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主催:特商法の抜本的改正を求める全国連絡会 幹事会

特商法拡大意見交換会 開催報告

 特商法の抜本的改正を求める全国連絡会(以下、特商法全国連絡会)は、特定商取引法(以下、特商法)の平成28年改正の際に附帯決議に掲げられた5年後見直し規定に基づき、消費者被害の予防・救済のため、特商法の抜本的な改正を実現することを目的に、2022年10月7日に発足しました。

 発足から2年が経過し、現在58の団体と20人の個人の皆様にご賛同いただき、アンケート調査や地方議会請願運動、国会議員要請等などの取り組みを進めてきました。
(ホームページhttps://tokushoukaisei.net/


(左:拝師さん、右:司会の伊藤さん)

 残念ながら、特商法の隙間をつくような悪質事案は後を絶たず、一日も早い法改正の実現が求められています。

 そこで、特商法全国連絡会に集う団体の皆様とともに、幅広い団体や個人にも呼び掛けて、2年間の運動の到達点を共有し、今後の取り組みについて意見交換をして、更に具体化するための会を開催いたしました。

【日時】2024年9月30日(月)18時30分〜19時30分〔Zoom活用のオンライン意見交換会〕

【内容】

  1. 「この間の連絡会の取り組みと法改正運動の到達点」
    代表幹事 樋口 容子(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)
  2. 消費者庁「デジタル社会における消費者取引研究会」の状況
    弁護士 金 昌宏
  3. 今後の取り組みについて(意見交換)
    事務局長 拝師 徳彦(弁護士)

【参加】121人

概要(事務局による要約)

■「この間の連絡会の取り組みと法改正運動の到達点」

 特商法全国連絡会幹事の樋口容子さんより、この間の取り組みと改正運動の意義について説明がありました。

 特商法全国連絡会は、2022年10月に結成し、現在58団体が参加をしています。特商法改正に関する意見表明や議員要請などの活動を展開中です。

 特商法関連の最近の被害状況では、「訪問販売・電話勧誘販売」では、相談件数は減少していますが、修理サービスや屋根工事被害など高額被害が増加しています。また匿名・流動型犯罪グループ(SNSで集めたメンバーを実行役にして特殊詐欺や投資詐欺など様々な犯罪を繰り返す)が関与するケースもあり、より悪質化しています。インターネット通販の相談件数は、多くの世代で最多となっていて、特にSNS関連の相談件数は増加の一途をたどっています。定期購入被害も令和3年改正後も増加しており、現行法ルールでは予防救済が不十分です。マルチ商法は、相談件数は減少傾向にありますが、金融資産や海外事業への投資の勧誘などで紹介料や報酬を得るなどのモノなしマルチの被害が深刻化していて、被害額は高額化しています。

 特商法全国連絡会では、@不招請勧誘(およびでない勧誘)規制の強化、ASNS等のインターネット通販への規定整備、Bマルチ商法規制の強化を獲得目標に掲げて活動をしています。

 消費者被害の実効的な予防・救済のため、特商法の抜本的改正に向けて、引き続き頑張りましょう。

■消費者庁「デジタル社会における消費取引研究会」の状況

 弁護士の金昌弘さんより、「消費取引研究会」の状況について、研究会の議事録をもとに、以下の通り解説いただきました。議事録はアップされており是非一度読んでほしいとの提起もいただきました。

 消費者庁「デジタル社会における消費取引研究会」は、今年6月27日に第1回が開催され、7月25日に第2回、9月18日に第3回が開催されました。

 第1回会議で、消費者庁長官からは「この研究会は、いつまでに何をやる、何のための、法律改正をするための、いわゆる道筋のある研究会ではない」との冒頭挨拶ののち、消費者庁取引対策課より、消費者庁として問題意識や考え方について説明がされました。

  • 特商法の概要としては、悪質事案が発生して手に負えなくなると制度を増設してきたが、デジタル化の進展の下、どう対処をすればよいかが大きな論点となる。
  • 処分をし、規制を増やしても悪質事案が減らない現状をしっかり認識しなければならず、そのためにはエビデンスが大事であるが、消費生活相談件数を分析するとエビデンスがエビデンスになっていない状況である。
  • SNS・チャットなど新しいツールを入口にした通販事案について、消費者庁ではしっかり処分を行っている。
  • 相談内容の具体例では、消費者側のリテラシーが向上していれば防げた事案や単なる詐欺なども含まれていて、特にデジタルではその人が有すべき最低限の消費者のリテラシーをしっか見定めないと、エビデンスがはっきりしない。
  • 他方で、高齢者や認知症の方々、あるいはデジタルの場合は子どもも含めて、必ず救わなくてはいけない絶対領域がある。
  • 基準がはっきりするとそこに到達するための教育の在り方や技術のサポートが考えられる。

 そのうえで、消費者庁の「デジタル時代等における消費者取引対策を検討するための基礎調査」の推定調査がエビデンスになるとして、

@SNSを利用した消費者被害の実態については、相談内容の整理の方法を調査し、AI学習機能を活用して、特商法違反の疑いの有無を基に、被害「あり」「なし」に自動的に分類し、被害数・金額を推定する方法を提案している。

A定期購入契約の最終確認画面の影響については、消費者被害が減少する可能性もある中、事業者への影響にも考慮する必要があり、どれだけ事業者の費用が発生したかを分析する。

B行政処分等の抑止効果については、処分がなされた事業者の同業他社等の処分前後の相談件数の変化で不正行為の抑止効果を分析する。

としました。

■今後の取り組みについて(意見交換)主な意見について

 特商法全国連絡会事務局長で弁護士の拝師徳彦さんから、今後の取り組みについて提案し、参加者と意見交換を行いました。特徴的なご意見は以下の通りです。

「先生の説明は本当によくわかりました。詳しくわかりやすく解説いただきました」

「研究会ができた時に、消費者庁もようやく重い腰をあげて消費者保護のために議論を始めてくれるんだろうと思っていましたが、蓋を開けてみると、こういう中身になっていて、ちょっと驚きと怒りが湧いてきました」

「相談業務受付に関しても、AIで音声入力してキーワードも付与するみたいなことをやろうとしていて、消費者庁はAIに関して変に期待をしている部分があります」

「消費者庁の考え方を聞いてすごく悲しくなりました。定期購入で同じ相談が多いのは、リテラシーが低いからだけで解決する話ではありません。すごくおかしいです」ほか。

以上

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