【理由】
電力システム改革専門委員会報告(平成25年)には、電力システム改革を貫く考え方として「事業者や需要家の『選択』や『競争』を通じた創意工夫によって実現する方策が電力システム改革である」とされ、小売全面自由化とそのために必要な制度改革として「真に『電力選択の自由』を実現するためには、消費者が自らの意思で、適切な情報に基づいて選択できる環境が必要である」と記述されています。
自由化された市場において消費者が主体的に選択し、行動するためには、消費者と事業者の間にある情報格差を埋めていくことが必要です。情報が開示されなければ選択の材料にすることもできず、全ての電力供給事業者に義務付けられなければ比較することができず、適切なルールが定められなければ、不確かな広告・宣伝により消費者の誤認を招きかねません。
選択のために必要な情報の多くは事業者側にあり、全ての事業者がそれらをオープンにする必要があります。省令案第3条1項23号では電気供給者等に発電用の電気工作物の原動力の種類その他の事項についての内容と根拠を説明することが求められていますが、消費者が具体的に求めている電源構成、再生可能エネルギーや化石燃料、原子力といった発電源に関する情報の表示についての規定がありません。
また、省令案第3条1項7号では、料金(算定方法を含む)についての規定がありますが、消費者が求める費用内訳(再エネ発電賦課金や燃料調整費だけでなく、託送費用や原子力関連費用などの情報)に関する情報の表示についての規定がありません。これらの情報については、消費者の関心も高く、全ての事業者に適切な表示の義務付けを検討すべきです。
また、表示については、グラフを用いるなど、消費者が理解しやすく、比較選択に役立つ形で提供される必要があります。 |