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消費者政策 消費者契約法の次回改正に向けて 学習会報告 2018年の通常国会で消費者契約法改正が実現しましたが、積み残しとなった論点も多く、全国消団連では「ストップ消費者被害!〜消費者契約法改正運動〜」を呼びかけています。 また、消費者庁では本年2月より、有識者をメンバーとする「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」を設け、次回改正に向けての検討を進めています。 学習会では、あらためて消費者被害の実例や消費者契約法の概要を学び、次回改正に向けて意見交換をしました。 【日時】2019年4月19日(金)13時15分〜15時15分 【会場】主婦会館プラザエフ 5階会議室 【参加】44人 【講師】志部淳之介さん(消費者庁消費者制度課) 【スケジュール】
【主な内容】 はじめに、消費者庁消費者制度課 志部淳之介さんより、最近の新聞に掲載された消費者被害について紹介がありました。「令和」に便乗した詐欺、アポ電で情報収集をした後でお金を騙し取る詐欺、SNSで商品レビューを書くだけで報酬がもらえると騙す詐欺など多くの事例があります。 消費者相談件数は年間約90万件で推移し、高齢者のインターネットトラブルも多くなっています。2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は約40%になり消費者トラブルも深刻です。若者の消費者トラブルに関しては、民法の成年年齢引き下げに対応し、消費者教育の充実、制度整備、相談窓口の充実や周知に取り組んでいます。改正消費者契約法では不安をあおる告知や恋愛感情の不当な利用を追加しています。 消費者契約法の平成30年改正について、事例と解釈についての説明がありました。たとえば、『不安をあおる告知』の事例では、就活セミナー商法として、「このままでは一生成功しないのでこのセミナーが必要」との勧誘で契約した場合などがあります。条文ポイントとして、「社会生活上の経験が乏しいことから」は、消費者の年齢によって定まるものではなく中高年でも該当し得ます。「不安をあおり、消費者契約の目的となるものが願望の実現に必要である旨を告げる」は、将来の不利益を直接的に告げるだけでなく、契約の目的となるものが必要である旨を繰り返したり、強い口調で告げる場合もあります。 現在、消費者庁では「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」を立ち上げ、専門技術的な論議をしています。第1回研究会の資料では、消費者庁での検討状況が整理され、『合理的判断ができない事情の不当な利用に関する取消権について』は、いくつかのパターンがあるので分析的にみています。また、第2回には、日本弁護士連合会、全国消費生活相談員協会、東京都消費生活総合センターから、実際どういう被害事例があるかをヒアリングしました。被害事例で本当に困っているのはどういう点か、どこを手当てしないといけないのか、手当ての必要性は特定の分野に集中しているか、そうでないのか、それを受けてどのような手当てがあり得るかなどが議論されました。また、『損害賠償額の予定・違約金条項について』は、現状は消費者が立証責任を負うという判例がありますが、事業者が資料をどうやったら提出するかという点に着目し、消費者の申し出に応じて資料を直接提出させるような規定を作ってはどうか、あるいは、裁判上資料を提出させる規定を作ってはどうかなど、それぞれ難しい面もありますが検討されています。 ◆質疑応答や主な意見、「消費者被害で救済できない事例」など
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