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「地方消費者行政の充実・強化に向けた
今後の支援についての意見」を提出しました

 地方消費者行政に対する国の支援策として、地方消費者行政推進交付金が措置されていますが、これは平成29年度までとされており、その後の地方消費者行政支援策は現時点で確定していません。しかし、消費者相談など消費者行政の体制充実や、消費者安全確保地域協議会(地域の見守りネットワーク)や消費者教育推進地域協議会の構築・充実に向けて、国の財政支援は不可欠であり、継続を求める必要があります。

 この件については消費者庁に「地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会」が2月に設置され、6月にとりまとめを行う予定とされています。

 全国消団連では、6月22日の第2回理事会で協議し、以下の意見を提出しました。

内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官、消費者委員会委員長、財務大臣、へ提出

2017年6月26日

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡 宏保
代表理事 (共同代表) 長田 三紀
代表理事 (共同代表) 浦郷 由季

地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援についての意見

 2008年度からの消費者庁創設等の「消費者行政一元化」の流れの中で、地方自治体における消費者行政の充実・強化を図るため、地方消費者行政活性化基金、その後地方消費者行政推進交付金の制度が設けられました。

 地方消費者行政推進交付金による国の支援は原則平成29年度までとされていますが、消費者の安全・安心なくらしの確保のために、引き続き地方消費者行政を充実・強化する必要があることから、全国消費者団体連絡会として以下の意見を申し述べます。

1.地方消費者行政推進交付金の継続と適用対象の拡大を求めます

 地方消費者行政推進交付金により地方自治体の消費者行政は前進してきましたが、消費生活相談体制の整備や高齢者見守りネットワークの構築等、取り組みには自治体間で大きな格差があります。但し、自治体自身が自主財源で消費者行政予算を確保することはまだ難しい状況にあり、これを底上げしていくには国による財政措置が必要です。

 しかし、現行の地方消費者行政推進交付金は、事業ごとに活用期限が設定されていること、新規事業を実施できるのが平成29年度までと限定されていること、交付金を活用できるのが平成39年度までとされていることから、こうした制約により、次々と新たな問題が生じている消費者被害の現場に対応できなくなるばかりか、日々の業務の継続維持にも支障をきたし、地方消費者行政が後退する恐れがあります。

 平成30年度以降の新規事業も交付金の適用対象に含める等、上記のような制約の見直しを図るとともに、交付金を当面の間継続することを求めます。

2.本来的には、消費者行政費用に対する国の恒久的な財政措置を求めます

 地方自治体が消費者相談を受け、相談情報をPIO-NETに登録したり、重大事故情報を消費者庁に通知したり、悪質業者に対する行政処分を行うことの効果は、その地域の消費者のみならず、国が行う制度改革や法執行・情報提供などを通じて、国民全体に及ぶものであり、国の消費者行政につながっていると言えます。この点をかんがみれば、本来的には、自治体の上記のような事務費用に対する国の恒久的な財政措置が必要です。

 地方自治体と国の相互に影響する事務であって、全国的な水準を確保する必要がある事項については、地方財政法第10条(「国が、その経費の全部又は一部を負担する」とされている事務)の適用対象に加えて、その一定部分を国が持続的に財政負担する仕組みにすることを求めます。

3.地方消費者行政職員の増員と資質向上の対策を求めます

 経済や社会の複雑化、地域社会のつながりの弱体化、情報化社会や高齢化社会の進展を受け、消費者被害は減ることなく、解決困難な事案は多くなっています。このような中、地方自治体の消費者行政が地域の関係団体と連携して見守りネットワークを推進したり、消費者教育を展開することなどの取り組みが重要となっています。

 しかし、消費者庁創設以降も、地方自治体の消費者行政担当職員はほとんど増えておらず、職員の役割が十分に果たせていないのが実情です。

 そのため、国は地方自治体の消費者行政担当職員の配置の目安を示したり、資質向上のための研修制度を強化するなどの施策を講じることを求めます。

以上