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中部電力の電気料金値上げ認可申請に関する意見書を提出しました 中部電力株式会社の電気料金値上げ認可申請に関する意見 電気は、暮らしに必要不可欠なインフラですが、現在、私たち消費者は、その購入先を自由に選ぶことができません。特に地域独占という形で電力事業を営んでいる現状から、事業者による一方的な値上げは許されるものではありません。値上げ審査は、十分な資料を基に、透明性と納得性を以って丁寧に行い、その過程と結果を私たち消費者が分かりやすい形で公開してください。 電気料金の値上げは、家庭の電気代の負担増に止まらず、生活必需品価格への転嫁、国内企業の経済活動と雇用・所得への影響などを通じて、国民生活に大きな影響を与えるものです。平成26年4月には、消費税増税により家庭の負担はさらに増えることが予想されます。電気料金をはじめとする公共料金は、安定した生活を維持するために不可欠であるため消費者へ過剰な価格転嫁がなされていないかの監視が必要です。総括原価方式にる現行の電気料金決定の仕組みの中では、これまでの経営体質からコスト削減による経営効率化がおこなわれにくい状況です。先般の電気事業法改正から始まる電力システム改革を見据えて、電力会社が過度な利益を得ることなく経営効率化を進め、消費者にとって安心して利用できる電気と電気料金の設定のために弛まぬ努力を続けてください。 また、原子力発電再稼働のために多くの費用を計上していますが、省エネルギー、再生可能エネルギーの拡大に舵を切り、将来的に原発に頼らない電力の安定供給をめざしてください。 ○値上げ理由について 内部留保が潤沢にある中部電力においては、火力発電の燃料費増が主因であるとしている今回の値上げ申請と財務状況との関係について消費者が納得できる説明を求めます。 ○査定基準について これまで電気料金値上げ申請を行った6社の査定方針と、それに基づいて改定され12月5日に資源エネルギー庁から公表された「一般電気事業供給約款料金審査要領」に従って原価の削減をおこなってください。 ○経営の効率化について 随意契約を含む調達費用の削減率については、これまでの他電力と同様に10%程度に引き上げ、新規事業者の参入を促すことでより安価な調達に務め経費削減につなげてください。競争発注比率の目標を立てていますが出来るところから速やかに達成してください。 ○燃料費(火力燃料の購入価格) 今回の値上げの大きな理由である火力発電の燃料費に関しては、調達における価格交渉努力について検証するとともに、より安価な火力発電の燃料の調達に向けて今後の目標値と行動計画を明らかにし、その交渉努力を先取りする形での原価反映を求めます。ピークシフト、メリットオーダーの更なる追求はもちろん、保有する発電設備を最大限活用して効率的な発電を行い、さらに卸電力市場等を活用して利用者にとって料金負担の軽減につながるなど最大のメリットが生み出せるような効率的な事業計画を示してください。 ○人件費 総括原価方式の趣旨「事業に要する費用すべての回収を認めるのではなく、あるべき適正な費用のみの回収を認めること」から考えると、同種、同等による比較と併せて、その地域に住んでいる消費者の理解が得られるメルクマールにそった査定にするべきです。 また、人員計画や役員数が事業規模に見合ったものかどうか厳正な検討を求めます。今後3年間では増員が計画されていますが、業務の効率化と併せて電力の安定供給の維持に本当に適正な社員数になっているか精査を求めます。 ○修繕費 今回申請された修繕費のうち、配電部門で前回査定時より約150億円増と多額の取り替え修繕費が計上されています。そのうち、スマートメーター関連費用を除く設備の高経年化対策として多額の増加を見込んでいますが、その内訳と必要性について説明をしてください。特に経年劣化による送配電設備の更新計画について原価算入期間であるこの時期に行う合理的な理由があるのかを検証し、あるならばきちんとその理由を示してください。 また、調達費用7〜10%の削減目標やこれまで以上の競争入札比率のアップを目指すなど更なるコスト削減が可能と考えます。 ○その他経費(普及開発関係費) 広報等に係る普及開発関係費は、約19億円で申請されています。前回に比べて金額は大きく減額していますが、原子力発電施設見学や立派なパンフレット作成など、自社の電力需給に直接関係の無い項目について利用者に負担を強いるべきではありません。 ○修繕費(スマートメーター関連) スマートメーターの導入を出来るだけ前倒しして実施して下さい。東京電力と同じ仕様を導入とのことですが、導入に当たってはコストを最優先に考え、メーター端末、通信システム、管理システムともに競争入札で調達してください。スマートメーターの設置は、電力使用量の「見える化」等により、消費者が情報を利用して節電・省エネ行動につなげられる利点や、事業の効率化の両面からも有効な手段であり、個人情報保護への対応を図りながら早期に低コストで導入するべきです。 ○値上げの周知 値上げを申請するに至った背景、経営効率化の取り組み、値上げ申請の内容等について、さまざまな媒体を使って、消費者に丁寧に情報提供し理解を得る努力をしてください。特に、独居の高齢者をはじめとする生活弱者等へのお知らせは丁寧に行ってください。 ○今後に望むこと 電力供給の形が大きく変わろうとしています。今後に向けて、節電等省エネルギーの促進・再生可能エネルギーの拡大などを含めて、原子力発電に頼らないエネルギー政策を明確にすべきです。電力システム改革、再生可能エネルギーの導入についても、その検討過程に国民が参加し、十分に意見を反映できる仕組みを早急に作ってください。長期的には原子力発電に頼らないエネルギー政策は必須だと考えます。また今後打ち出される電力に関する様々な政策においては、その検討過程において、利用者の意見を十分に聞き、それを反映できる仕組みの構築を望みます。 以上 |