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学習会「食品添加物表示制度の現状と課題」開催報告 2015年4月に新たな食品表示法が施行され、栄養表示の義務化や製造所固有記号・アレルゲン表示等は2020年3月までに新制度に移行されることになっています。食品表示一元化の積み残し課題であった原料原産地表示制度、遺伝子組み換え表示制度の検討も終わり、「食品添加物表示制度」の検討が今年度早々に消費者庁で始まる見込みです。食品添加物表示制度の現状と課題を学び、今後の検討会の論点への理解を深めるべく学習会を開催しました。 【日時】3月27日(水)14:00〜16:00 【会場】主婦会館プラザエフ5階会議室 【参加】37名 【プログラム】 ①「食品表示添加物表示の現状と課題」 ②「食品添加物の表示と食品加工技術」 開催報告<事務局による要約> 「食品添加物表示の現状と課題」 高橋 亨さん 食品添加物とは 食品に添加することで味を調え、長期保存を可能とし、色や香りをつける等の効果が得られる物資のことで、安全性と有効性が確認され、国が使用を認めた指定添加物455品目、既に使用され、長い食経験があり、例外的に使用が認められている既存添加物365品目、天然香料起源物質約600品目、一般飲食添加物約100品目があります。 加工食品の添加物表示は原則として、使用したすべての添加物を「物質名」で食品に表示します。 添加物表示の例外
平成29年度消費者意向調査(消費者庁)から ●食品を購入する際、「添加物」表示を「ときどき参考にする」「いつも参考にする」人は合わせて58.5% ●安全性評価されたものや長い食経験があるものとして国が使用を認めたものが使われていることを知っている人は35.8% ●用途名併記について「すべての添加物に用途名を表示したほうがよい」22.5%「8用途から数を増やしたほうがよい」9.8%「現状のままでよい」24.3%「気にしてない」43% ●「○○を使用してない」「無添加」表示の食品を購入の際に「常に購入している」「同じ商品であれば表示のある方を購入している」人は合わせて51.2%、その理由として「安全で健康に良さそうだから」72.9% などが紹介されました。 各国の食品添加物に関する表示制度の主な違い 表示順、表示方法、加工助剤、キャリーオーバーには各国で大きな違いがありませんが、以下の項目で違いがみられます。
今後検討が始まりますが、消費者委員会食品表示部会で現在審議されている食品表示の全体像の議論もふまえて検討されていく予定です。 食品添加物表示と食品加工技術 上田 要一さん 日本の食品添加物表示制度の特徴 食品添加物は食品の変質を防ぐために保存料や酸化防止剤が利用されたり、成分や形状のバラツキの大きい食材を用いる際に色や食感の振れをなくすために着色料や増粘剤、安定剤が使われたりしています。こんにゃくを作るときの製造用材(水酸化カルシウム)や、豆腐を固める際の凝固剤(塩化マグネシウム)、中華めんに欠かせないかんすいなどが日本独特の食品加工技術で食品添加物として使われています。 EU、日本、米国とそれぞれが自国の食品安全規制を作っていった過程で地域の違いが出てきたものと考えられます。コーデックスはEUをベースにしているので日本の規制と異なっており、食品分類や用途名は日本の食文化を反映していません。 日本の加工技術 昆布だしのうまみ成分はマニトール、グルタミン酸、塩化カリウム等からできており、それらを一定の割合で混合すると昆布だしの味や“こく”をほぼ再現することができます。またグルタミン酸と動物性のイノシン酸と合わせると7〜8倍のうまみの強さになります。少ない量で同じ味の強さが得られ、ナトリウムの摂取量を減らすこともできます。そのように複数の食品添加物を少量ずつ組み合わせて日本独特の風味やおいしさ、食べやすさに貢献しています。「カニ風味かまぼこ」は日本の技術を利用した風味で、世界中に輸出されています。 無添加表示について 無添加・不使用表示は消費者の方々の様々な誤認に繋がっており、行政や事業者の安全確保の取り組みの理解を妨げていると考えます。協会としても事業者に向けて注意喚起をしているところです。食品メーカーの社内では営業部門と品質保証部門で意見が分かれることもあるので、行政による規制等後押しするものがあるといいです。 《質疑応答・意見交換》 「食品表示法の添加物表示制度の目的は消費者の選択のためということでよいか」「EUのEナンバー表示はその国の人にとって不便ではないのか」「無添加表示や使ってない表示を強調することは、景品表示法と照らして違法ではないのか」「消費者委員会食品表示部会で議論されていることを生かしてほしい」「成り立ちを表している表示もあるので、使ったものを表示することが基本。」等、活発な意見交換が行われました。 |