[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


2014.11.6 ガスシステム改革における
「移行措置」に関する意見を提出しました

2014年11月6日

資源エネルギー庁
 電力・ガス事業部 ガス市場整備課 様

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事(共同代表)河野 康子
代表理事(共同代表)丸山 善弘
代表理事(共同代表)山根 香織

ガスシステム改革における「移行措置」に関する意見

 ガスシステム改革が「規制なき独占」に陥る懸念から、全国消団連は6月30日付意見書で次のように求めました。

  1. 競争的な市場が形成されるよう、経過措置を設けてください。
    自由化後の一定期間、小売料金値上げ認可の規制を継続する経過措置を設けるべきです。経過措置を設けることで家庭用市場で競争が整うのを見極めることは必要と考えます。また、競争状態を確認するために、消費者も参加する第三者機関において適切に監視できる仕組みを構築してください。
  2. 競争を担保するために、監視・指導など行政権限を残してください。
    仮に新規参入が進まず「規制なき独占」に陥った場合、異常な料金値上げや供給拒否といった事態が放置されることのないよう、ガスのようなライフラインに関わる料金については行政が事後的に点検し、指導・命令によって是正できる権限を残す必要があります。また、こうした行政権限に、所管官庁である経済産業省だけでなく、消費者庁や公正取引委員会なども関与できるようにし、広範なチェック体制が進むようにしてください。

 9月24日に開催された小委員会で、料金規制に関する「移行措置の必要性」について検討され、その中では、移行措置の期限や料金規制を残すガス事業者の基準に関して「自由化後3〜6か月で移行措置を廃止」「移行措置の対象となる都市ガス事業者の競争状況は、供給区域内都市ガス利用率の足切基準を75%とする」などの意見が出されています。

 しかし、利用率75%以下を競争状況の指標とすると、同日の小委員会資料の【図表3】では、9割の都市ガス事業者の料金規制が廃止され、需要家数232万件の東邦ガスや110万件の西部ガスも対象外となり、料金規制の移行措置が名目だけのものとなりかねません。

 そもそも供給区域内都市ガス利用率を競争状況の指標として用いることについては、以下のような問題があります。

  1. 都市ガスを利用する消費者のうち、集合住宅は建物構造上、また賃貸住宅は所有者に設備取替え負担が伴うことなどから、他燃料転換は容易ではありません。そのため供給区域内の全体世帯数を、都市ガスと他燃料との同一市場と見るのは無理があります。
  2. 開栓すればガスを利用できる空き家が都市ガス利用世帯数から除外され、一方で、ガス導管がなく都市ガスを利用できない地域も総世帯数として算入されています。これでは都市ガスの実質的なシェアを正しく反映したものと言えないのではないでしょうか。

 公正な市場競争の下、料金の高騰を防止し自由化への移行が円滑に行われるよう、改めて次のことを要望します。

<移行措置について>

  1. 移行措置は事前申請認可型として、原則すべての都市ガス事業者に適用すると共に、移行措置の期限を設けないでください。また、移行措置の除外基準は、消費者が参画する検討機関を設置して、別途検討して下さい。
  2. 移行措置の除外基準は、都市ガス事業者単位ではなく、都市ガス事業者が行政に提出する供給計画に記載される市区町村単位で判定して下さい。またその基準は、既存世帯数(ストック)ではなく、毎年の新築や増改築件数などフローでの数値として下さい。

<料金及び競争状態の監視について>

  1. ガス事業の競争状態については、全国一律で判断するのではなく、各地域での競争状況を第三者的な立場から具体的に監視する、消費者代表も含めた機関を設けて地域やガス調達形態などガス事業の実状に応じてキメ細かな判定基準の下に判断してください。
  2. 移行措置を除外された都市ガス事業者の料金改正は、事後届出命令型として妥当性を検証し是正できるようにしてください。
  3. 小委員会では、あらためて消費者庁、公正取引委員会等との役割分担について議論してください。

以上

(全国消費者団体連絡会は消費者団体の連絡組織です。2014年10月現在全国45団体が加入しています)。