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「第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見」 昨夏より、経済産業省資源エネルギー庁基本政策分科会にて検討が進められている、第5次エネルギー基本計画策定ついて、全国消団連では6月14日に意見を提出しました。 提出先:資源エネルギー庁長官官房総務課 パブリックコメント担当 第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見 一般社団法人 全国消費者団体連絡会 (32ページ第2章第2節2「徹底した省エネルギー社会の実現」について) (理由) 基本政策分科会資料によれば、省エネルギーの2030年度目標の達成に向けては順調に推移しており、特に産業・業務部門については2016年度すでに目標を達成しています。さらに伸びしろがあると考えられることから、エネルギー使用量の大幅削減を目指す計画とするべきです。 また家庭部門に対しては、省エネルギーの情報提供が、理解促進や主体的な消費行動につながる有効な手段となるので、これを推進してください。 (38ページ第2章第2節3「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組」について) (理由) 今回の基本計画案では、脱炭素化、再生可能エネルギーの主力電源化を謳いつつも、再エネの導入目標はSDGs やパリ協定が採択される以前に決められた水準のままです。 一方、FIT制度導入をきっかけに再生可能エネルギーの導入は進み、現在の2030年エネルギーミックスの目標は2030年より早い時期での達成が見込まれる勢いです。 また、家庭においては電力自由化にともない電源構成についての関心が高まり、企業においては「RE100」への加盟が進むなど、再生可能エネルギー由来のエネルギー利用を求める動きが加速しています。 加えて、化石燃料の輸入が不要になることや、世界的な再生可能エネルギー発電コストの低下が進んでいることなど、コスト面でのメリットもあります。 今後この傾向はますます進むと見込まれることからも、再生可能エネルギー導入目標を大幅に引き上げるべきです。 また再生可能エネルギーの地産地消は、緊急時の分散型電源としての期待、農地の活用や里山など森林資源の保全、地域経済の活性化への寄与・雇用創出、など多くのメリットが期待されます。その導入促進にあたって、政策面からの支援を求めます。 (46ページ第2章第2節4「原子力政策の再構築」について) (理由) 今回の計画案では、「原発の依存度を可能な限り低減する」と言いながらも、再稼働のみならず、原子力政策の再構築、核燃料サイクル政策の推進など、原発推進のための方策が強調されています。 しかし、現状では、
などについての問題が指摘されており、再稼働を認められる状況とは言えません。 そもそも原子力発電については、すべての判断の大前提として安全の確保と国民の理解が最優先されるべきですが、現状はどの世論調査を見ても原発再稼働について反対が賛成を大きく上回っています。 このような状況で、現計画案の目標達成は現実的ではなく、「2030年原発稼働ゼロ」を目標とし、その工程を具体化するべきです。 (56ページ第2章第2節5「化石燃料の効率的・安定的な利用」について) (理由) 今回の計画案では非効率な石炭火力のフェードアウトに取り組む一方、高効率化・次世代化を推進するとしていますが、石炭火力発電は、高効率の発電方法でもCO2排出量はLNGの2倍以上になり、たとえリプレースしても削減量は現在から2割程度削減されるにすぎません。パリ協定や温室効果ガス削減目標を踏まえ、石炭火力発電所の新設は高効率発電所を含め行わず、フェードアウトを進めるべきです。 (61ページ第2章第2節6「水素社会実現に向けた取組の抜本強化」、87ページ第2章第3節2「取り組むべき技術課題」について) (理由) 水素を脱炭素化の新たなエネルギーの選択肢として利用するには、再生可能エネルギーから製造するべきであり、褐炭や原子力からの水素製造は、脱炭素化や原発依存の低減という目的に反しており、進めるべきではありません。 (89ページ第2章第4節「国民各層とのコミュニケーション充実」)について) (理由) 第5次エネルギー基本計画の策定の検討の柱となる基本政策分科会においては、各委員が見解の表明をするにとどまり、討議を重ねるまでには至りませんでした。 一方、3.11をきっかけに、国民は原発に頼らないエネルギー社会の実現や、放射性廃棄物などの原発の負の遺産の解決、再生可能エネルギーの普及拡大、省エネ社会の構築など、多岐にわたる問題意識を持つようになりました。そのことは2018年1月から始まったエネルギー政策に関する意見箱へ多くの意見が寄せられたことからも明らかです。しかしこれらの意見は基本政策分科会の席上に参考資料として配布されるにとどまり、分析がなされているのか、政策にどう反映されるのかもあいまいな状態です。 このようなことから、今回の計画策定にあたり国民との双方向コミュニケーションを実施するとともに、エネルギー政策については今後とも定期的に政策の進捗を確認し、継続的に国民への情報提供や双方向コミュニケーションを通じて政策へとフィードバックする、PDCAサイクルを回す形を具体化するべきです。 以上 |