採点対象とした6項目の47都道府県全体の結果と上位5位、ワースト5位について以下各項目ごとにみていく。
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| 1.職員減員で消費者行政の充実が図れるか〜消費者行政の担当職員数(本課+消費生活センター)〜 |
| 全国合計 - 4.5%(1,340人→1,280人) |
| 上位5位 |
| 1.埼玉県 |
65.0% |
(52人→ 85人) |
| 2.新潟県 |
22.2% |
(14人→ 17人) |
| 3.山形県 |
11.4% |
(18人→ 20人) |
| 3.高知県 |
11.4% |
(18人→ 20人) |
| 5.兵庫県 |
11.1% |
(90人→100人) |
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| ワースト5位 |
| 1.広島県 |
-41.9% |
(31人→18人) |
| 2.神奈川県 |
-34.6% |
(81人→53人) |
| 3.鳥取県 |
-21.7% |
(12人→ 9人) |
| 4.大阪府 |
-21.4% |
(21人→17人) |
| 5.福岡県 |
-20.0% |
(20人→16人) |
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| *数値は97年度対比の2001年度の増減率。( )内は97年度と2001年度の実人数の推移。 |
消費者行政の本課と消費生活センターを合わせた職員数は、この5年間で47都道府県全体では−4.5%と減少幅は少ないが、この5年間で増員されたのは9県で、横ばいが9県、残る29県は減員している。
増員している上位5位をみると、埼玉県が65.0%増とかなり高くなっているが、これは2001年度から消費生活相談員を非常勤職員の扱いに変更したことによるもので、この部分を除くと横ばいである。他の増員県にしても職員数そのものは大都市圏を除いて20人前後ともともと少ない。
ワースト5位では、消費生活センターの統廃合を進めている広島県と神奈川県で大幅の減員である。なお、大阪府と福岡県は大都市圏に属しながら20人以下の職員配置しかなされていない。
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| 2.少ない予算から、なおも減額される消費者行政予算〜消費者行政予算(本課+消費生活センター)〜 |
| 全国合計 -25.6%( 94円→ 70円) |
| 上位5位 |
| 1.新潟県 |
32.7% |
( 19円→ 25円) |
| 2.高知県 |
32.6% |
( 68円→ 90円) |
| 3.山口県 |
26.6% |
(129円→165円) |
| 4.福岡県 |
19.9% |
( 22円→ 26円) |
| 5.宮崎県 |
12.0% |
(129円→145円) |
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| ワースト5位 |
| 1.島根県 |
-56.0% |
( 83円→ 37円) |
| 2.神奈川県 |
-49.0% |
( 30円→ 15円) |
| 3.長崎県 |
-45.7% |
(230円→127円) |
| 4.東京都 |
-43.5% |
(298円→165円) |
| 5.秋田県 |
-43.4% |
(127円→ 73円) |
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*数値は97年度対比の2001年度の消費者行政予算(本課+消費生活センター)額の増減率で、( )内は97年度と2001年度の人口1人当たりの消費者行政予算額である。
(注)「消費者行政予算」には、相談・啓発、消費者教育、調査・研究、商品テスト、消費者団体活動支援、消費生活センター運営等諸経費、審議会等諸経費、生協育成等融資・貸付金など諸種の経費があるが、今回の調査では、計上された消費者行政予算にどのような項目が含まれるかの詳細は聞いていない。あくまでも当該自治体が消費者行政予算として予算措置しているものを回答していただいている。
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47都道府県全体の消費者行政予算は、この5年間で−25.6%と四分の一も減額されている。これを人口1人当たりでみると、97年度の94円から70円と減少している。僅かでしかない消費者行政予算が更に減額されているということは、規制緩和・国際化・情報化のもとで「消費者の自己責任」が強調されながらも、それに対応した消費者施策が位置づけられていない現実を如実に示すものと言わざるをえない。
5年間に増額した県の上位5位のうち、新潟県が32.7%、高知県が32.6%であるが、2001年度の消費者行政予算の人口1人当たりの予算額では新潟県では僅か25円にすぎない。
ワースト5位では、島根県が−56.0%と下げ幅が最も大きく人口1人当たりでは83円から37円へと急減している。また、神奈川県も−49.0%と5割近く急減し2001年度には僅か15円と全国最低となってしまっている。
なお、先にも触れたように、今回の調査では当該自治体で「消費者行政予算」としているものを回答していただいている。そのなかには生協に対する貸付・融資などを含んでいるケースもあり、これが消費者行政予算額を全体で引き上げている場合もあることに留意する必要がある。
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| 3.わずか0.017%にすぎない消費者行政予算〜一般会計予算に占める消費者行政予算比率〜 |
| 全国合計 -27.5%( 0.023%→ 0.017%) |
| 上位5位 |
| 1.高知県 |
39.7% |
(0.009→0.013) |
| 2.新潟県 |
24.6% |
(0.004→0.005) |
| 3.山口県 |
20.7% |
(0.025→0.030) |
| 4.福岡県 |
12.7% |
(0.007→0.008) |
| 5.奈良県 |
6.8% |
(0.012→0.013) |
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| ワースト5位 |
| 1.島根県 |
-60.1% |
(0.011→0.004) |
| 2.長崎県 |
-52.1% |
(0.042→0.020) |
| 3.石川県 |
-48.1% |
(0.037→0.019) |
| 4.神奈川県 |
-47.9% |
(0.014→0.008) |
| 5.秋田県 |
-47.3% |
(0.023→0.012) |
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| *数値は97年度対比の2001年度の増減率。( )内は97年度と2001年度の消費者行政予算比率(%)。 |
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少ない消費者行政予算であるが、それを一般会計予算に占める割合でみるとより一層鮮明となる。
47都道府県全体では97年度の0.023%から2001年度には0.017%へと減少している。0.017%とは、自治体の予算1万円のうちわずか1.7円しか消費者行政に使われていないということである。一般会計予算は5年間で2.6%増となっているのに、消費者行政予算は前述のように−25.6%である。つまり、自治体の財政難のために消費者行政予算も一律に削減されているのではなく、消費者行政が軽視されていることがわかる。もともと小さな消費者行政がますます施策の隅に追いやられているのである。
都道府県ごとの順位をみると、一番伸び率が高いのは高知県の39.7%であるが、それでも一般会計予算に占める割合は2001年度で0.013%と全国レベルより低い。上位2位の新潟県(伸び率24.6%)ではわずか0.005%と極めて低い水準である。
ワースト5位をみると、島根県が−60.1%も減少し、神奈川県はワースト4位であるが、−47.9%と5割近い下げ幅で、一般会計予算に占める割合も0.008%にまで急減している。
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