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行政の施策を消費者視点で監視し、執行させるための組織が必要である。この組織は、意見具申内容が各省庁の施策に確実に反映されるように作られることが重要である。ついては、既存の審議会のように各省庁の中に置かれるだけでは不足であり、消費者庁を含む各省庁に対して強い影響力を確保できるようにするため、消費者庁からも半ば独立したポジションに位置づけることが重要である。加えて、この組織への権限の付与(意見具申、調査権限)・事務局編成のあり方などがポイントである。
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この組織にまず求められる機能としては、発生した問題や事故について行政の対応が十分に取られていない場合(例:こんにゃくゼリー、瞬間湯沸器中毒事故、汚染米問題)に対して、消費者被害情報や内部告発情報をもとに、行政対応の不備を問うようなチェック機能が必要である。
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また、被害が起こった後の事後対応だけでなく、事前のリスク察知が重要である。ヒヤリハット情報などをもとに、被害が起こる前のセンサー機能も担う必要がある。たとえば食品安全分野では、関係省庁が日常的に海外の食品安全情報(食中毒・農薬・動物用医薬品など)を収集・分析し、汚染防止や基準づくり等のリスク管理措置をとっているが、食品安全以外の分野においてもそのような事前対応は重要であり、そうした角度での指摘も期待される。
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この組織は、内閣総理大臣や各省大臣からの諮問があった場合に限定されることなく、自ら意見具申できるようにする必要がある。また、この組織から意見具申があった場合に、消費者庁に対して一定期間内での応答義務を課す(意見に対する対応方針を明らかにするなどの応答を義務づける)必要がある。
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この組織の委員は消費者庁を含む各省庁から独立していることが監視機能を果たす上で重要であることから、委員の独立性を担保するために、委員の任命は国会同意人事とする必要がある。
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分野で分ければ、安全(食品、製品)・取引・表示などに幅広く対応する必要があり、委員のバックアップ体制(事務局)の作り方は工夫が求められる。この組織が、各省庁の持つ情報を自由に使えるようにしておくことが必要であり、調査権限を付与しておく必要がある。なお、消費者行政においては、日頃の業務の中で被害者や事業者と接しているからこそ得られる現場感覚を持つことが重要であり、委員のバックアップ体制に現場や現場感覚をどう持たせるかが課題である。事務局構成としては、規制改革会議事務局のように民間人の登用も検討する必要がある。
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