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経済産業省「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」
中間とりまとめに関するパブリックコメントを提出しました

 経済産業省「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」中間とりまとめへのパブコメが募集されています(12月19日〜1月17日)。

 この委員会では、一般の原子力発電所の廃炉、福島第一発電所の事故炉の廃炉、および事故炉の賠償の費用について並行して検討がなされ、その費用の一部を託送料金に上乗せ、または託送料金の合理化分を活用する案が示されています。

全国消団連ではこの課題について、

  • 託送料金はその名の通り送配電のネットワークに要する費用である筈
  • 長期間にわたって全ての消費者に負担させようとする案が、国会等の審議を経ることなく、国民に見え難い形で制度化されていくことには問題がある

といったことから、1月16日、以下の通り意見を提出しました。

提出先 : 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部
電力市場整備室パブリックコメント担当

【意見1】

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

 3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方

・意見内容

 原子力事業者が従来確保してこなかった賠償への備え(一般負担金の過去分)について、託送料金に上乗せして回収する案には反対です。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

 まず、こうした費用は本来原子力事業者が負担すべきものです。

 また、託送料金はその名の通り、送配電のネットワークに要する費用として限定すべきであり、これ以外の費用を上乗せすべきではありません。託送料金にこのような費用を上乗せすることで、規制料金として総括原価方式で公正で厳密な査定をすべきである託送料金の内訳が不透明になってしまうことは、送配電部門を独占する一般電気事業者への優遇であり、競争中立的に託送料金の低減化をめざすべき制度の体系そのものをゆがめるものです。

 特に過去分についての回収を将来発生する託送料金で全部または一部回収する点については、中間とりまとめでは、過去分の回収方法として「小売全面自由化により需要家が電力の供給者を自由に選択できるようになる中で、広く需要家に負担を求める方法は、(a)税・賦課金等のように全国の需要家に一律に負担を求める仕組みと、(b)託送料金のように特定の供給区域内の全ての需要家に一律に負担を求める仕組みの2つに大別できる」とした上で、「過去分を国民全体で負担するに当たっては、特定の供給区域内の全ての需要家に一律に負担を求める託送料金の仕組みを利用することが適当」としていますが、(b)には前述の理由から反対します。そもそも(a)(b)のいずれの方法が妥当かについては、国民的論議(国会)を経て決定すべきと考えます。

【意見2】

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

3.3.福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方

・意見内容

福島第一原子力発電所の廃炉の資金に送配電事業の合理化分を充当することについては反対であり、十分な議論が必要と考えます。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

中間とりまとめでは、託送収支の事後評価に例外を設け、東京電力パワーグリッドの合理化分を福島第一原子力発電所の廃炉の資金に充てる方策が示されています。しかし、この方策は、「送配電事業者の経営合理化の結果は託送料金の引き下げに充てる」とする原則を曲げ、託送料金制度の体系および発送電分離を基本原則とする電力システム改革の趣旨をゆがめるもので、反対です。十分な議論が必要と考えます。

【意見3】

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

3.4.廃炉に関する会計制度の扱い

・意見内容

 東京電力以外の電力会社の廃炉費用についても託送料金の仕組みを利用して回収できるようにする制度変更に反対します。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

 中間とりまとめにも述べられているように「発電に係る費用については、本来、発電部門で負担すべき」です。託送料金は、送配電のネットワークに要する費用として限定すべきであり、これ以外の費用を上乗せすべきではありません。託送料金にこのような費用を上乗せすることで、規制料金として総括原価方式で公正で厳密な査定をすべきである託送料金の内訳が不透明になってしまうことは、競争中立的に託送料金の低減化をめざすべき制度の体系そのものをゆがめるものです。

 また、廃炉費用は、特定の発電源の発電にかかるコストの一部です。託送料金に特定の発電のコストを上乗せすることは、特定の発電方法を優遇することであり、認められません。加えて、電力を利用するすべての消費者に負担を求めることになり、原子力発電以外の電力を利用する消費者、原子力発電の電力を利用したくないと思っている消費者の理解は得られません。

 廃炉費用は原子力発電所を持っている事業者が電気料金で回収すべきであり、上記の制度変更はすべきでないと考えます。

【意見4】

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

6.おわりに

・意見内容

今後の施策の決定と実施に当たっては、国民的論議を経ることが必要です。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

 中間とりまとめでは、「今後、政府においては、本小委員会の取りまとめに沿って、これらの施策を一体的なものとして着実に実施していくことが求められる」とされていますが、今回の報告書の内容及びその説明は、十分な理解を需要家ができる内容とはなっておらず、国民的議論が十分に行われたのかは疑問です。中間とりまとめには、「発電」「送配電」「小売」を分離して公平な競争を促進する、消費者が電力小売自由化で電力事業者を選択できるとした電力システム改革の趣旨をゆがめるような方策が盛り込まれており、あらためて国民的論議を行うことを求めます。