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開催報告 全国消団連学習会 食品の安全に関する情報は世の中にたくさんあります。その中には根拠のない情報や誤解を招きやすい情報も含まれています。「食品が安全である」とはどういうことか。「自然や天然だから安全」と思い込んでいないか。科学的根拠のある情報と考えかたを知り、自分で判断できる力を身に付けることをねらいとして、学習会を開催しました。 【日 時】 9月4日(月) 14:00〜16:00 【場 所】 主婦会館プラザエフ5階会議室 【参加者】 55名 【内 容】
概要 <事務局による要約> 畝山智香子さん報告 ●食品安全にとって最も重要なのは衛生管理。何を食品というのかは、国や文化によって食べるものが違うため明確な定義はないが、生きるために食べてきたもので、食べてもすぐには有害影響がないとわかっている「未知の化学物質のかたまり」が食品である。構造や機能がある程度わかっている物質もあるが、長期の安全性については基本的に確認されていない。そこで「リスクアナリシス」というツールで食品の安全性を確保している。 ●食のリスクは、ハザード(ある物質の有害性)をどのくらい食べるか(暴露量)で決まる。リスクはあるかないかで考えるのではなく、その大きさがどのくらいなのか、何かと比べて何かが大きいのか、定量と比較が大切。ハザードは変えられないので、リスクを低くする、つまり暴露量を低くするということが重要。 ●食品安全とはその食品が消費者に害を与えないという保証。リスクが許容できる程度に低い状態のことであり、リスクがゼロという意味ではない。一般の人がイメージする安全な食品は何一つけがれがないもので、そこに添加物や農薬が入ると気になるという人もいるが(図左)、食品リスク研究者がイメージする食品はよく分からないリスクのかたまりで、全体的にグレーの中に何かわかっているものが入っている(図右)。 ●リスクを定量比較するための方法(ものさし)にはMOE(暴露マージン)、DALY(障害調整余命年数)など何種類かあり、それぞれ使いこなせるのが理想。日本人の食生活では塩のリスクが最も高く、アレルギー物質は若い人が亡くなる可能性もあり、損失が大きいということになる。MOEやDALYなどどのような手法を使っても、残留農薬や食品添加物より一般食品の方がはるかにリスクは大きく、中でもいわゆる健康食品(効果をうたったもの)が極めて大きいと言える。 ●「食の安全確保」とは、「多様な食品からなる、バランスのとれた食生活」。全ての食品には何らかのリスクがあり、リスクの正確な中身は分からない。特定の食品(種類・産地・栽培方法etc.)に偏らないことがリスク分散になる。 松下 茜さん報告 ●種々のアンケート調査によると、国民の半分程度の方が、いわゆる「健康食品」を摂っていると回答している。一方、「健康食品」による健康被害の報告や、「多量に摂ってしまい過剰症が心配」「原材料について明確な回答がない」「医者の処方薬とサプリメントの飲み合わせによる支障はないか」など、「健康食品」に関する相談事例が増えてきている。 ●食品安全委員会では「健康食品」による避けることのできる健康被害を防止することを目的として、「健康食品」を摂るかどうかを判断するときに考えるべき基本事項を19項目にまとめて提示した。また、「健康食品」による健康被害が疑われるときの考え方を含めて取りまとめた。 ●「健康食品」に関するメッセージ(ポイント)
●「健康食品」について安全な選択をするために(まとめ)
質疑・意見交換では、「暴露量について」、「無添加商法について」、「事業者の役割について」、「信頼できる情報源や情報発信の手段について」、「健康食品の成分表示やマーク」について等様々な質問が出され、時間の許す限り答えていただきました。 「全ての食品に少なからずリスクがあるから、多種多様な食品を口にすることがリスクの分散になる、というお話が印象的でした。」「リスクが許容できる程度に低い状態というのはあっても、リスクがゼロというのはあり得ないということを念頭において自らの摂取食品について改めて考える必要があると感じた。」「ものさしの話は、こまめに継続的に繰り返し、消費者に伝えていく必要があると思います。」など、大変勉強になったという感想をたくさんいただきました。 |