも関わらず、いまだ法改正には至っていません。この間も企業の内部通報制度が機能せず大きな不祥事に発展した事例は後を絶たず、また通報者が不利益な取り扱いを受ける事例もなくなりません。事業者の法令順守を推進し、国民の安全・安心を確保するための公益通報者保護法を、通報者が不利益取り扱いを受けることを心配することなく行うことができる制度に改めることが必要です。 昨年、内閣総理大臣より内閣府消費者委員会に諮問された、公益通報者保護法の規律の在り方や行政の果たすべき役割等に係る方策について、消費者委員会公益通報者保護専門調査会(以下「専門調査会」)にて検討が行われ、2018年12月27日に答申が公表されました。答申として「公益通報者保護専門調査会報告書」で提言された事項の早急な法改正を求める立場から、以下の意見を申し述べます。 1.本年通常国会への改正法案提出を求めます 専門調査会最終回後の一部報道によれば、消費者庁は本年通常国会への改正法案提出を見送る方針であるとされています。しかし、これまでに消費者庁「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」(平成27年6月から開催)やパブリックコメントの募集なども行われてきましたが、経済界が改正の主要論点に反対を示すスタンスはこの間変わっておらず、今回法案提出を先送りした場合、またも法改正が進まない事態になってしまうことが懸念されます。 今回、専門調査会報告書にまとめられた、①通報者の範囲に退職者及び役員等を含める、②通報対象事実に行政罰や行政処分の対象となる行為を追加する、③行政機関への通報における真実相当性の要件を緩和する、④行政機関以外の外部への通報の保護要件を一部広げる、⑤民間事業者及び行政機関に対し内部通報体制の整備を義務付ける、⑥行政通報の一元的窓口を消費者庁に設置する、⑦通報を理由とする不利益取扱いに対する行政措置を導入する、といった点は通報者保護に資するもので、評価できます。 積み残しとされた論点も多く報告書において不十分と考えられる点はありますが、消費者庁は少なくともこの報告書に沿った内容で本年通常国会に改正法案を提出してください。 なお、法の実効性を担保する上では、通報者への不利益取扱いに対する行政措置として、重大・悪質な事案を対象とする勧告・公表だけでなく、命令制度も不可欠と考えます。法案にはこの点を盛り込んでください。 2.今後の課題として以下の点の検討・対応を求めます 今回報告書で提言された内容では不十分な点、今後の検討として結論を先送りされた論点については、引き続き検討を進め、速やかに法改正につなげていただくことを求めます。今後の検討にあたっては特に以下の点を要望します。 (1)通報者への不利益取扱いに対して、刑事罰を導入すること。 (2)立証責任の緩和について、通報者が解雇及びその他の不利益取扱い(降格・減給・配置転換等)を受けたときは、通報を理由として不利益取扱いを受けたことの立証責任を事業者側に転換すること。 (3)守秘義務について、通報者個人を特定し得る情報に関しては、通報窓口の担当者その他通報対応に関する業務に携わる者に守秘義務を課すこと。 (4)通報を裏付ける資料の収集行為について、免責されることを法に規定すること。 (5)通報者の範囲に、取引先等事業者を含めること。 以上 |