学習会報告 「消費者契約法の改正に向けて」
【日 時】 5月21日(木) 15:10〜16:30
【会 場】 主婦会館プラザエフ5階会議室
【講 師】 松本 恒雄 さん(独立行政法人国民生活センター理事長、一橋大学名誉教授)
【参加者】 45名
松本理事長より、消費者契約法の制定プロセス、意義と効果、見直しに向けた経過、改正論点、他の法律との関係などについてお話いただきました。
<ポイント(事務局による要約)>
- 2000年に成立した消費者契約法の制定プロセスではいくつかの課題が残った。(重要事項不告知の「故意」要件や、困惑や不当条項の類型を限定したこと、約款の「明瞭性原則」「作成者不利の原則」を採用しなかったことなど)
- 90年代のPL法や消費者契約法の制定は、行政ルールから民事ルールの時代を拓いたことに大きな意義があった。全てを消費者契約法で解決しようと考えるのではなく、民法や特商法・金融商品販売法等との性格の違いも踏まえて考えること、また、消費生活センターの強化やADR、団体訴訟制度の導入などその他の施策の遂行状況も合わせて評価する必要がある。
- 消費者契約法の見直しに向けては、2007年に国民生活審議会が整理を行ったものの、消費者行政の一元化の論議のため中断。昨年末から消費者委員会に専門調査会が置かれて検討が始まっている。
- 論点は、消費者・事業者の定義(2条)や情報提供義務・平易明確化義務(3条)、不当勧誘(4条;「広告」の扱い、経済的利益への限定、「動機」の扱い、誤認・困惑以外の扱い等)、不当条項(8〜10条;人身事故の場合などの免責、「通常生ずべき損害」の立証責任、無効条項の追加など)。
- 評価の視点として、諮問文にあるような、「情報通信技術の発展や高齢化の進展を始めとした社会経状況の変化への対応」を踏まえた内容になっているかを見ていく必要がある。
<アンケートより>
- 基礎的問題と時事的な改正点についての詳細なお話で知識を整理することができ、問題意識も新たにすることができました。
≫ 消費者契約法・特定商取引法 改正運動について
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