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「平成29年版 消費者白書」 消費者庁において平成29年版「消費者白書」がまとめられました。今回は白書を取りまとめられた消費者調査課長の澤井景子さんにポイントを報告していただきました。 また、消費者に身近な地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方については、本年2月に消費者庁に検討会が設けられ、検討が重ねられてきましたが、7月に報告書がまとめられました。このポイントについて、消費者教育・地方協力課長の金子浩之さんより報告していただきました。 【日 時】 8月9日(水) 18:00〜20:00 【会 場】 主婦会館プラザエフ 5階会議室 【参加者】 28名 概要(事務局による要約) 「平成29年版 消費者白書」について ●消費者白書は、消費者政策の実施状況と、消費者事故等に関する情報の集約と分析をまとめた報告書です。また、平成28年の重点課題として、「若者の消費」を特集テーマに組みました。 ●消費生活相談件数は88,7万件(平成27年95,5万件)で前年比では若干下がっていますが、依然として高い水準で推移しています。 販売購入形態別では「インターネット通販」の相談件数の割合が拡大しています。被害事例では「お試し商品のダイエットサプリメントが『初回500円』との宣伝があり、条件として『4回以上の購入』との記載が小さく書かれていても気づかず、2回目の商品が届き、販売元に電話をしてもつながらず、次が届いてしまう」などの相談もあります。 「アダルト情報サイト」の相談は性別、年齢を問わず多く、年度で比較すると若者で若干減り、高齢者で増えています。若者はスマートフォンにも使い慣れ、対処が多少なりともわかっているのではないかと思われます。 また『トラブルに遭った人が、解決しようと検索をして紛らわしい名称の探偵業者にアクセスし相談して、高額請求され、元のトラブルの解決にはつながらない』などの二次被害も増えています。 ●トラブルに遭った際の相談や申出をした人は約半数で、「友人、家族に相談」は年齢層が低いほど高く、「販売店や製造元に申し出る」は年齢層の高いほど高くなっています。 また、トラブルを回避する情報は「テレビ」が全年齢層で高く、10歳代後半から30歳代までで「インターネット」が最も高いです。 ●消費者事故のうち、重大事故(死亡事故や30日以上の入院など)の約8割が「火災」です。最近の特徴としてスマートフォンからの出火が火災につながった事例などもあります。 また有害植物の食中毒として「ニラとスイセン(有毒)」「ギョウジャニンニクとイヌサフラン(有毒)」の間違いについて注意喚起を出していますが、複数の被害が出ています。 ●子どもの事故の半数は家庭で起きています。歯磨き中の喉突き事故が多く、安全対策を取られた商品(曲がる歯ブラシなど)もあります。またブラインドのひもによる事故は世界的に起こり、経済協力開発機構(OECD)でも注意喚起を実施しました。 保護者と子どもに向けた周知・啓発のため、今年から5月第4週を「子どもの事故防止週間」として取り組んでいます。 ●若者の消費行動は、スマートフォンと生活していることが大きく影響しています。若者の消費は慎重です。減少しているのは男性で「交通・通信費」「食料費」、女性は「被服及び履物費」「食料費」です。でも買い物が嫌いというわけではないです。 スマートフォン利用は1日3時間以上が7割、7時間以上が2割。消費もインターネットから行っていることが多くあります。特に女性はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に情報発信しています。写真を投稿するための行動として消費をしている面もあるのが特徴です。 若者の消費者トラブルの相談件数は2012年以降ほぼ横ばいで、SNSをきっかけにしたものが増加傾向で、近年は会ったことがない人からの勧誘でトラブルとなるケースもあります。 ●消費者政策の実施状況として、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動」が行われています。 「消費者志向経営」とは、事業者が消費者全体の視点に立ち、健全な市場の担い手をして、消費者の信頼を獲得するとともに、持続可能で望ましい社会の構築に向けて、社会的責任を自覚して事業活動を行うことです。事業者が自主的に消費者志向経営を行うことを宣言・公表し、宣言内容に基づいて取組を実施し、その結果をフォローアップして、公表します。現在52社が宣言しています。 ●消費者ホットライン「188」は2015年7月から開始しましたが、周知は3.3%にすぎず、今後の課題になっています。 「地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方等に関する検討会」報告書より ●「地方消費者行政強化作戦」の進捗状況と地方消費者行政推進交付金 「地方消費者行政強化作戦」の進捗状況のうち、相談体制に関しては、相談窓口未設置の自治体は解消されましたが、消費生活センターの設立は小さな市町村(人口5万人未満の市町村)で遅れています。 「消費者安全確保地域協議会」設置自治体数は、7月末時点で30市町です。 こうした取り組みを後押しするために、地方消費者行政推進交付金を措置してきました。制度のポイントは、事業として消費者行政に関連するものであれば、地域の実情に応じて使ってもらうことができる点です。支出限度額は総額の1/2までで、残りは自前の財源で補うことになっています(ただし、先駆的プログラムに取り組む場合は、通常ルール(1/2以上)の対象外)。この交付金は平成29年度までに立ち上げた事業に対してですが、活用期間に沿って最大11年間の活用が可能になります。 今回、平成30年度以降の支援のあり方について検討会を開催してきました。 ●今後の対応の方向性 報告書では、地方消費者行政の現状と課題、基本的な考え方を整理したうえで、以下の通り今後の対応の方向性をまとめました。 〈体制整備の一層の推進に向けた財源の確保〉
〈新たな地方消費者行政の展開に向けた国の支援〉
●消費者庁としての対応 検討会報告書をもとに、地方消費者行政推進交付金の後継交付金の確保に向け、財政当局と折衝していきます。消費者庁としては財政的支援として、地方交付税措置も行っているので、自治体にはこれも活用いただき、自主財源の確保を進めていただくことを期待します。 参加者感想(抜粋)
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