[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]
学習会「第2回 新たな育種技術(NPBT)の研究開発・ 【日 時】 7月26日(火)18:00〜19:30 【会 場】 主婦会館プラザエフ5階会議室 【内 容】 「ゲノム編集技術を活用したトマトの育種について」 「NPBTをめぐる日本と海外の動向」 【出席者】 19名 ○概要〈事務局による要約〉 ●「ゲノム編集技術を活用したトマトの育種について」 トマトは世界中で食され、健康によい食べ物であるが、先祖は緑色の小さい実だった。長い年月をかけ、性質の違うDNAを交配し、収量大で良味の新しい品種を作ってきた。現在の課題は夏季や冬季における着果不良による収量低下の問題。暑さや寒さに強いトマトの品種開発が求められている。 筑波大学では国からの研究資金を活用してゲノム編集技術と呼ばれる遺伝子情報を解読・編集する育種技術により、受粉しなくても実がなる(単為結果性)トマトの研究を行い、単為結果性DNAが変化した個体を得ることができた。現在はその精度を高める他、日持ちが向上するトマトや糖度の高いトマト、機能性が優れたトマトの研究も行っている。このような技術で、トマト生産の安定化、省力・低コスト化。増産・増収、生産者の労働軽減につながり、より安価で栄養価に富むトマトが食卓にのることを目指す。 ●「NPBTをめぐる日本と海外の動向」 新たな育種技術については、環境影響・生態系への影響について議論するOECDの場で2013年4月にワーキンググループにおける検討が始まり、各国における研究開発状況やGM規制の考え方について情報交換を行ってきた。 参加各国・地域の検討状況は、欧州委員会では現行のGM指令上の法的解釈を整理中。加盟各国は欧州委員会の解釈を待っている。米国は農務省が植物保護法に基づいて導入遺伝子がペスト由来かどうかで規制適用を判断する。 日本では、2013年より科学者で組織する研究会を行い、報告書において@現行のGM規制(カルタヘナ法)に基づく自主的な管理が必要。商業化にあたっては規制当局と事前協議を徹底することA研究開発段階から情報提供を行い、関係者とコミュニケーションを強化するBOECDの場を通じて国際対話を図り、規制の調和に向けた取り組みが重要、と取りまとめた。 今後については、OECD事務局より、2017年〜2020年までの次期作業プログラムが提案され、向こう4年間の正式なプログラムとして採択された。 参加者からは「いい面だけでなく、毒性など他の影響は出てこないのか不安。慎重に検討してほしい。」「一企業による種子の独占の危惧がある。」「より安価なトマトの可能性と言うがこういった商品は概ね高く、安くなるのか疑問。」「ゲノム編集による食用作物育種と社会的課題はもっと深める必要がある。継続して学習していってほしい。」など意見・感想が出されました。 |