[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


1月22日 『消費者教育の推進に関する基本的な方針』 変更案
に対する意見提出しました

 消費者教育については、平成24年12月、消費者教育の推進に関する法律が施行され、平成25年6月に消費者庁にて「消費者教育の推進に関する基本的な方針」が定められました。

 基本方針は、消費者教育の推進の意義及び基本的な方向、推進の内容、関連する他の消費者政策との連携に関する事項を定めたものであり、都道府県消費者教育推進計画及び市町村消費者教育推進計画の基本となるものとして定められたものです。

 また、国や地方公共団体の施策の指針となるだけでなく、消費者、消費者団体、事業者、事業者団体、教職員、消費生活相談員、地域福祉関係者、その他の幅広い消費者教育の担い手の指針でもあります。

 今回消費者庁では、基本方針の策定から5年が経過することから、消費生活を取り巻く環境の変化を勘案し、基本方針を変更することとして、案(平成30年度から平成34年度までの5年間を対象)について意見を募集しています。

 全国消団連では、以下の内容で意見書を提出いたしました。

消費者庁 消費者教育・地方協力課 消費者教育推進室 御中

2018年1月22日

「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案に対する意見

 「基本的な方針」は消費者教育を推進する上での考え方が網羅されており、変更案の方向性は良いと考えますが、方針に基づく具体策とそれを担保する財政措置が何よりも必要という立場から、以下の意見を述べます。

1.本方針を推進する裏付けとして、地方公共団体への財政支援が必要です。

 本方針では、地方公共団体の役割を整理し、具体的には消費者教育地域協議会の活用、消費者教育推進計画の策定、各種施策の実施などを挙げています(18ページ以降)。また、「様々な場における消費者教育」の項では、消費生活センター等を消費者教育の推進拠点とし、その機能発揮のために、「消費生活相談員が獲得した知識と経験を、消費者教育の実施にいかせる環境づくりが不可欠である。このため、各地方公共団体においては、消費生活相談員について、その資質向上のために適切な処遇等の措置を講ずることが期待される」としています(25ページ等)。

 上記以外にも地方自治体が取り組むことについての記載がありますが、地方自治体において消費者行政の自主財源獲得が厳しい現状において、こうした消費者教育の施策を推進していくには、国による消費者行政推進交付金などの財政支援が必須です。

 現行の方針には、「国からの必要な財政上の措置等」として、「推進法では、政府においては、消費者教育の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならないとされている(推進法第8条)。」という記述がありますが、今回の変更案においては削除されています。しかし、上記のことを担保する意味合いでも、この記述を維持することを求めます。

2.成年年齢引き下げへの対応策は重点課題として特出しすべきです。

 成年年齢引き下げへの対応についての記述が「消費者の特性に対する配慮」の項の中に盛り込まれています(16ページ)が、若年者の消費者被害の拡大が懸念される中、高校までのカリキュラムに中の成年年齢引き下げに対応したプログラムを盛り込むことなどを、今回の変更における重点課題として特出しすべきです。

3.大学での消費者教育は必修化も含めて検討すべきです。

 大学教育における消費者教育については、「啓発」や単発の「企画講座」にとどまらず、教養科目に「消費生活論」を加える等の抜本的な手法をとるべきです。また学部によっては必修科目として入れることも検討すべきです。

4.消費者団体支援策の早急な具体化を求めます。

 「地方公共団体と消費者団体、事業者・事業者団体との連携」の項で、「自ら考え行動する消費者や消費者教育の担い手を育成する主体として、地域の消費者団体の育成を支援することも重要である」という記述があります(20ページ)。消費者団体は消費者教育や広報啓発、消費者相談といった面でも公益的な役割を果たしている一方、組織の維持においては人材・財政面等の課題を抱えており、支援策の早急な具体化を求めます。

5.本方針の周知や取り組みの効果測定が重要です。

 実践的には、本方針を教育機関や事業者などの関係者に周知し、具体的な取り組みとして進めていくことが必要です。また、取り組みの途中経過の集約やふりかえりなどをして、その効果測定を行うことが重要です。今回の変更案には「消費者教育に関する取組の有効性についての効果測定の内容や分析手法の検討」という記述がありますが(34ページ)、国としてこのことを早急に進めることが、自治体等における消費者教育の広がりにも資すると考えます。また、ほぼ全国に設置されている消費者教育推進地域協議会との連携などを通じて現場での取り組みを進め、途中不足しているところには補強をしていくことが国の役割であると考えます。

以上