[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


都市ガス 指定旧供給区域等の
指定に対する意見を提出しました

 今年4月からの電力の小売自由化に続き、来年4月には都市ガスの小売りが自由化となります。

 都市ガス小売自由化にむけては、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会ガスシステム改革小委員会で制度設計が検討されています。

 このうち料金については、来年4月の自由化とともに原則撤廃され、競争状態が不十分な事業者においては経過措置として料金規制を残すこととされており、今回、料金規制を残す事業者の案が示され、意見が募集されています。

 意見募集を踏まえ、10〜11月に経過措置料金規制が課される事業者が指定される予定です。(指定される事業者以外は2017年4月に料金規制が解除(=自由料金)になる見込みです)。

 全国消団連では、経済産業省本省及び10経済産業局すべてに意見を提出しました。


提出先:経済産業省、北海道経済産業局、東北経済産業局、関東経済産業局、中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局、中部経済産業局、近畿経済産業局、中国経済産業局、四国経済産業局、九州経済産業局、内閣府沖縄総合事務局

指定旧供給区域等の指定(○○所管分)に対する意見の募集について

[対象事業者] 本省所管全社

[氏名] 一般社団法人全国消費者団体連絡会

[住所] 東京都千代田区六番町15 プラザエフ6F

[電話番号] 03-5216-6024

[FAX番号] 03-5216-6036

[E-mail] webmaster@shodanren.gr.jp

[御意見]

1.約200社の都市ガス事業者のうち、12社しか経過措置料金が指定されないのは問題です。都市ガス事業者間の競争が見通せない中で、拙速に料金規制を解除すべきではありません。

 電気に続き都市ガスの小売全面自由化が予定されていますが、両者は自由化への環境が大きく異なります。電気は全国送電網が整備されていますが、都市ガスは導管網が未整備であることなどから、電気のように新規事業者の参入を見通しにくい状況です。このような状況の中、経過措置料金が指定される事業者が12社のみとなれば、3大都市圏以外では「規制なき独占」に陥るのではないかと危惧されます。

 ガス料金が地域住民のくらしに与える影響はきわめて大きいといえます。都市ガス供給は導管というインフラが必須であり、膨大な装置産業です。新規参入事業者との競争、LPガスとの競争については、新築住宅における競争はあるとしても、既築住宅における競争は、設備等の問題もあり簡単ではなく、消費者は実質的に他燃料への転換は困難です。とりわけ、集合住宅においては、都市ガスからLPガスへの切り替えは物理的に不可能です。多くの集合住宅の住民にとっては、都市ガス事業の新規参入がない限り、選択権はまったくなく、料金引き上げに対抗する手段もありません。これらの集合住宅の住民のことを考慮すれば、都市ガス事業者の新規参入が認められるまでは料金規制を解除すべきでなく、小売料金規制を課す対象事業者として指定すべきと考えます。

 また、現状では、一般的にLPガス料金の方が高い状況を踏まえると、都市ガス事業の新規参入がない限り、経過措置料金規制規制を解除した後に、家庭用都市ガス料金がLPガス水準まで引き上げられる恐れを否定できません。競争を通じて料金を引き下げることが自由化の目的であるにも関わらず、経過措置が外れることで「規制なき独占」となり、料金の引き上げが懸念されます。そのような事態になれば、ガス供給の実態への配慮を欠いた結果として、「消費者にとって都市ガス自由化は、消費者利益を何らもたらさない、失敗であった」と評価せざるを得ません。

2.資源エネルギー庁は、都市ガス自由化実施後の監視の具体的な方法を示してください

 今回資源エネルギー庁は、12社以外の事業者については「適正な競争環境が確保されている」と評価して、経過措置料金規制に係る指定をしない方向性を示しています。しかし、指定されなかった事業者の、「規制なき独占」による値上げについて、どのように行政として監視するのか、監視の具体的な方法を示すべきです。また、都市ガス自由化後に値上げが起きた場合にどのように対処するのか、その基本方針を示すべきと考えます。

3.経過措置料金規制に係る指定がされない事業者は、利用者への周知・説明を徹底するべきです

 都市ガス自由化開始当初から経過措置料金規制に係る指定がされない事業者及び、その後解除基準に該当し経過措置料金規制に係る指定が解除されることになった事業者は、その旨の利用者への周知・説明を徹底してください。

4.資源エネルギー庁は、制度変更や都市ガス自由化に関する周知を行ってください

 国民の多くは都市ガス自由化の目的や意義、制度の仕組み等について十分に知らされていません。資源エネルギー庁は、様々なツール・機会を利用して、制度変更や都市ガス自由化の広報を積極的に行ってください。

<添付資料>都市ガスの自由料金移行世帯数の状況(日本生協連作成) 【PDF 188KB】