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2018年度 PLオンブズ会議報告会 最近の自動車業界は自動運転の開発競争が活発だと報じられています。既に運転者をサポートしてくれる車は販売されています。高齢化を迎える日本でも期待は大きいものがあります。特に消費者にとっては、AIの活用などにより移動手段として便利になることが期待されます。その一方で海外では自動運転車の事故なども話題になっています。 政府は2020年を目途に、高速道路での自動運転や限定地域での無人自動運転移動サービスの実現を目指しています。 しかし、自動運転になれば全く事故は起きないのでしょうか。万が一事故が起きたときその責任はどこにあるのでしょうか。報告会では、自動運転の開発の現状と将来の自動運転社会の未来を見据え、様々な問題点を共有し、消費者として考える機会になりました。 【日 時】 2018年7月2日(月)13:30〜16:00 【会 場】 主婦会館プラザエフ 8階スイセン 【参加者】 73名 【プログラム】
【内容(事務局による要約)】 ●報告① 先進安全自動車に関する消費者の使用実態調査結果について渡邊諒さんから報告がありました。 PIO-NETでの先進安全自動車に関する相談は年々増加しています。国民生活センターでは2018年1月に、先進安全装置についてテストを実施し、機能を過信せずに安全運転を心がけるよう消費者に情報提供を行いました。たとえば衝突被害軽減ブレーキの場合、障害物として認識しない、出来ない場合があるものとして、背の低い人・動物、暗闇の歩行者、対向車両などがあります。この機能は、衝突被害を軽減することを目的とするもので、あらゆる状況での衝突を防ぐ装置ではありません。機能には限界があり、性能・作動条件は検出器の方式や車種ごとに異なります。 ●報告② 安全支援システムの現状について三浦静止さんから報告がありました。 安全支援システムの現状としては、各社、ほぼ同じレベルで開発が進んでいます。機能として「衝突を予測してブレーキをかける」「人に近づきすぎたら避けるようにする」「前の車と丁度いい距離で付いていく」「前の車が進んだことを知らせる」「誤って後ろへ急発進するのを抑える」「誤って前へ急加速するのを抑える」「車線をはみ出しそうな時に車線内に戻す」「車線の真ん中を走れるようにする」「標識を見逃さないように知らせる」「ハイビーム、ロービームを自動で切り換える」などがあります。標識の見逃しでは、赤信号の見落とし対応は今のところ出来ていないようです。現状のレベルでは作動しない場合もあり、安全支援システムが付いていても責任はドライバーにあります。 「自動運転」と「安全支援システム」は全くレベルが違います。高度な予想判断をすることをAIを使ってすることは難しいです。たとえば、倫理問題としてあるトロッコ問題(急に出てきた歩行者に対してブレーキが間に合わない場合の対応)をシステムが決めないといけないので、安全運転支援システムと完全自動運転とは高い壁があります。 ●報告③ 自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究について新美育文さんから報告がありました。 自動走行車両で、発生してしまった損害をどうやって填補するのか、被害が起きた時に誰にいくら賠償させるのかは民事責任になります。民事責任は製造物責任法(PL法)、自動車賠償損害保障法(自賠法)が担うことになります。自動走行車両で誰が責任主体になるかを考えると、①ユーザー(ドライバー、車所有者)、②製造者(そのためのソフトも)、③インフラ(道路状況)、になります。 レベル5(完全運転自動化)で車両が高額になった場合、どのような社会になっているかを考えると、車はもはや個人所有ではなくカーシェアリングになるのではないか。そして、個人所有がなくなった時に保険は機能するのか、と思います。物損による修理費も高くなるので、新しい救済システムを考えないといけないです。 自動走行車両の発達により事故は確実に減っていきますが、ゼロにはなりません。事故の被害救済をどうするかを考える必要があります。 ●パネルディスカッション「クルマの自動運転って どこまで安全なの?」 「安全支援システムはどのくらい普及しているのか」「運転支援技術は法的に工夫を要することはあるか」「日本で公道での実証実験が行われているが、実現可能性はいつになるのか」「自動運転開発に向けどのような課題の解決が必要か」などについて意見交換を行いました。 ●PLオンブズ会議からの提言 「内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、経済産業大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長、国民生活センター理事長、国土交通大臣、一般社団法人日本自動車工業会」に提出しました。 提言 「利便性と安全性を兼ね備えた自動運転社会を目指すために」 私たちは、本日の報告会で、自動運転車の現状を学習しました。 自動車メーカー各社は、自動運転に関する開発研究を進め、便利さと安全性を宣伝しています。自動運転車への移行は、今後の高齢化社会、過疎化や運輸・物流サービスの人手不足等への対応策としての検討も急ピッチで進められています。 しかし、その反面、自動車の安全へのアシストはまだまだ開発途上であり、交通事故を完全に無くすることができるわけではありません。 安全装置の向上が事故を減らすという面では社会的に有益なことであるので今後の研究開発に期待しますが、事業者には、広告・宣伝が消費者に過度な期待や誤解を与えることのないよう、自動車公正競争規約を順守するなど節度ある行動が望まれます。 国民生活センターの相談情報を見ても、衝突被害軽減ブレーキが作動せず追突事故を起こしたなどの相談が増えています。消費者は自動車の安全へのアシスト機能を過信せず、安全運転を心がける必要があることも明らかです。 自動運転車による事故が発生した場合の責任はどこにあるのか、民事・刑事での責任の在り方も課題です。自動運転車をめぐる新しい状況について、今までの法律ですべて対応できるのかどうか、自動運転に係る制度整備については、国の検討も始まっています。 このような現状を踏まえて、以下のことを要望いたします。
2018年7月2日 ●参加者感想(抜粋)
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