学習会開催報告
「公益通報者保護法に関する学習会」

日 時 : 11月22日(火) 18:00〜20:00
会 場 : 主婦会館プラザエフ5階第1会議室
参加者 : 29名
講 師 : 宮本 一子さん(NACS常任顧問)
大塚 喜久雄さん
(NACS東日本支部コンプライアンス経営研究会)
土田 あつ子さん(NACS消費生活研究所主任研究員)
拝師 徳彦さん(弁護士)
濱田 正晴さん
進 行 : 中村 雅人さん(弁護士)
開催の趣旨
公益通報者保護法が施行されて10年経過しました。しかし、通報者が企業から不利益処分を受けた事例がしばしば報道されるなど、法律の実効性には疑問も寄せられています。現在消費者庁は、「公益通報者保護法の実効性の向上に関する検討会」「ワーキング・グループ」を開き、実効性確保に向けた検討をしていますが、果たして国民や通報者保護に結び付く方向に進んでいるのでしょうか?これらを考えるにあたって、改めて公益通報って何?の基礎から学習を深める機会として開催しました。
概要(消団連事務局による要約)
●公益通報はなぜ必要か(宮本さん)
- 私がかつて出版した「内部告発の時代」において取材した人の中には、告発したことで不幸な人生を送った人がいます。このような人が出たことを考えると、この法律ができて通報者が保護されるようになったことは一歩前進だと思います。
- 通報者に対して、法律にかからない程度の嫌がらせは今もあります。通報すればプラスになる何か、インセンティブが無ければ日本では定着しないのではないでしょうか。
- 公益通報者を保護する団体、市民団体が必要です。
●企業不祥事と消費者の声(大塚さん)
- 会計不正や成分偽装、データ不正、廃棄食品の横流しなど企業の不祥事は後を絶ちません。
- 不正が明るみに出るまでの期間は非常に長く、消費者に多大な被害(生命や財産など)を与え、事業者も大きな打撃(イメージの低下、課徴金、損害賠償)を受け、経営破たん、事業の縮小、他社の傘下に入る等の結果になります。
- 消費者には見つけにくい不正を明らかにするには、内部からの公益通報が不可欠です。
●消費者庁検討会の状況報告(土田さん)
- 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において民間事業者の取り組み、行政機関の取り組み促進、通報者保護の要件・効果等について検討し、3月に第1次報告書をまとめました。
- 通報者保護の要件・効果等の検討内容は、通報者の不利益取扱い禁止に係る要件、通報者や通報に係る情報の保護、通報先の対応義務などで、どれも改正へつなげたい内容です。
●争点はどこにあるか(拝師さん)
- 検討会第1次報告書において示された法改正に係る各論点について、法律の専門家からなるワーキング・グループにてその方向性や課題等を検討し、11月に報告書をまとめました。
- 制度の実効性を向上させるための法改正の方向性や課題について、可能な限り明確化しました。
- 報告書の大きな柱は、通報者の範囲の拡大と不利益取扱いに対する行政措置・刑事罰の導入です。
- 今後、法改正の実現までは長い道のりであり、消費者の後押しが必要です。
●通報経験者の声(濱田さん)
- 平成19年、愛社精神から告発を行ったが不当な扱いを受けたため翌年提訴しました。平成28年和解までに3回裁判を行いました。
- 勤務する上で気を遣うこともありますが、告発・裁判をしても「こんなに元気に働いている」という前例を作りたかったので、定年まで勤め上げるつもりです。
- 実効力のある法改正を強く期待するとともに、不正を許さない、告発した人を守るという国民の意識の変化も必要だと思います。
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