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特商法、消契法の実効的な改正を求めます
〜消費者委員会答申にあたって〜

2016年1月8日

※総理大臣、官房長官、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委委員長、各党代表に提出

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事(共同代表)岩岡  宏保
代表理事(共同代表)河野  康子
代表理事(共同代表)松岡萬里野

高齢化、情報化、国際化等による社会経済状況の変化に対応し、
消費者被害を防止・救済する実効的な法制度を
早急に整備することを求めます。
〜内閣府消費者委員会の答申(特定商取引法、消費者契約法)にあたって〜

 高齢化の進展や情報通信技術の発達、消費の国際化といった近年の社会経済状況の急激な変化に対して、消費者被害を防ぎ、安心して適正な取引ができるようにするための実効的な法制度の整備が急務となっています。

 こうした変化に対応するため、一昨年、内閣総理大臣から消費者委員会に対して特定商取引法と消費者契約法の見直しについて諮問され、それぞれ専門調査会での審議を経て、2016年1月7日に答申が公表されました。答申には、消費者被害の防止・救済という観点から見ていくつかの前進点はあるものの、多くの重要な論点に係る対応策が見送り・先送りとされています。

 特定商取引法の答申では、指定権利制を廃止すること、アポイントメントセールスの呼出し手段としてSNSと電子広告を適用対象に加えること、継続的な美容医療契約を特定継続的役務提供に追加することなど、被害防止・救済に資する提言が盛り込まれた一方、迷惑な訪問勧誘や電話勧誘を事前に拒否する「拒否者登録制度」「お断りステッカー制度」について具体的な検討さえ行われなかったことや、インターネット通信販売の虚偽広告による契約の取消権の付与等が見送られたことは極めて残念です。

 消費者契約法の答申でも、不実告知の取消し事由に「契約の締結を必要とする事情に関する事項」(「動機」等)を追加すること、必要のない過量契約を締結させた場合に取消権を付与することなどは評価できますが、他方で合理的な判断ができない事情(加齢や認知症等)がある消費者につけ込む契約への取消権の付与や、不特定の者に向けた広告を「勧誘」として明文規定に加えることなど、消費者が改正を期待した多くの論点が検討課題として先送りされました。

 対策が遅れることによって、この瞬間にも新たな消費者被害が発生しています。国会と行政は、全国の消費者問題の専門家によって丁寧に収集されているPIO-NET情報に表れた消費者トラブルの実態に真摯に向き合い、消費者が安心して消費生活を営むことができる健全な経済社会の形成に向けて、被害の未然防止や被害回復等への対策などに速やかに対処すべきです。

 私たちは、先ずもって今回の消費者委員会の答申に基づき、特定商取引法と消費者契約法の改正を直ちに実現することを要望します。その上で、先送りされた多くの課題についても、消費生活相談の現場や消費者・消費者団体の声を踏まえて、できるだけ早い時期に実効性ある法制度の実現に向けた検討を開始することを要望します。

以上

消費者契約法・特定商取引法 改正運動について