[意見]
1.託送料金の審査が厳格に行われるよう求めます。
今回のガス託送料金審査は、電力と異なり、ヤードスティック方式という比較査定の適用により個別の費用査定は行われないこととなっています。事前認可申請ということで同一期間内に託送約款申請を行うガス事業者が100社以上あり、事業規模等もさまざまであることなどから、電力託送料金審査と同様な手続きを踏むことは困難であるとの方針は理解できる一方で、今回、国の審査専門会合における審査対象となった東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3事業者は、平成28年6月1日時点で経済産業大臣の許可を受けている203の一般ガス事業者の中での販売量比率は7割を超えています。この3事業者の審査においても、託送原価の約1/3はヤードスティック方式で判断され、主要な営業費等が個別の審査対象からはずれてしまうことに疑問を禁じ得ません。導管部門の法的分離は今後5年間行われないこと等を考えると、ガス小売り全面自由化の成否を握る新規事業者の参入において重要となる託送料金の審査について、厳格に行うことを求めます。
2.制度開始から一定期間後(遅くとも導管部門の法的分離前)に検証と見直しを求めます。
今回は新たな制度開始前の審査であり、事業者数が多いため一部ヤードスティック方式による比較査定を実施しています。そこで運用開始後一定期間を経た後(遅くとも2022年の導管部門の法的分離前)に、今回設定された原価が適正であったかについて検証を行い、必要な見直しを行うべきと考えます。
3.原価低減を託送料金に反映できる仕組みを設けてください。
託送料金の値下げ改定は事業者の任意による届出制となっているため、事業者のコスト削減結果が託送料金の値下げに必ずしも十分に反映されない懸念があります。例えば、原価算定期間を3年とし、その終了後には原価を洗い替えする等の対応により、原価低減を託送料金に反映する機会を適時かつ実質的に確保してください。
4.固定費の家庭向け(小口部門)・産業向け(大口部門)の配分において、家庭向けに過大な負担を課さない配分基準としてください。
固定費について、現状は家庭向け(小口部門)に過大な配分となっている懸念があります。固定費の配分基準の透明性を高め、一般消費者に過大な負担を課さない配分基準にしてください。
5.制度変更や都市ガス自由化に関する周知を行ってください。
今回の託送料金認可申請審査に当たり、資源エネルギー庁においては、託送料金の適正性について広く国民の理解を得るため、情報公開とともに透明性の高いプロセスを踏むこととし、国内すべての事業者に対する意見公募を開始しました。しかしながら、国民の多くは、そもそも都市ガス自由化の目的や意義、制度の仕組み等について十分に知らされていません。電気と違い、国内の約半数の世帯は都市ガスを利用していない状況にあります。資源エネルギー庁は、様々なツール・機会を利用して、制度変更や都市ガス自由化の広報を積極的に行ってください。
以上
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